『木星(ジュピター)の骨』上下/Jupiter’s Bones

フェイ・ケラーマン(Faye Kellerman)/高橋恭美子・訳

創元推理文庫/定価各1008円(税込)/9月21日/ISBN:(上)978-4-488-28217-2(下)978-4-488-28218-9

死亡したのはジュピターと呼ばれる男。教祖にしてかつての大学教授で物理学の権威。事件の知らせにデッカーは現場へ急行する。だが相手はカルト教団。事故か自殺か、他殺かもわからないうちに、信者たちが勝手に遺体を動かし、教団内の医者が勝手に死亡診断書までこしらえていた。警察を侵害者とみなし、あくまで非協力的な態度をとる教団員たち相手に、捜査は難航する。閉鎖的な教団内でなにが起こっているのか? 好評シリーズ。解説=松浦正人

初心者のためのフェイ・ケラーマン入門

『三つの秘文字』上下/Sacrifice

S・J・ボルトン(S. J. Bolton)/法村里絵・訳

創元推理文庫/定価各903円(税込)/9月21日/ISBN:(上)978-4-488-20703-8(下)978-4-488-20704-5

シェトランドに越してきたトーラは、ある日裏庭で女性の死体を掘りあててしまう。心臓がえぐられ背中に三つのルーン文字が刻まれた遺体は、出産後間もない身だったことを語っていた。やがて身元が判明するが、彼女は遺体から推定される死亡年月の前年に死んだことになっていた。閉鎖的な島になじめず苦悩する女医が巻き込まれた不可解な事件の真相とは──。MWA賞受賞の新鋭が放つ、英米累計25万部突破の傑作英国ミステリ!解説=川出正樹

『シャンハイ・ムーン』/The Shanghai Moon

S・J・ローザン(S. J. ROZAN)/直良和美・訳

創元推理文庫/定価各1533円(税込)/9月29日/ISBN:978-4-488-15311-3

私立探偵のリディアは、知り合いの同業者ピラースキーに頼まれ宝石捜しの案件を手伝うことになる。だが、調査を始めて間もなく、ピラースキーは何者かに殺されてしまう。消えた宝石と彼の死は、調査の過程で浮かび上がった伝説的なブローチ《シャンハイ・ムーン》の行方と関わりがあるのだろうか? そして、頼もしき相棒ビルはいつニューヨークへ帰ってくる? 私立探偵小説の新たなるスタンダード、シリーズ第九弾。解説=酒井貞道

〈創元推理文庫2011年復刊フェア〉

※ミステリ関連のものだけ取りあげています。全10点のラインナップは下記参照。

http://www.tsogen.co.jp/news/2011/07/11072219.html

『ニューヨーク・ブルース』【新解説!】

ウィリアム・アイリッシュ(William Irish)/村上博基・訳

創元推理文庫/定価各1050円(税込)/ISBN:978-4-488-12008-5

戦後のわが国に紹介されたミステリ作家のなかで、もっとも広く歓迎されたサスペンス・スリラーの第一人者ウィリアム・アイリッシュの傑作の粋を集めた待望の短編集。大都会のなかの人間の孤独、しのびよる死の影の戦慄、絶望と焦燥にさいなまれる犠牲者等、常に意表をつく技巧と主題の多様性に加えて、作者の独壇場ともいうべき哀切な雰囲気描写と緊迫したサスペンスは永遠に読者を魅了せずにはおかない強烈な磁力を秘めている。本巻には13編を収録。解説=門野集

【収録作品】「三時」「自由の女神事件」「命あるかぎり」「死の接吻」「ニューヨーク・ブルース」「特別配達」「となりの死人」「ガムは知っていた」「借り」「目覚めずして死なば」「さらばニューヨーク」「ハミング・バード帰る」「送って行くよ、キャスリーン」

『サウサンプトンの殺人』【新カバー!】

F・W・クロフツ(F. W. Crofts)/大庭忠男・訳

創元推理文庫/定価各1050円(税込)/ISBN:978-4-488-10628-7

セメントの新製法を探るべくチェイル社に侵入したジョイマウント社の二人は、見咎めた夜警をノックアウトし、間の悪いことに死なせてしまう。遺体を運び出し自動車事故に偽装するが、素人の悲しさ、首席警部フレンチの目を誤魔化せるわけもない。更にはチェイル社の首脳陣にねじこまれ、事態は新たな局面を迎える。恐喝まがいの要求を呑むしかないのか。ジョイマウント絶体絶命!

『コナン・ドイル』【新カバー!】

ジュリアン・シモンズ(Julian Symons)/深町眞理子・訳

創元推理文庫/定価各987円(税込)/ISBN:978-4-488-10006-3

今や名探偵の代名詞となり、世界中で愛されているシャーロック・ホームズ。この文学史上屈指のキャラクターを創造したコナン・ドイルとは、いかなる人物であったのか? 生い立ちから作家生活、そして社会問題への精力的な活動──。英国推理文壇の巨匠シモンズが、新資料と豊富な図版を駆使して、波瀾に満ちたその生涯を簡明に描く。ドイルならびにホームズ研究の格好の入門書。

『陸橋殺人事件』【新カバー/新解説!】

ロナルド・A・ノックス(Ronald A. Knox)/宇野利泰・訳

創元推理文庫/定価各882円(税込)/ISBN:978-4-488-17201-5

推理小説ファン待望の古典的名作。イングランドの一寒村にあるゴルフ場でプレイ中の4人組は、推理談義に花を咲かせていた。みな推理小説にはうるさい一言居士ぞろい。ところが、たまたまスライスした打球を追ううちに、鉄道の走る陸橋から落ちたと思しき、顔のつぶれた男の死体を発見する。警察の捜査をよそに、素人探偵たちの活躍が始まる。解説=戸川安宣

『マローン殺し』

クレイグ・ライス(Craig Rice)/山田順子・訳

創元推理文庫/定価各1050円(税込)/ISBN:978-4-488-24905-2

絶妙のユーモアで読者を魅了する都会派クレイグ・ライス。本書は、愛すべき酔いどれ弁護士の活躍が堪能できる珠玉の第1短編集。怒涛の笑いが押しよせる表題作に、天使のジョーの甥っ子が巻きこまれた頓狂な怪事件「恐ろしき哉、人生」、マローンが救った女は本当に自殺志願者なのか、抜群の発端が意外な物語に繋がる名品「さよなら、グッドバイ!」など、彩豊かに秀作10編を収めた。解説=近藤史恵

【収録作品】「マローン殺し」「邪悪の涙」「胸が張り裂ける」「永遠にさよなら」「そして鳥は歌いつづける」「彼は家へ帰れない」「恐ろしき哉(かな)、人生」「さよなら、グッドバイ!」「不運なブラッドリー」「恐怖の果て」