『ミステリーズ!』vol.58 APRIL 2013

東京創元社(雑誌)/定価1260円(税込)/4月11日/ISBN:978-4-488-03058-2

【読切短編】

バルドゥイン・グロラー

六百の鍵穴がある小箱 垂野創一郎◎訳

●ハプスブルグ朝末期のウィーン。伯爵の要請を受け、謎に満ちた小箱を追う高等遊民ダゴベルト。文庫未収録の本邦初訳作

【エッセイ】

小林宏明 銃の細道──見る、読む、訳す GUNの世界 第五回

【ブックエッセイ】

夏来健次 私はこれが訳したい The Shaft David J. Schow

【評論】

川出正樹 ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 第九回

『コリーニ事件』/Der Fall Collini

フェルディナント・フォン・シーラッハ(Ferdinand von Schirach)/酒寄進一・訳

東京創元社(単行本)/定価1680円(税込)/4月11日/ISBN:978-4-488-01000-3

新米弁護士のライネンは大金持ちの実業家を殺した男の国選弁護人を買ってでた。だが、被疑者はどうしても動機を話そうとしない。さらにライネンは被害者が少年時代の親友の祖父だと知る。──公職と私情の狭間で苦悩するライネンと、被害者遺族の依頼で裁判に臨む辣腕弁護士が法廷で繰り広げる緊迫の攻防戦。犯人を凶行に駆り立てた秘めた想い。そして、ドイツで本当にあった驚くべき“法律の落とし穴”とは。刑事事件弁護士が研ぎ澄まされた筆で描く圧巻の法廷劇。 訳者あとがき=酒寄進一

『蒸気機関車と血染めの外套』/Deadly Beloved

アランナ・ナイト(Alanna Knight)/法村里絵・訳

創元推理文庫/定価定価966円(税込)/4月11日/ISBN:978-4-488-27721-5

医師ヴィンスの上司ケラーの妻、メイベルが忽然と姿を消した。彼女は列車で妹のもとへと向かったが消息不明となり、二週間後に線路脇の雪の中から血まみれの外套と肉切り分け用のナイフが発見された。ヴィンスの義父である警部補のファロは、二週間前にケラー家で開かれた晩餐会を思い返す。メイベルを殺した何者かの悪意の芽は、あの夜の出来事をきっかけに育ちはじめたのか? 訳者あとがき=法村里絵

『黒い壁の秘密』/The Youth Hostel Murders

グリン・カー(Glyn Carr)/堀内瑛司・訳

創元推理文庫/定価966円(税込)/4月20日/ISBN:978-4-488-29406-9

俳優兼舞台監督のアバークロンビー・リューカーは『リチャード三世』の公演を終え、骨休めに訪れた湖水地方の小村で遺体に遭遇した。深入りする気はなかったが、関係者の些細な嘘をきっかけに、眠っていた探偵の勘が呼び覚まされた。探索を始め妙な光景を目にした夜、リューカーは新たな遺体を発見。第二次大戦下の諜報活動で培った探偵としての嗅覚が、登山家でもあるリューカーを駆り立てる。手掛かりの乏しい峻鋒の果てに見出された真相とは。訳者附記=堀内瑛司/解説=森英俊

『探偵ダゴベルトの功績と冒険』/Detektiv Dagoberts Taten und Abenteuer

バルドゥイン・グロラー(Balduin Groller)/垂野創一郎・訳

創元推理文庫/定価1155円(税込)/4月20日/ISBN:978-4-488-29305-5

20世紀初頭に入り爛熟期を迎えた文化都市ウィーン。音楽と犯罪学に打ち込む素人探偵ダゴベルトは、友人グルムバッハ夫妻との晩餐後、葉巻と珈琲を楽しみつつ、ハプスブルグ朝末期の社交界で起きる様々な難事件解決の顛末を披露する。「クイーンの定員」にも選出されたダゴベルト探偵譚から9篇を精選。オーストリアのコナン・ドイルと称される著者の本邦初となるオリジナル短篇集。訳者あとがき=垂野創一郎

収録作品=「上等の葉巻」「大粒のルビー」「恐ろしい手紙」「特別な事件」「ダゴベルト休暇中の仕事」「ある逮捕」「公使夫人の首飾り」「首相邸のレセプション」「ダゴベルトの不本意な旅」