こんにちは。杉江松恋です。

ふと思い立ってtwitter上で、#あなたの好きなホームズ作品を教えてください、とツイートしてみたところ、来るわ来るわ。ご意見がどんどん集まりました。自分だけで楽しむのはもったいないのでtogetterにまとめたのですが、さらにその中で集計してホームズ譚正典のランキングも作ってみましたよ。意外な作品に点が集まったりしておもしろかったので、みなさんにもお知らせしちゃいましょう。「twitterで決める、ホームズ作品人気ベスト10」です。

では、まず次点の作品から。同点で2つありました。9票入っています。

The Musgrave Ritual/マスグレイヴ家の儀式(回想)

「当時小学生だった自分にとって、秘密の儀式の謎解きがとてもスリリングで、ホームズと一緒にその場にいるかのような感覚でドキドキしながら読み進んだ」(@donburioyajiさん)

The Adventure of the Three Garridebs/三人ガリデブ(事件簿)

「某有名作品のネタ再利用だが、笑える内容である分元の作品よりも好き。なんといっても「ガリデブ」っていいじゃん」(@from41tohomania すいません杉江です)

私のお気に入り作品がランクインしてびっくり。ガリデブですよ、ガリデブ。マスグレイヴは暗号の謎解きのところが楽しいですよね。

それでは、ランクイン作品の発表です。

9位 10票

The Man with the Twisted Lip/唇の曲がった男(冒険)

「好きな理由を言うとネタバレの恐れありなので、殺人だけがミステリーではないことを教わったホームズ潭の懐の深さよ」(@@bolachaさん)

The Adventure of Charles Augustus Milverton/チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン(生還)

「グラナダ版だと『犯人は二人』がかなりうける。 二人でやむを得ず窃盗に入るわけだけど、その際にワトソンが黒覆面を用意したとか、医者はお裁縫も上手? なんといっても、ホームズ先生のラブシーン??が有ります〜」(@himarasukaruさん)

あ、言い忘れましたが、映像化作品に対する評価も加点対象になっています。「唇の曲がった男」はやはりあの真相解明の場面が鮮烈な印象を残しているようです。

8位 11票

A Study in Scarlet/緋色の研究(長篇)

「話の辻褄がぴたっと合う快感。あとホームズの奇人描写が楽しかった」(@K_misa_maguroさん)

言わずと知れた原点の作品。意外に順位が低い気もします。逆に正統派すぎて表明しにくいかな?

7位 13票

The Adventure of the Empty House/空き家の冒険(生還)

「トリックとかなんとかというよりも、この物語そのものが感慨深い」(@ItsumiAyaさん)

同感。同じような感想の方も多いのではないでしょうか。

6位 15票

The Adventure of the Dying Detective /瀕死の探偵(最後の挨拶)

「ホームズがワトソンを信頼しているところと、ワトソンが自分のことよりホームズを心配しているところが好き」(@mokurenjanさん)

これもよくわかる意見ですね。本篇に限らず、ワトソンとの友情物語という側面が強い作品には人気が集中する傾向がありました。

4位 22票

Red-Headed League/赤毛組合(冒険)

「僕が初めて読んだ子供向けの翻訳では「赤毛同盟」だった。読みながらとてつもなくわくわくした記憶がいまだに止まない」(@mats3003さん)

The Adventure of the Speckled Band/まだらの紐(冒険)

「スリリングだけど怖すぎない、小学生の頃堪能した作品です」(@deltorohatさん)

はい、出ました。超メジャーどころの2作です。ジュヴナイル版でこの2篇に出会ったのがミステリー読書の初めだった、という方は多いのではないでしょうか。

2位 23票

The Adventure of the Blue Carbuncle/青いガーネット(冒険)

「途中のとぼけた雰囲気や、クリスマス・ストーリーらしい温かさもさることながら、「外見や持ち物をちょっと見ただけでその人のことをビシバシと当てる」あのホームズらしい推理がたまらなく大好きなので」(@Tomo_esuさん)

The Adventure of the Dancing Men/踊る人形(生還)

「暗号と謎解きがただのダジャレやヤマカンだと思ってた子供の頃、 暗号を解き明かせる論理の面白さにびっくりしました」(@kazi_hacさん)

これまた有名作品が。コメントにもあるように「青いガーネット」は、あの雰囲気が素敵ですね。そして「踊る人形」の知的遊戯の楽しさときたら!

さあ、いよいよ1位の発表です。でもその前に。

「1票も点が入らなかったかわいそうな作品たち」をタイトルのみご紹介しちゃいます。

The Boscombe Valley Mystery/ボスコム谷の謎(冒険)

The Adventure of the Noble Bachelor/独身貴族(冒険)

The Reigate Squires/ライゲートの地主(回想)

The Adventure of Black Peter/ブラック・ピーター(生還)

The Adventure of the Golden Pince-Nez /金縁の鼻めがね(生還)

The Adventure of the Missing Three-Quarter/スリークウォーターの失踪(生還)

The Adventure of the Abbey Grange/アベイ農場(生還)

The Adventure of Wisteria Lodge/ウィステリア荘(最後の挨拶)

The Adventure of the Red Circle/赤い輪(最後の挨拶)

The Disappearance of Lady Francis Carfax/レイディ・フランセス・カーファックスの失踪(最後の挨拶)

The Adventure of the Three Gables/スリー・ゲイブルズ(事件簿)

The Adventure of the Lion’s Mane/ライオンのたてがみ(事件簿)ホームズ

The Adventure of the Retired Colourman/退職した絵具師(事件簿)

The Adventure of Shoscombe Old Place/ショスコム・オールド・プレイス(事件簿)

そして栄冠に輝いたのは、この作品でした!

1位 24票

The hound of the Baskervilles/バスカヴィル家の犬(長篇)

「荒々しい自然の中で伝説の魔犬に脅かされる良家の主やいわくありげな登場人物たち…ゴシック風な雰囲気の中に伝説が論理的に解き明かされていく過程が面白かった。小学生の時に読んだので印象が強烈だったのかもしれません」(@MiorinnaMさん)

「「バスカヴィル〜」ではもう少しで犯人を捕まえられるって所でワトソンの、英国紳士らしさが垣間見えるシーンがあって好きなんです!キュンとする!」(@n3z1m6さん)

いかがでしたでしょうか。

改めてホームズの人気の高さを再認識しました。愛されていますね。コメントを使わせていただいたみなさんには事後報告になりますが御礼申し上げます。

なお、以上のランキングは1月31日18時現在のもので、以降もツイートは続いているので順位は変動している可能性があります。さらに手計算の集計につき、数え間違いなどのミスがあるかもしれないことをお断りしておきます。

おつきあいいただき、ありがとうございました。

なお、講談社プロジェクト・アマテラスで杉江が主宰している「アマ書評テラス」では、シャーロック・ホームズ書評を募集しています。

http://p-amateras.com/project/129/bbs/1079

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