アメリカのベストセラー・ランキング

12月29日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. WHERE THE CRAWDADS SING    Up

Delia Owens デリア・オーエンズ

1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女カイヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。早川書房より3月に邦訳刊行予定。

 

  1. 2. THE GUARDIANS    Down

John Grisham ジョン・グリシャム

フロリダで弁護士が射殺される事件が起こり、かつての依頼人だったミラーという若い黒人が逮捕される。ミラーは有罪判決を受けるが、その後も22年にわたって獄中から無実を訴えつづけていた。冤罪被害者の救済活動をおこなっている牧師にして弁護士であるカレン・ポストは、ミラーの支援に乗り出す。

 

  1. 3. CRISS CROSS    Stay

James Patterson ジェイムズ・パタースン

刑事アレックス・クロス・シリーズ第27作。ヴァージニア州立刑務所で、自らが捕らえた殺人犯の死刑執行を見届けたクロス。だが数時間後、類似の手口の殺人事件が発生する。被害者の遺体には“しくじったな、クロス”と書かれた手紙が。はたしてクロスは無実の人間を死に追いやったのだろうか……。

 

  1. 4. THE INSTITUTE    Stay

Stephen King スティーヴン・キング

侵入者に両親を殺され、真夜中に自宅から連れ去られた12歳の少年ルーク。目覚めると、きのうまで暮らした自分の部屋とそっくりだが窓のない部屋にいた。そこはある邪悪な目的をもった施設で、ルークのほかにも子どもたちが何人も集められていた。そしてその子たちに共通していたのは、全員がテレパシーやテレキネシスといった特殊能力をもっていることだった。

 

  1. 5. A MINUTE TO MIDNIGHT    Stay

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

FBI捜査官アトリーは、30年前に自分と双子の姉妹マーシーが連れ去られた事件を再捜査するため、故郷へ帰ってくる。ところが、狭い町は思いのほか秘密に満ちていて、調べはじめるや不可解な殺人事件がつぎつぎと起こる。過去をつつくことで事件が引き起こされたのだろうか。アトリーは昔の誘拐事件ばかりか現在の連続殺人にもかかわることになる。アトリー・パイン・シリーズの第2作。

 

  1. 6. THE DUTCH HOUSE    Up

Ann Patchett アン・パチェット

瀟洒な屋敷〈ダッチハウス〉で何不自由なく暮らす二人の子供、姉ミーブと弟ダニー。あるとき継母がやってきて二人は屋敷から追われてしまう。それから数十年、つらい生活のなかで姉弟は分かちがたい絆で結ばれる一方、二度ともどれない家へと何度となく引き寄せられていく。家族の離散と過去への執着の物語。

 

  1. 7. BLUE MOON    Down

Lee Child リー・チャイルド 

ジャック・リーチャー・シリーズ第24作。グレイハウンド・バスに偶然乗り合わせた老人を救い、老人とその妻が高利貸しに苦しめられていることを知ったリーチャーは、やがて町を二分するウクライナ人とアルバニア人のギャング抗争に巻きこまれていく。

 

  1. 8. TWISTED TWENTY-SIX    Down

Janet Evanovich ジャネット・イヴァノビッチ

ステファニー・プラム・シリーズ第26作。ステファニーの祖母マズールが、ふたたび結婚することになった。相手は地元のギャング、ジミー・ロッソーリだ。しかし結婚の誓いをしてから45分後、新郎は心臓発作で亡くなる。ジミーのかつての“ビジネス・パートナー”は、マズールがジミーの財産に関する鍵を握っていると確信。彼女は危険に巻き込まれることになる。

 

  1. 9. THE TESTAMENTS    Down

Margaret Atwood マーガレット・アトウッド

環境破壊などで極端な少子化が進んだ近未来、子を産むためだけに支配層に仕える“侍女”たちの世界を描いたベストセラー・ディストピア小説『侍女の物語』(ドラマ『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』原作)の続編。前作からさらに15年後の世界を、独裁国家ギレアデの内側と外側にいる3人の女性の視点から描く。2019年度ブッカー賞受賞作。  

 

  1. 10. OLIVE, AGAIN    Down

Elizabeth Strout エリザベス・ストラウト

ピューリッツァー賞を受賞した『オリーヴ・キタリッジの生活』の続編。父の死を受け入れようとする少女。出産を控えた女。学生時代の秘めた恋を告白する看護師。遺産を相続したくない弁護士。小さな港町クロスビーに暮らす人々に、傍若無人な数学教師オリーヴがかかわっていく。

 

【まとめ】

先週と同じく、今週も新作はランクインしませんでした。7位のジャック・リーチャー・シリーズは第9作の『アウトロー』と第18作の『ネバー・ゴー・バック』がトム・クルーズ主演で映画化されていますが、新たにアマゾンのプライム・ビデオでテレビシリーズ化されることが決まったようです。まだ詳細は明らかにされていませんが、だれがリーチャーを演じることになるのか、ファンには非常に気になるところです。なお、邦訳の新作は来年刊行予定です。

 

    1. 青木創(あおき はじめ)

      翻訳者。訳書にJ・ハーパー『潤みと翳り』、L・チャイルド『ミッドナイト・ライン』、S・P・トンプソン『脳科学者が教える本当に痩せる食事法』など。