アメリカのベストセラー・ランキング

1月19日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. WHERE THE CRAWDADS SING    Stay

Delia Owens ディーリア・オーエンズ

1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女カイアは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。邦訳は『ザリガニの鳴くところ』(友廣純訳)として早川書房より3月5日刊行予定。

 

  1. 2. THE GUARDIANS    Stay

John Grisham ジョン・グリシャム

フロリダで弁護士が射殺される事件が起こり、かつての依頼人だったミラーという若い黒人が逮捕される。ミラーは有罪判決を受けるが、その後も22年にわたって獄中から無実を訴えつづけていた。冤罪被害者の救済活動をおこなっている牧師にして弁護士であるカレン・ポストは、ミラーの支援に乗り出す。

 

  1. 3. SUCH A FUN AGE    New!

Kiley Reid カイリー・リード

ベビーシッターの仕事中、預かった子どもと高級スーパーマーケットに出かけたエミラは、児童誘拐を疑われて警備員に声をかけられ、騒ぎになる。エミラは大学卒業後もパートタイムの仕事を続ける20代半ばの黒人女性。雇い主のアリックスは、ブログやSNSでライフスタイルを発信する裕福な白人家庭の母親。ふたりのかかわりを通して、人種、階級、経済格差、友情など、さまざまな問題を描く。

 

  1. 4. THE SILENT PATIENT    Up

Alex Michaelides アレックス・マイクリーディーズ

有名画家のアリシア・ベレンソンは完璧な人生を送っているようにみえた。夫のゲイブリエルは人気のファッション・カメラマンで、住まいはロンドンの一等地に建つ壮大な家だ。しかしある夜、仕事から帰ってきたゲイブリエルの顔に向け、アリシアは5発の銃弾を撃ちこむ。それ以来、彼女はいっさい、口をつぐむのだった。邦訳『サイコセラピスト』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ、坂本あおい訳)が刊行ずみ。

 

  1. 5. THE DUTCH HOUSE    Up

Ann Patchett アン・パチェット

瀟洒な屋敷〈ダッチハウス〉で何不自由なく暮らす二人の子供、姉ミーブと弟ダニー。あるとき継母がやってきて二人は屋敷から追われてしまう。それから数十年、つらい生活のなかで姉弟は分かちがたい絆で結ばれる一方、二度ともどれない家へと何度となく引き寄せられていく。家族の離散と過去への執着の物語。

 

  1. 6. CRISS CROSS    Down

James Patterson ジェイムズ・パタースン

刑事アレックス・クロス・シリーズ第27作。ヴァージニア州立刑務所で、自らが捕らえた殺人犯の死刑執行を見届けたクロス。だが数時間後、類似の手口の殺人事件が発生する。被害者の遺体には“しくじったな、クロス”と書かれた手紙が。はたしてクロスは無実の人間を死に追いやったのだろうか……。

 

  1. 7. THE INSTITUTE    Down

Stephen King スティーヴン・キング

侵入者に両親を殺され、真夜中に自宅から連れ去られた12歳の少年ルーク。目覚めると、きのうまで暮らした自分の部屋とそっくりだが窓のない部屋にいた。そこはある邪悪な目的をもった施設で、ルークのほかにも子どもたちが何人も集められていた。そしてその子たちに共通していたのは、全員がテレパシーやテレキネシスといった特殊能力をもっていることだった。

 

  1. 8. THE GIVER OF STARS    Up

Jojo Moyes ジョジョ・モイーズ

1930年代、アメリカ人と結婚したアリスは、英国での窮屈な人生から抜け出せるものと考えていたが、ケンタッキー州の小さな町へ移っても、結局は息の詰まる毎日がつづいた。しかしアリスは山奥まで馬で本を届ける巡回図書館員として働きはじめ、同僚の女性4人と友情をはぐくむようになる。実話にもとづく物語。

 

  1. 9. A MINUTE TO MIDNIGHT    Down

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

FBI捜査官アトリーは、30年前に自分と双子の姉妹マーシーが連れ去られた事件を再捜査するため、故郷へ帰ってくる。ところが、狭い町は思いのほか秘密に満ちていて、調べはじめるや不可解な殺人事件がつぎつぎと起こる。過去をつつくことで事件が引き起こされたのだろうか。アトリーは昔の誘拐事件ばかりか現在の連続殺人にもかかわることになる。アトリー・パイン・シリーズの第2作。

 

  1. 10. BLUE MOON    Down

Lee Child リー・チャイルド

ジャック・リーチャー・シリーズ第24作。グレイハウンド・バスに偶然乗り合わせた老人を救い、老人とその妻が高利貸しに苦しめられていることを知ったリーチャーは、やがて町を二分するウクライナ人とアルバニア人のギャング抗争に巻きこまれていく。

 

 

【まとめ】

あけましておめでとうございます。本年もNYTベストセラー速報をどうぞよろしくお願いいたします。

動きの少なかったホリデーシーズンが過ぎて、今週は新作が登場しています。3位に初登場のカイリー・リードは、多くの作家を輩出しているアイオワ・ライターズ・ワークショップを卒業したばかりの新人作家。本作がデビュー作ながら、すでにTVドラマ化、映画化がともに進行中とのこと。その他、15位までのリストに大きな変動はなく、今週もディーリア・オーエンズが首位をキープしています。3月の邦訳刊行が楽しみです。

 

 

    1. 吉井智津(よしい ちづ)

      翻訳者。訳書に、ナディア・ムラド『THE LAST GIRL―イスラム国に囚われ、闘い続ける女性の物語』(東洋館出版社)、アラベラ・カーター・ジョンソン『小さなモネ―アイリス・グレース―自閉症の少女と子猫の奇跡』(辰巳出版)など。