アメリカのベストセラー・ランキング

7月14日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. WHERE THE CRAWDADS SING    Up

Delia Owens デリア・オーエンズ

1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女カイヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。

 

2. BACKLASH    New!

Brad Thor ブラッド・ソー

アメリカ海軍特殊部隊SEALS出身のエージェントが活躍するスコット・ハーヴァス・シリーズの第19作。ハーヴァスの元上司と妻が殺害され、本人も拉致されて拷問を受ける。さらなる尋問のためにロシアへ移送される途中、飛行機が墜落し、ハーヴァスは一命をとりとめるものの、極寒の原野で生き延びるための戦いを強いられる。

 

  1. 3. SUMMER OF ’69    Down

Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド

夏の休暇をナンタケット島で過ごすのがレヴィン家の恒例行事だが、1969年の夏はそうもいかないようだった。19歳の長男がベトナムに送られ、母はアルコールに逃げるようになっていた。また、双子を妊娠中の24歳の長女、21歳のヒッピーの次女、13歳の思春期の三女もそれぞれ問題を抱えていた。

 

  1. 4. LOST AND FOUND    New!

Danielle Steel ダニエル・スティール

3人の子供を女手ひとつで育てあげたマディーは、ニューヨークで写真家として成功していたが、思い立って車でボストンとシカゴとワイオミングをめぐる旅に出る。かつて自分が愛し、結婚も考えた3人の男たちに会って、みずからの選択が正しかったのかどうかを確かめるために。

 

  1. 5. CITY OF GIRLS    Down

Elizabeth Gilbert エリザベス・ギルバート

1940年、大学をドロップアウトした19歳のヴィヴィアンは、マンハッタンの叔母のもとでうらぶれた劇場の運営を手伝いながら、演劇の世界でさまざまな出会いを経験する。95歳になったいま、ヴィヴィアンは人生を振り返る。

 

  1. 6. UNSOLVED    Down

James Patterson and David Ellis ジェイムズ・パタースン、デイヴィッド・エリス

FBI分析官エミーは、一見無関係な数々の事故死がシリアルキラーのしわざだと主張するが、だれにも聞き入れられず、独自に捜査をはじめる。しかし、まるで犯人から行動を見透かされているような事態がつづくばかりか、担当している別件の内部情報が流出し、エミーは内通者の疑いをかけられてしまう。〈インヴィジブル・シリーズ〉の2作目。

 

  1. 7. MRS. EVERYTHING    Down

Jennifer Weiner ジェニファー・ウェイナー

1950年代のデトロイトに生まれた、勝気なジョーとお洒落に夢中なベシーの姉妹。時代の波に翻弄されたふたりの人生は思いもよらない軌跡をたどる。公民権運動、ベトナム戦争、ウーマンリブ――社会の激変のなかで生き方を模索する姉妹の70年を描く。『イン・ハー・シューズ』の作者による長篇第13作。

 

  1. 8. BIG SKY    New!

Kate Atkinson ケイト・アトキンソン

探偵ブロディの事件ファイル・シリーズ第5作。海辺の町に引っ越し、細々と探偵業をつづけていたブロディだったが、クリスタルという女から、何者かに尾行されているのでその正体を突き止めてもらいたいという依頼を受ける。ブロディは半信半疑だったが、やがてのクリスタルのもとに脅迫状が届き、さらには彼女の子供たちが拉致されてしまう。

 

  1. 9. TOM CLANCY: ENEMY CONTACT    Down

Mike Maden マイク・メイデン

ジャック・ライアン・ジュニアを主人公としたスリラー第5作。〝赤壁〟と名乗るハッカーの攻撃によって、CIAの機密情報が漏洩の危機にさらされる。上院議員のひとりと中国とのつながりを調べるためポーランドへ飛ぶジャックだが、彼にはほかにも果たすべき使命があった。癌で余命わずかの旧友から、遺灰を思い出の地チリに撒いてほしいと依頼されたのだ。

 

  1. 10. ON EARTH WE’RE BRIEFLY GORGEOUS    Down

Ocean Vuong オーシャン・ヴュオン

息子のリトル・ドッグは字の読めない母へ向けて手紙を書く。そこにつづられているのは、ベトナムから移住した家族の苦難の歴史、母や祖母への思い、居場所のないつらさ、そして、思春期に体験した同性愛のことだった。ベトナム生まれの詩人オーシャン・ヴュオンによる自伝的小説。

 

【まとめ】

年に1冊のペースで刊行がつづいているスコット・ハーヴァス・シリーズの新作が2位に登場しました。邦訳は第11作の『ブラック・リスト――極秘抹殺指令――』などが出ています。3位のヒルダーブランドは本コーナーが休みだった先週に初登場で首位を獲得。“サマー・ノベルの女王”と呼ばれ、ナンタケット島周辺を舞台とした作品で有名です。4位は常連のスティール。8位にアトキンソンの9年ぶりとなるシリーズ新作がランクインしました。同シリーズの邦訳は『探偵ブロディの事件ファイル』『マトリョーシカと消えた死体』が刊行されています。トップテン外では、『ミッシング・ガール』が日本でも刊行されたばかりのミーガン・ミランダの新作“THE LAST HOUSE GUEST”が14位にはいりました。

 

  1. 青木創(あおき はじめ)

    ゴールド・ダガー賞を受賞したジェイン・ハーパー『渇きと偽り』の続編『潤みと翳り』が8月に早川書房より刊行されます。オーストラリアの自然公園で合宿研修をおこなっていた5人の女のひとりが行方不明になるという筋立てです。また、脳科学者が「太らない脳」の作り方を解説したスーザン・パース・トンプソン『脳科学者が教える本当に痩せる食事法』も幻冬舎より8月刊行予定です。どうぞよろしくお願いいたします。