アメリカのベストセラー・ランキング

3月24日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

  1. 1. WHERE THE CRAWDADS SING    Stay

Delia Owens デリア・オーエンズ

1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女キヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。

 

  1. 2. CEMETERY ROAD    New!

Greg Iles グレッグ・アイルズ

アメリカ南部の人種差別を題材にしたナチェズ3部作の作者によるスタンドアローンのスリラー。ワシントンDCでジャーナリストとして活躍していたマーシャルは、父の死期が近いことを知って故郷のミシシッピに戻る。が、生まれ育った町は変わり果て、地元の実力者たちに牛耳られていた。さらにそこへ殺人事件が発生し、マーシャルは町のために調査に乗り出す。

 

  1. 3. DAISY JONES & THE SIX    New!

Taylor Jenkins Reid テイラー・ジェンキンズ・リード

架空のロックバンドの誕生から解散までをオーラルヒストリーの形で綴った小説。バンドのザ・シックスはデイジーをリードシンガーとして迎えたのをきっかけに、60年代後半から70年代前半にかけて人気を博すが、やがてメンバーのあいだに確執が生まれていく。

 

  1. 4. SILENT NIGHT    New!

Danielle Steel ダニエル・スティール

9歳の少女エマは人気の子役として活躍していたが、交通事故で母を失い、自身も脳に深刻な損傷を負って言語能力と記憶を失ってしまう。伯母であり精神科医でもあるホイットニーはエマを引きとり、医師たちの力を借りながら、姪が生きる気力を取りもどせるように奮闘する。

 

  1. 5. THE CHEF    Down

James Patterson and Max DiLallo ジェイムズ・パタースン、マックス・ディラロ

ニューオリンズ市警のケイレブ・ルーニー刑事は、フードトラック「キラー・シェフ」で人気を集める腕利きの料理人でもある。だがある事件の捜査中、正当防衛を装い不当に容疑者を射殺したとの嫌疑をかけられることに……ベストセラー作家によるスタンドアローンの新作スリラー。

 

  1. 6. THE LAST ROMANTICS    Up

Tara Conklin タラ・コンクリン

フィオナ・スキナーは詩人として成功していたが、重い過去を背負っていた。父は心臓発作によって30代の若さで死に、母は3年にわたって重いうつ病を患い、一男三女の子供たちは自力で生活しなければならなかった。2079年から過去を振り返る形で、家族のドラマが描かれる。

 

  1. 7. THE MALTA EXCHANGE    New!

Steve Berry スティーブ・ベリー

アメリカ合衆国司法省の元工作員が活躍するコットン・マローン・シリーズの第14作。チャーチルがムッソリーニに送ったとされる書簡をイタリアで探していたマローン。折しもヴァチカンでは教皇選出会議が開かれてようとしており、その行方を左右しようとするマルタ騎士団の一派や枢機卿の陰謀にマローンも巻きこまれてしまう。

 

  1. 8. THE SILENT PATIENT    Down

Alex Michaelides アレックス・マイケリデス

有名画家のアリシア・ベレンソンは完璧な人生を送っているようにみえた。夫のガブリエルは人気のファッション・カメラマンで、住まいはロンドンの一等地に建つ壮大な家だ。しかしある夜、仕事から帰ってきたガブリエルの顔に向け、アリシアは5発の銃弾を撃ちこむ。それ以来、彼女はいっさい、口をつぐむのだった。

 

  1. 9. THE ISLAND OF SEA WOMEN    New!

Lisa See リサ・シー

韓国の済州島で暮らすミジャとヨンスクは海女としての人生をはじめる。親友同士でありながら、ミジャは対日協力者の娘、ヨンスクは海女の長の娘と、その境遇はまったくちがっていた。日本による植民地化、第二次世界大戦、朝鮮戦争とつづく激動の時代に生きたふたりを描く。

 

  1. 10. THE BORDER    Down

Don Winslow ドン・ウィンズロウ

米国麻薬取締局(DEA)捜査官アート・ケラーと麻薬王アダン・バレーラとの壮絶な闘いを記した『カルテル』の続編。血と暴力の麻薬戦争、犯罪捜査、政治的な駆け引きと権力の腐敗を描き、2005年刊行(邦訳は2009年)の『犬の力』にはじまる三部作を締めくくる。

 

【まとめ】

今週トップテン入りを果たした新作は5作で、圏外から6位に浮上した作品が1作ありました。2位のアイルズは元検事のペン・ケージが活躍するシリーズが有名で、ナチェズ3部作もこれに含まれ、邦訳は第2作『天使は振り返る』まで刊行されています。3位のリードの小説は早くもドラマ化が決定しています。4位は常連のスティール。6位のコンクリンは2013年に“THE HOUSE GIRL”でデビューし、本作が2作目の小説となります。7位のコットン・マローン・シリーズの邦訳は第1作『テンプル騎士団の遺産』のみ刊行。9位のシーは中国をテーマにした作品が多く、『雪花と秘文字の扇』などの邦訳があります。

 

  1. 青木創(あおき はじめ)

    本ランキングでも1位に輝いたリー・チャイルド『ミッドナイト・ライン』が4月に講談社より刊行されます。ジャック・リーチャー・シリーズ第22作です。どうぞよろしくお願いいたします。