アメリカのベストセラー・ランキング

4月14日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. WHERE THE CRAWDADS SING    Stay

Delia Owens デリア・オーエンズ

1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女キヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。

 

  1. 2. THE CORNWALLS ARE GONE    New!

James Patterson and Brendan DuBois ジェイムズ・パタースン、ブレンダン・デュボイズ

米陸軍情報将校のエイミー・コーンウォールの夫と娘が何者かに連れ去られた。ふたりの命と引き換えに犯人が要求してきたのは、ある囚人の居場所を突きとめ脱獄させること。しかし、そのためには法を犯さなければならない。与えられた時間は48時間。エイミーは選択を迫られる。ヒットメイカー、ジェイムズ・パタースンによる緊迫のスリラー。

 

  1. 3. RUN AWAY    Down

Harlan Coben ハーラン・コーベン

ウォール街のエリート金融マン、サイモンは大学をやめて家出した娘ペイジがセントラルパークにいるのを見つけ、連れ帰ろうとして、娘と一緒にいたアーロンという男を殴ってしまう。通行人にその場面の動画を撮られてインターネットで拡散されるなか、アーロンが死体で発見されたことから、サイモンには殺人の容疑がかけられる。

 

  1. 4. CELTIC EMPIRE    Down

Clive Cussler and Dirk Cussler クライブ・カッスラー、ダーク・カッスラー

NUMA(国立海中海洋機関)のダーク・ピットが活躍するシリーズの第25作。デトロイト川に沈んだタンカーを調べていたNUMAのダイバーが死亡。ピットらの調査で、微生物を使った事故現場の浄化をうたうバイオ企業の関与が浮上するが、その背後には古代エジプトの疫病にからむ恐るべき陰謀が隠されていた――

 

  1. 5. THE AMERICAN AGENT    New!

Jacqueline Winspear ジャクリーン・ウィンスピア

戦間期からのイギリスを舞台に女探偵メイジー・ダブズの活躍を描くシリーズの第15作。時代は第二次世界大戦へ。1940年、ロンドン大空襲のさなか、アメリカから来ていた新聞社の特派員キャスリン・サクソンが他殺体で見つかった。しかし、そのニュースはイギリス当局によって隠蔽されてしまう。事件の真相を究明すべく、メイジーのもとに調査の依頼が舞いこんだ。

 

  1. 6. TIAMAT’S WRATH   New!

James S.A.Corey ジェイムズ・S・A・コーリィ

月や火星、小惑星帯に人類が進出した未来を描くSF〈エクスパンス〉シリーズ第8作。日本でも配信中のドラマ『エクスパンス~巨獣めざめる~』原作続編。1300もの太陽系へのゲートが開かれたいま、人類による帝国拡大の動きとともに、あらたな謎と脅威が立ち現れる。

 

  1. 7. THE SILENT PATIENT    Stay

Alex Michaelides アレックス・マイケリデス

有名画家のアリシア・ベレンソンは完璧な人生を送っているようにみえた。夫のガブリエルは人気のファッション・カメラマンで、住まいはロンドンの一等地に建つ壮大な家だ。しかしある夜、仕事から帰ってきたガブリエルの顔に向け、アリシアは5発の銃弾を撃ちこむ。それ以来、彼女はいっさい、口をつぐむのだった。

 

  1. 8. WILD CARD    New!

Stuart Woods スチュアート・ウッズ

ニューヨーク市警の刑事から弁護士に転じたストーン・バリントンを主人公とするシリーズの第49作。愛人とふたり、田舎の隠れ家での休暇を楽しんでいたストーン・バリントンのもとを訪れた客は、バリントンと協力者を亡き者にしようとたくらむ彼の旧敵だった。

 

  1. 9. CEMETERY ROAD    Down

Greg Iles グレッグ・アイルズ

アメリカ南部の人種差別を題材にしたナチェズ3部作の作者によるスタンドアローンのスリラー。ワシントンDCでジャーナリストとして活躍していたマーシャルは、父の死期が近いことを知って故郷のミシシッピに戻る。が、生まれ育った町は変わり果て、地元の実力者たちに牛耳られていた。さらにそこへ殺人事件が発生し、マーシャルは町のために調査に乗り出す。

 

  1. 10. WOLF PACK    Down

C.J. Box C・J・ボックス

ワイオミング州猟区管理官ジョー・ピケット・シリーズの第19作。ピケットは女性猟区管理官ケイトリンとチームを組み、友人の鷹匠ネイトの力を借りて、野生動物を脅かすドローンを操縦していた老人を突きとめたが、その人物は証人保護プログラムの保護下にあった。やがて「狼の群れ」と呼ばれる殺し屋の一団が近辺をうろつきはじめる。

 

【まとめ】

デリア・オーエンズが今週も変わらず1位をキープし、30週連続ベストセラーリスト入りを継続中ですが、それ以外は今週初登場が4作、本連載お休みの先週初登場が2作あり、トップ10リストが大きく入れ替わりました。

先週2位初登場、今週3位のハーラン・コーベンは、『ステイ・クロース』(ヴィレッジブックス)以来5年ぶりの邦訳となる『偽りの銃弾』(小学館文庫)が昨年5月に刊行されています。同じく先週3位初登場、4位のクライブ・カッスラーは、ダーク・ピット・シリーズの前作(第24作)にあたる『黒海に消えた金塊を奪取せよ』が昨年10月に扶桑社より刊行されており、また姉妹シリーズともいえるNUMAファイル・シリーズ第9作の『粒子エネルギー兵器を破壊せよ』も今年3月に同じく扶桑社より刊行されています。

今週初登場の新作では、2位にジェイムズ・パタースンの新作がランクイン。共著者のブレンダン・デュボイズは『合衆国復活の日』(扶桑社)などの邦訳があります。

5位のジャクリーン・ウィンスピアは、『夜明けのメイジー』(早川書房)で知られるメイジー・ダブズ・シリーズ。邦訳は第1作の同作のみですが、シリーズは順調に継続中。6位のジェイムズ・S・A・コーリィは、シリーズ第1作のみ『巨獣めざめる』(早川書房)として邦訳刊行されています。8位ランクインのスチュアート・ウッズは、90年代から続く長寿シリーズ。このあとさらに続編が予定されています。

  1. 吉井智津(よしい ちづ)

    翻訳者。訳書に、ナディア・ムラド『THE LAST GIRL―イスラム国に囚われ、闘い続ける女性の物語』(東洋館出版社)、アラベラ・カーター・ジョンソン『小さなモネ―アイリス・グレース―自閉症の少女と子猫の奇跡』(辰巳出版)など。