今年、設立10周年を迎えた本格ミステリ作家クラブでは、記念事業としてクラブが設立された2000年から2009年の10年間に翻訳されたミステリの中から最優秀作を選出することとしました。

 そのために、まず昨年末に会員から最優秀作に相応しいと思う作品(最大三作品)をあげてもらうアンケートを実施。同時に選考委員の推薦と立候補も募り、川出正樹、戸川安宣、法月綸太郎、横井司(五十音順、敬称略)の四氏に選考委員をお願いし、4月11日に選考会を開催。各委員には議論を円滑に行うために、アンケート結果をもとに事前に推薦作五作を挙げてもらいました。

 各自が推薦した作品は、以下の17作品です。ジェフリー・ディーヴァー『ウォッチメイカー』(文藝春秋)、ギジェルモ・マルティネス『オックスフォード連続殺人』(扶桑社ミステリー)、サラ・コードウェル『女占い師はなぜ死んでゆく』(ハヤカワ・ミステリ)、マイクル・コナリー『暗く聖なる夜』(講談社文庫)、マックス・アラン・コリンズ『黒衣のダリア』(文春文庫)、エドワード・D・ホック『サム・ホーソーンの事件簿?』(創元推理文庫)、オースチン・フリーマン『証拠は眠る』(原書房)、アントニイ・バークリー『ジャンピング・ジェニイ』(創元推理文庫)、マイクル・イネス『ストップ・プレス』(国書刊行会)、ジル・マゴーン『騙し絵の檻』(創元推理文庫)、ジャック・カーリイ『デス・コレクターズ』(文春文庫)、ボルヘス&ビオイ=カサーレス『ドン・イシドロ・パロディ 六つの難事件』(岩波書店)、ミネット・ウォルターズ『蛇の形』(創元推理文庫)、ジェフリー・ディーヴァー『魔術師(イリュージョニスト)』(文春文庫)、トマス・H・クック『夜の記憶』(文春文庫)、エミール・ガボリオ『ルルージュ事件』(国書刊行会)、マイクル・コナリー『わが心臓の痛み』(扶桑社ミステリー)[作品名50音順]。

 この中から、三時間に及ぶ議論の結果、最終候補作として『ウォッチメイカー』『女占い師はなぜ死んでゆく』『デス・コレクターズ』『蛇の形』『夜の記憶』『わが心臓の痛み』を選出。ここからさらに議論を進めて、

 ジャック・カーリイ・著 三角和代・訳『デス・コレクターズ』(文春文庫)

 を最優秀作とすることが、全会一致で決まりました。

 なお、詳しい選考経過及び作者と翻訳者の授賞コメントが6月15日発売の「ジャーロ」誌に掲載される予定です。