ミスター・クラリネットMr.Clarinet (2006)

 ニック・ストーン Nick Stone/熊谷千寿訳

 945円(上巻・税込)966円(下巻・税込)/2011年11月10日発売

 ISBN:(上) 978-4-270-10398-2 (下) 978-4-270-10399-9

理性も秩序も黒々と溶け崩れた土地。なんと恐ろしいノワール・スリラーだろう。これは地獄の物語である。呪術の跳梁。悪鬼が吹く魔笛。狂気と悪徳の底で、それでも本書が問うのは正義——地獄の底の正義なのだ。——霜月蒼(ミステリ研究家)

失踪した少年を見つければ1000万ドルの報酬——

元私立探偵マックスは騒乱とヴードゥーのハイチへ!

英国推理作家協会賞、マカヴィティー最優秀新人賞受賞

生きて連れ帰れば1000万ドル、死体でも500万ドル。

それが、2年前に忽然と姿を消した3歳の少年チャーリーの発見にかけられた報償金だった。

依頼人は、ハイチの実業界を牛耳るグスタヴ・カーヴァーの息子で、チャーリーの父親アラン。

7年前、幼女を惨殺した少年少女3人を殺して服役、ようやく出所した

元私立探偵マックス・ミンガスにとっては喉から手が出るほど欲しい金だ。

だが、調査の舞台は警察組織などなきに等しく、いまだにヴードゥーの呪術や占いが力をふるうハイチ。

しかも、マックスの前に雇われた3人の探偵は1人が惨殺され、1人は行方不明、1人は精神錯乱となっていた。

さらに、マックスに深い恨みを持つ連続殺人者ブークマンが米国から強制送還され、首都ポルトープランスにいるという。

それだけの危険と報酬を秤にかけ、ためらっていたマックスだったが、

服役中に事故死した妻が夢まくらに立って依頼を受けるよう訴えてきたし、

また下調べで訪れたマイアミの教会の司祭から、

子どもをさらうハイチ版ハーメルンの笛吹き「ミスター・クラリネット」の伝説を教えられ、

やはり失踪したという司祭の姪の行方を捜すよう頼まれたこともあって、ポルトープランスへ向かうことを決意する。

だが、そこでマックスを待っていたのは、まさに悪夢としか言いようのない世界だった……!

「グレアム・グリーンの『喜劇役者』と並べて語られる作品になるだろう」(オブザーヴァー紙)、

「パルプフィクションとフィルム・ノワールへのオマージュ」(ガーディアン紙)と絶賛された、期待の大型新人デビュー。

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*1:詳しくは前回の記事を参照のこと。

*2:この判定でシリーズを続けて読むか否かが決まるらしいですよ。その詳しい法則は小財満も知りません。