アメリカのベストセラー・ランキング

12月15日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1.  THE RISE OF MAGICKS    New!

Nora Roberts ノーラ・ロバーツ

死の病ドゥームによって文明が破壊された世界で、選ばれし救世主“ザ・ワン”として生まれ、魔法を操る力を身につけた少女ファロン。19歳に成長した彼女は、政府や犯罪集団に囚われた仲間たちの救出にあたりながら、世界を闇から守るシールドの回復を目指す。光の魔法トリロジー完結編。

 

  1. 2. THE GUARDIANS    Up

John Grisham ジョン・グリシャム

フロリダで弁護士が射殺される事件が起こり、かつての依頼人だったミラーという若い黒人が逮捕される。ミラーは有罪判決を受けるが、その後も22年にわたって獄中から無実を訴えつづけていた。冤罪被害者の救済活動をおこなっている牧師にして弁護士であるカレン・ポストは、ミラーの支援に乗り出す。

 

  1. 3. WHERE THE CRAWDADS SING    Down

Delia Owens デリア・オーエンズ

1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女カイヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。早川書房より3月に邦訳刊行予定。

 

  1. 4. CRISS CROSS    New!

James Patterson ジェイムズ・パタースン

刑事アレックス・クロス・シリーズ第27作。ヴァージニア州立刑務所で、自らが捕らえた殺人犯の死刑執行を見届けたクロス。だが数時間後、類似の手口の殺人事件が発生する。被害者の遺体には“しくじったな、クロス”と書かれた手紙が。はたしてクロスは無実の人間を死に追いやったのだろうか……。

 

  1. 5. A MINUTE TO MIDNIGHT    Down

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

FBI捜査官アトリーは、30年前に自分と双子の姉妹マーシーが連れ去られた事件を再捜査するため、故郷へ帰ってくる。ところが、狭い町は思いのほか秘密に満ちていて、調べはじめるや不可解な殺人事件がつぎつぎと起こる。過去をつつくことで事件が引き起こされたのだろうか。アトリーは昔の誘拐事件ばかりか現在の連続殺人にもかかわることになる。アトリー・パイン・シリーズの第2作。

 

  1. 6. THE INSTITUTE    Up

Stephen King スティーヴン・キング

侵入者に両親を殺され、真夜中に自宅から連れ去られた12歳の少年ルーク。目覚めると、きのうまで暮らした自分の部屋とそっくりだが窓のない部屋にいた。そこはある邪悪な目的をもった施設で、ルークのほかにも子どもたちが何人も集められていた。そしてその子たちに共通していたのは、全員がテレパシーやテレキネシスといった特殊能力をもっていることだった。

 

  1. 7. TWISTED TWENTY-SIX    Down

Janet Evanovich ジャネット・イヴァノビッチ

ステファニー・プラム・シリーズ第26作。ステファニーの祖母マズールが、ふたたび結婚することになった。相手は地元のギャング、ジミー・ロッソーリだ。しかし結婚の誓いをしてから45分後、新郎は心臓発作で亡くなる。ジミーのかつての“ビジネス・パートナー”は、マズールがジミーの財産に関する鍵を握っていると確信。彼女は危険に巻き込まれることになる。

 

  1. 8. BLUE MOON    Down

Lee Child リー・チャイルド

ジャック・リーチャー・シリーズ第24作。グレイハウンド・バスに偶然乗り合わせた老人を救い、老人とその妻が高利貸しに苦しめられていることを知ったリーチャーは、やがて町を二分するウクライナ人とアルバニア人のギャング抗争に巻きこまれていく。

 

  1. 9. THE TESTAMENTS    Up

Margaret Atwood マーガレット・アトウッド

環境破壊などで極端な少子化が進んだ近未来、子を産むためだけに支配層に仕える“侍女”たちの世界を描いたベストセラー・ディストピア小説『侍女の物語』(ドラマ『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』原作)の続編。前作からさらに15年後の世界を、独裁国家ギレアデの内側と外側にいる3人の女性の視点から描く。2019年度ブッカー賞受賞作。

 

  1. 10. SPY    New!

Danielle Steel ダニエル・スティール

1939年、イギリス。応急看護婦部隊に志願したアレックスは、語学力を買われ、スパイとして採用される。インド、パキスタン、モロッコ、香港、モスクワ、ワシントンD.C.……世界を飛びまわりながら、アレックスは第二次世界大戦期から冷戦期への時代の激動を目の当たりにする。

 

【まとめ】

例年ランキングの変動が控えめになる12月ですが、今週は3作が新たに登場しました。1位の“THE RISE OF MAGICKS”は光の魔法トリロジーの第3作にあたり、前2作の邦訳『世界の果てに生まれる光(上・下)』『闇に香るキス(上・下)』が扶桑社から刊行されています。4位にジェイムズ・パタースン、10位にダニエル・スティールと、ベストセラー常連作家の新作が入りました。本コーナーがお休みだった先週に初登場1位を獲得したバルダッチは今週5位。また、ランクイン65週目の大ヒット作で、今週も3位に入った“WHERE THE CRAWDADS SING”は、来年3月に早川書房から邦訳刊行が予定されています。

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    1. 中谷友紀子(なかたに ゆきこ)

      翻訳者。訳書にジェニファー・イーガン『マンハッタン・ビーチ』、サムエル・ビョルク『オスロ警察殺人捜査課特別班 フクロウの囁き』、C・J・チューダー『白墨人形』など。