20110910144630.jpg 田口俊樹

第三回翻訳ミステリー大賞授賞式およびコンベンションをつつがなく、いや、前回以上の盛り上がりの中、閉幕することができました。

これもひとえにみなさまのご支援、ご協力の賜物です。

お忙しいところ、ご出席くださった方々には改めてお礼申し上げます。

当日の模様はUSTREMのLIVE WIRE にて視聴いただけます。

すでに本サイトで告知いたしましたが、http://www.ustream.tv/channel/go-livewire をお訪ねいただければ幸いです。

今後も何卒よろしくお願い申し上げます。

(たぐちとしき:ローレンス・ブロックのマット・スカダー・シリーズ、バーニイ・ローデンバー・シリーズを手がける。趣味は競馬とパチンコ)

  20111003173346.jpg  横山啓明

14日のコンベンションに出席して

いただいたみなさま、

ありがとうございました。

来年もまた、楽しいイベントにして

いきたいと思っています。

祭りも終わり、気持ちを切り替えて、

さて、仕事! と思ったのですが、

いつもの生活リズムに戻すのに

2日かかってしまいました。

若い頃は、ひと晩寝るとすぐに

元どおりになったのですが……

確実に老いてますね。

ランニングも再開しなければ。

(よこやまひろあき:AB型のふたご座。音楽を聴きながらのジョギングが日課。主な訳書:ペレケーノス『夜は終わらない』、ダニング『愛書家の死』ゾウハー『ベルリン・コンスピラシー』アントニィ『ベヴァリー・クラブ』ラフ『バッド・モンキーズ』など。ツイッターアカウント@maddisco

20120301171436.jpg 鈴木恵

 第3回翻訳ミステリー大賞受賞作『忘れられた花園』は1913年のオーストラリアから始まりますが、その1910年代から20年代にかけてシドニー警察で撮影されたいわゆるマグショット(逮捕者の顔写真)をネット上で見ていたら、すっかり引き込まれてしまった。

 たとえばこの人。このふてぶてしいかっこよさは、まるで映画の1シーンですよね。押し込み、金庫破り、故買などが専門だったとか。

 いちばん心がざわついたのはこの人。妻殺しの容疑で逮捕してみたら、なんと女だったという。妻に正体がばれたので殺したのだとか。調べてみたら伝記も何冊か出ていた。職を得るために子供のころから男の子の格好をしていたらしい。さぞかし困難な人生だったのではないかと思う。

 これらの写真を集めた『City of Shadows』という本も出ている。ちなみに、編者は『有り金をぶちこめ』で日本にも紹介されたオーストラリアの犯罪小説家ピーター・ドイル。

(すずきめぐみ:文芸翻訳者・馬券研究家。最近の主な訳書:『ドライヴ』『生、なお恐るべし』『ピザマンの事件簿2/犯人捜しはつらいよ』。最近の主な馬券:なし orz。ツイッターアカウント@FukigenM

  20111003173742.jpg  白石朗

 商売柄、翻訳についての本は目につけば買っておくようにしている。昨年でいえば、井上健『文豪の翻訳力——近現代日本の作家翻訳』や高見啓輔『字幕の名工——秘田余四郎とフランス映画』。とくに後者では、秘田氏の豪快にして細心な字幕翻訳の妙味が味わえるほか。先日ジョン・ル・カレ『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』の新訳を手がけられた村上博基氏がフレデリック・フォーサイスの翻訳で知られる篠原慎氏らとともに、秘田氏主宰の映画字幕会社に一時在籍、そののち東北社でテレビの吹き替え畑で活躍していた話などが、私的にはたいへん興味深かった(ちなみに秘田氏にはポケミスでの訳業もある)。そういった映像畑の吹き替え翻訳や字幕翻訳の黎明期の話は、今年1月に刊行された柴田耕太郎『翻訳家になろう!』にもちらりと出てくるので、ご興味のあるむきはぜひ、こちらもお手にとっていただきたい。

 最近、わが家の翻訳関連書棚にくわわったのが中西裕『ホームズ翻訳への道——延原謙評伝』。日本で初めてホームズ作品の全訳という偉業をなしとげた翻訳者の生涯を、その両親から語り起こすという大労作。巻末に添えられた著作目録を見ていると、およそ飽きることがない。

 このへんの本を新たに棚に押し込めていてふと目についたのが、川本皓嗣・井上健編『翻訳の方法』。川本氏の序文によれば「これは英語を通じて翻訳を考え、翻訳を通じて英語を考える本」とのことで、ぼくがどちらかといえば(版元からもわかるように)学術的なこの本を買った理由は、ただひとつ——〈翻訳の実践〉というコーナーがあって、現代イギリス小説から引いた同一の英文を柴田元幸氏や行方昭夫氏をはじめとする複数の翻訳者が「競訳」しており、そのひとりが“超訳”で知られる天馬龍行氏だったからだ。こんなメンバーの翻訳の読み比べができる本は、寡聞にして知らない。

 などと書いていたら、木村榮一『翻訳に遊ぶ』の発送通知メールが飛びこんできた。楽しみにしていた新刊だ。

(しらいしろう:1959年の亥年生まれ。進行する老眼に鞭打って、いまなおワープロソフト「松」でキング、グリシャム、デミル等の作品を翻訳。最新訳書はヒル『ホーンズ—角—』、デミル『ゲートハウス』、キング『アンダー・ザ・ドーム』。ツイッターアカウント@R_SRIS

 20120102101224.jpg 越前敏弥

 授賞式&コンベンションへのご協力ありがとうございました。まだご覧になっていない方はUst録画をどうぞ(田口さんの記事内にリンクがあります)。

 個人的には、各地方読書会の参加者の方が集まって、ミステリー談義に花が咲いているのを見ることができたのをやはり何よりうれしく思いました。福岡読書会の創設当初からのメンバーである zasshokuさんのブログ記事には、今後の各地の読書会のあり方についての貴重な示唆がいくつもあり、参考にさせてもらいたいと思っています(各地の読書会参加者のかたがた、ぜひ読んでください)。特に「他の企画はどれもその分野についてよく知ってなければ参加できない感じがするけど、読書会はとにかく課題本を読んでくれば参加できる」というご意見があったとのこと、なるほどと思いました。もっとライトな宴会などもどんどんやってもらいたい一方、原点としての読書会もやはり外せないんだな、と。

 各地の読書会を連携する新企画があるとのこと、楽しみにしています。こちらも今年さらにいくつかの企画を仕掛けていくつもりですが、自主的に読書会を立ち上げたい方はご一報ください。

(えちぜんとしや:1961年生。おもな訳書に『解錠師』『夜の真義を』『Yの悲劇』『ダ・ヴィンチ・コード』など。趣味は映画館めぐり、ラーメン屋めぐり、マッサージ屋めぐり、スカートめくり[冗談、冗談]。ツイッターアカウント@t_echizen。公式ブログ「翻訳百景」 )

20111003174437.jpg 加賀山卓朗

 コンベンションの興奮さめやらぬなか……

 広告の文言が気になる。とくに謳い文句どおりの効果がなかったときにどう言いわけするか。

「シェイプアップ効果が期待できます」なんてのは言い逃れしやすい。「期待できると言っただけで約束したわけじゃありませんからね、ふん」と。

「効いたよね……」の類はどうだろう。効かなかった人に対しては、「個人の感想です」とか「コマーシャルなんだからあなた、かたいこと言わないで」と返せるのかな。

 いちばん気になるのが、新聞や雑誌によくある、いつまでも若々しくとか、男を取り戻そう、現役どうこうというやつ。これ、買う人の目的は風邪のとき以上にはっきりしているはずだけど、広告の文句は群を抜いて抽象的。要するにいくらでも言い逃れができる。なんか悪いことができそうです。

(かがやまたくろう:ロバート・B・パーカー、デニス・ルヘイン、ジェイムズ・カルロス・ブレイク、ジョン・ル・カレなどを翻訳。運動は山歩きとテニス)

20111003174611.jpg 上條ひろみ

 先日の第三回翻訳ミステリー大賞授賞式&コンベンション、盛り上がりましたね!

 受賞作の『忘れられた花園』は、刊行してすぐに読ませていただきましたが、そのときから「これは今年のベストワン確実」と思っていたので、ご贔屓スターが賞をもらったときのように、ファンとしてとてもうれしかったです。著者のケイト・モートンさん、訳者の青木純子さん、および関係者のみなさま、ほんとうにおめでとうございます! 『ミステリが読みたい!2012年版』にも書きましたが、“ここが変だよ!”というところをあえて紹介してしまう訳者あとがきに、作品への愛を感じました。

 そして! 授賞式のあとのコージー部屋にはたくさんの方々が来てくださって、とっても楽しいお茶会となりました。今年はお菓子その他の差し入れがとにかく豪華で、テーブルの上の華やかさではどこの部屋にも負けていなかったと思います。差し入れをくださったみなさま、ほんとうにありがとうございました。みなさんとコージー愛をたしかめあうことができたし、コージー担当の編集者さんたちからもいろいろなお話を聞けたし、コージー初心者の方にも、なんかおもしろそうと思っていただけたかな。拙いホステス役でしたが、訪問してくださったみなさま、ほんとうにありがとうございました&お疲れさまでした。

(かみじょうひろみ:神奈川県生まれ。ジョアン・フルークの〈お菓子探偵ハンナ・シリーズ〉(ヴィレッジブックス)、カレン・マキナニーの〈朝食のおいしいB&Bシリーズ〉(武田ランダムハウスジャパン)などを翻訳。趣味は読書とお菓子作り)

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