「締め切り、明日の16時だから。よろしく!」

 まさかの無茶ぶりで、急遽今回ピンチヒッター登板を果たすことになった私、ヴィレッジブックスの編集O。

 そして只今26時過ぎ……。連載ご担当者様、ごめんなさい。

 いえいえっ、お酒は飲んでません。本当です、今日は残業だったんです。

 明日朝イチでこの原稿送るからね!!! と遠い目で念じながら、目下パソコンに向かっております。

 さて、早起きのすすめ、というか、もっぱら朝型人間がスタンダードとなりつつあるこのご時世。早朝出勤に早朝会議、はてはパワーブレックファーストという名のビジネスミーティングまで、「デキる奴は朝仕事する」というのがある種の定石になっているような気がしますが、やっぱり編集者が暗躍——もとい、本領発揮するのは、草木が寝静まった深夜24時過ぎではないでしょうか。

打ち合わせ(と呼ばれる酒席)はもちろんのこと、ゲラと向き合いカバーまわりのネームを書く。こうした仕事のはかどり具合は、午後2時と午前2時では雲泥の差があるような。

たとえば同じ1時間でも、前者なら5ページしか進まないところ、後者だと50ページ進んだりするのもザラ。昼間3時間かけてさんざん悩んだ表4(あらすじ)が、深夜ひとりで残業してると30分でさくっと書けちゃったりするんですよね。

 これって、オフィスが静かで集中できるのももちろんあるんだろうけど、ある種、マラソンでいうランニング・ハイに似ているのかも。

 一日頭を使いつづけて腹ペコで血糖値も下がって、心身ともにどよ〜ん。「やめやめ、今日はもう帰るっ」と頭が悲鳴をあげても、なんとかそのまま机にお尻をはりつける。すると、そのうちフワッと脳が軽くなる瞬間が訪れるんです。そこから先はまわりの音や動きがいっさい気にならなくなり、いわば無我の境地? 気づくとあっという間に時間が過ぎてて、見事ノルマが終了。

 私の場合、このランニング・ハイのおかげで、どうにか鬼の校了スケジュールを今日までしのいでこられた、といっても過言ではありません。

 最近は出版業界も朝型の人がけっこう増えているみたいだけど、翻訳ミステリー業界にかぎってはどこか夜に強いイメージがあったり(←単に酒豪が多いからか?)。

ってなわけで、今夜もどこかで誰かが静まり返ったオフィスの中、ひっそりゲラに向かっているかもしれません。いや、殺人シーンの校正中とかは、マジで背筋がゾゾっとしたりもするんですけどね(笑)。

 そうそう、夜に暗躍するといえば、忘れちゃいけないのが噂の連続殺人鬼「デクスター」君の存在。昼はマイアミ警察の鑑識チームで活躍する爽やかナイスガイ。しかしながら、夜は血に飢えた冷酷無情な殺人者。ジェフ・リンジーの原作がドラマ化され、デクスター役のマイケル・C・ホールがゴールデングローブの主演男優賞をとったことでも話題になりましたね。日本でもシーズン3までDVDがリリースされ、間もなくケーブルチャンネルでシーズン4もスタートするとのこと。ドラマのさらなる魅力は堺三保さんがこちらで連載中の「TVを消して本を読め!」にて詳しく紹介されているのでそちらをご覧いただくとして、ご好評をいただいた原作「デクスター 幼き者への挽歌」に続く待望のシリーズ第2弾がいよいよ5月にヴィレッジブックスから登場します。今回も白石朗さんのシビれる訳で”血沸き肉躍る”世界観が展開されますので、どうぞご期待ください!

 ふぅ、只今27時。ギリギリセーフでなんとか本稿書き終わりました。

 てか大丈夫なのかしら? 間に合わなくてボツ、なんてことになりませんように。。。