『月に歪む夜』/The Pull of the Moon

ダイアン・ジェーンズ(Diane Janes)/横山啓明・訳

創元推理文庫/定価1260円(税込)/9月11日/ISBN:978-4-488-15823-1

1972年、大学生のわたしと恋人のダニー、その友人のサイモンは、親元を離れサイモンの叔父の家で、三人だけでひと夏を過ごすことになっていた。だが、海で出会ったトゥルーディーという少女を家に連れ帰ったことで、すべての歯車が少しずつ、だが確実に狂いはじめる……。情感豊かな筆致で描く現在と過去、積み重ねられる謎、圧巻のクライマックス──。大型新人のデビュー長編。

『ディミター』/Dimiter

ウィリアム・ピーター・ブラッティ(William Peter Blatty)/白石朗・訳

創元推理文庫/定価各1155円(税込)/9月21日/ISBN:978-4-488-19811-4

1973年、宗教弾圧と鎖国政策下の無神国家アルバニアで、正体不明の人物が勾留された。男は苛烈な拷問に屈することなく、驚くべき能力で官憲を出し抜き行方を晦ました。翌年、聖地エルサレムの医師メイヨーと警官メラルの周辺で、不審な事件や〈奇跡〉が続けて起きる。謎が謎を呼び事態が錯綜する中で浮かび上がる異形の真相とは。『エクソシスト』の鬼才による入魂の傑作ミステリ! 解説=夏来健次

『ファイアーウォール』上下/Brandvägg

ヘニング・マンケル(Henning Mankell)/柳沢由実子・訳

創元推理文庫/定価各1260円(税込)/9月21日/ISBN:(上)978-4-488-20914-8(下)978-4-488-20915-5

19歳と14歳の少女がタクシー運転手を襲う事件が発生。逮捕された少女たちは金欲しさの犯行だと自供、反省の色はない。ヴァランダーには彼女たちが理解できなかった。あまりにふてぶてしい二人の態度。尋問の席で母親を罵倒し殴った少女に腹をたてたヴァランダーは、思わず彼女に平手打ちを食らわせてしまう。ところがその瞬間をマスコミに流されてしまったのだ。孤立感に苛まれるヴァランダー。北欧ミステリの巨匠の傑作シリーズ。

『闇のしもべ』上下/Instruments of Darkness

イモジェン・ロバートスン(Imogen Robertson)/茂木健・訳

創元推理文庫/定価各987円(税込)/9月21日/ISBN:(上)978-4-488-14907-9(下)978-4-488-14908-6

1780年、ウエスト・サセックスの爽やかな朝。解剖学者クラウザーを、隣家の提督夫人ハリエットが訪ねてきた。自らの地所で、咽喉を斬られた男の死体を発見したという。その被害者が所持していた指輪の紋章は、この国で最高の格式を誇るソーンリー家のものであった……。厭世家の解剖学者と才気煥発な提督夫人。好対照の探偵コンビが壮大な謎に挑む、歴史ミステリ・シリーズ開幕編。

『フランス白粉の謎【新訳版】』/The French Powder Mystery

エラリー・クイーン(Ellery Queen)/中村有希・訳

創元推理文庫/定価各1029円(税込)/9月27日/ISBN:978-4-488-10437-5

五番街にある〈フレンチズ・デパート〉のウィンドウに展示された寝台から、女性の死体が転がり出た。被害者はデパートの取締役会長の後妻。遺体のくちびるには口紅が塗りかけで、所持していた別の口紅からは謎の白い粉が発見される……。この怪事件から唯一無二の犯人を導き出す、エラリーの名推理。巨匠クイーンの地位を不動のものとした〈国名シリーズ〉第二作。解説=芦辺拓

『俳優パズル』/A Puzzle for Players

パトリック・クェンティン(Patrick Quentin)/白須清美・訳

創元推理文庫/定価1050円(税込)/9月27日/ISBN:978-4-488-14707-5

アルコール依存症の治療を終えたピーター・ダルースは、素晴らしい脚本に巡りあい、名プロデューサーとして華々しい復活を遂げるべく奮闘していた。だが、いわくつきの劇場で興行を打つ成り行きに、リハーサル初日からぎくしゃくした空気が漂う。難点だらけの俳優陣に加え、トラブルメーカーが乱入して、ピーターの苛々は募る一方。ついには死者複数を出して官憲の介入を許す事態に陥り、素人探偵の真相究明は時間との闘いを強いられる。果たして芝居の幕は上がるのか? 『迷走パズル』に続く、パズルシリーズ第二作。解説=法月綸太郎

『冷たい川が呼ぶ』上下/So Cold the River

マイクル・コリータ(Michael Koryta)/青木悦子・訳

創元推理文庫/定価各987円(税込)/9月27日/ISBN:(上)978-4-488-11704-7(下)978-4-488-11705-4

“見えないはずのものが見える”能力を持つビデオ製作者のエリックは、93歳の大富豪、キャンベル・ブラッドフォードの生涯を探るビデオ製作を依頼される。手がかりはキャンベルが唯一手放さなかったプルート水という水と、「あの川は本当に冷たかった」というひと言だけ。彼の故郷に到着したエリックは、蒸気機関車に乗った山高帽の男を幻視し……。早熟の天才が放つ傑作ミステリ。解説=吉野仁

『マッドアップル』/Madapple

クリスティーナ・メルドラム(Christina Meldrum)/大友香奈子・訳

創元推理文庫/定価1365円(税込)/9月27日/ISBN:978-4-488-22207-9

アスラウグは母とふたりで暮らしていた。野草を食べ、薬草を煎じる毎日。母が今日ほしがっているのは、毒のあるマッドアップルだ……。二〇〇七年、アスラウグにかけられているのは殺人未遂と第一級謀殺の容疑。彼女は母親を殺して埋め、伯母と従姉妹を殺し建物に火を放ったのか? 証人がひとつ証言するたびに、浮かび上がる万華鏡のような事件の様相。真実は何処に? 全米図書館協会ベストブックに選ばれた、気鋭の処女作登場。