2010年4月20日、青山ブックセンター六本木店にて、]『アガサ・クリスティーの秘密ノート』刊行記念 杉江松恋の○○トーク(まるまるとーく) VOL.1 ゲスト:羽田詩津子さんと、クリスティートークが開催されました。

 会場には多数のお客様が詰めかけ、立ち見もでるほど。書評家の新保博久さんや川出正樹さん、直井明さん、作家の道尾秀介さんなどもいらしていました。

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 トークは、まず羽田さんのクリスティー読書歴に始まり、訳書『アクロイド殺し』や『予告殺人』の翻訳秘話が披露され、それに伴い新刊『アガサ・クリスティーの秘密ノート』における、前述2冊への言及が紹介されました。『予告殺人』には、なんと二通りのストーリーが用意されていて、それによれば、被害者と加害者がまったくちがっているのです。

 そこを皮切りに、『アガサ・クリスティーの秘密ノート』に書かれた意外な作品の裏話(『スリーピング・マーダー』の発表年代のズレやタイトルの変遷、『ナイルに死す』の主人公変更説など)、使われなかったアイデア群(口紅から吸収される毒薬や、『インフルエンザ・ウイルスと閣僚』という謎の書き込み)なども開陳されました。

 そして、羽田さんの好きなクリスティーのベスト5に入るという『杉の柩』をテキストに、プチ読書会。ミステリ的な弱さも指摘するジョン・カラン氏の記述に対し、羽田・杉江両氏が自分の読みを披露しました(羽田『最初に読んだときは女性心理がうまく書かれていることにまず感心しました』、杉江『伏線の技巧が非常に卓越した小説だと思います』)。また、ロバート・バーナードの評伝『欺しの天才—アガサ・クリスティ創作の秘密』やクリスティーのインタビューの『杉の柩』に言及した部分の抜粋などを引用しつつ、初めてのクリスティー読者にも向いていると思われる『杉の柩』の優れた点や、クリスティー自身の後悔、推測されるその理由などを縦横無尽に語りました。

 最後は羽田さんが薦めるクリスティーのベスト5を発表。

(順不動)

『そして誰もいなくなった』

『ナイルに死す』

『ABC殺人事件』

『杉の柩』

『予告殺人』

次点『終りなき夜に生れつく』

 40分という時間があっという間に思えるほどの楽しいショーとなりました。

(HMM編集部M・K)