『ナヴァロンの要塞』

アリステア・マクリーン/平井イサク訳

ハヤカワ文庫NV

 全国の翻訳ミステリ愛好家の皆さんこんにちは。東京創元社編集部のSと申します。今回から「北上次郎先生ご推薦の冒険小説を読んで感想を書く」という一大ミッションに挑戦することになりました。

 そもそもこの企画は、あまり冒険小説を読んだことのなさそうな人間に読ませてみようというものらしく、22歳、女、といういかにも初心者な条件を持つ私に白羽の矢がたちました。なるべくネタバレをしないように気をつけながら、面白さを語っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて第一回はアリステア・マクリーン著、『ナヴァロンの要塞』です。……ここで正直に白状したいと思います。恥ずかしながら、会社に入るまでマクリーンを知りませんでした!(すみません! 石を投げないで下さい!)えー、本当に冒険小説は初心者です。が、頑張ります。

 まずはあらすじを……。

 エーゲ海にそびえ立つ難攻不落のナチスの要塞、ナヴァロン。その巨砲のために連合軍が払った犠牲は測り知れない。折りしも、近隣の小島ケロスにとどまる1200名の連合軍将兵が、全滅の危機に瀕していた。だがナヴァロンのある限り、救出は不可能。遂に、世界的登山家のマロリー大尉ら精鋭5人に特命が下った——ナヴァロンの巨砲を破壊せよ! 知力、体力の限りを尽くして不可能に挑む男たちの姿を描く冒険小説の金字塔!(本のカバーより)

 このあらすじを読んでまず感じたのは、「なんか難しそう」でした。連合軍、要塞、そして巨砲……今まで縁のなかった単語ばかりが並んでおります。加えて、「なんで登山家に特命が下るの?」と思いました。が、これは本文を読み始めるとあっさり理由がわかりました。ナヴァロンの要塞には連合軍が多大な被害を被っている巨砲があって、それをマロリー大尉たちはそれを爆破しなくてはならないわけです。今までは、そこにたどり着くのは海からも空からも不可能でしたが、唯一の希望が見つかりました。それは切り立った断崖絶壁をよじ登っていくこと! それで世界的登山家、偉大なロック・クライマーに特命が下るわけですね。

(つづく)