『氷の娘』/Kuolemanspiraali

レーナ・レヘトライネン(Leena Lehtolainen)/古市真由美・訳

創元推理文庫/定価1260円(税込)/9月11日/ISBN:978-4-488-28005-5

買い物を終えた女性が、車のトランクで少女の死体を見つけた。暴行を受けて殺害されたらしいその少女は、フィギュアスケートの若手ホープ、ノーラ。つい数日前その演技を観たばかりのエスポー警察の巡査部長マリアは、ショックを隠せない。有力な容疑者としてノーラの母親につきまとっていたストーカー男が浮上するが……。産休目前のマリアが、ノーラを巡る人間関係に捜査のメスを入れる。フィンランドで大人気のシリーズ第二弾。訳者あとがき=古市真由美

『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』/The Tiny Wife

アンドリュー・カウフマン(Andrew Kaufman)/田内志文・訳

東京創元社(単行本)/定価1260円(税込)/9月11日/ISBN:978-4-488-01007-2

ある日、カナダの銀行に強盗がやってきて、人々から“もっとも思い入れのあるもの”を奪っていった。「私は、あなたがたの魂の51%を手に、ここを立ち去ってゆきます。そのせいであなたがたの人生には、一風おかしな、不可思議なできごとが起こることになるでしょう」その言葉どおり、被害者たちに奇妙なことが起こりはじめる。身長が日に日に縮んでしまったり、心臓が爆弾になってしまったり。母親が九十八人に分裂した男性もいれば、夫が雪だるまに変身した女性も……。なぜこんなことが起きるのか? 奇才が描く不思議な比喩の世界! 訳者あとがき= 田内志文

『八方破れの家』/The House of Seven Mabels

ジル・チャーチル(Jill Churchill)/新谷寿美香・訳

創元推理文庫/定価861円(税込)/9月28日/ISBN:978-4-488-27519-8

顔見知りの女性ビッツィから、古いお屋敷を企業向けの宿泊施設に改装するので、内装を担当してほしいと頼まれたジェーンとシェリイ。工事関係者はほぼ女性のみという異色ぶりに加え、契約書も設計図もいいかげんなことに、二人は不安を覚える。そのうえ当の屋敷に嫌がらせをされ、止(とど)めにある夜、関係者の死体が転がる事態に……主婦探偵がリフォームに手を貸す、シリーズ第13弾。訳者あとがき=新谷寿美香

『亡国の薔薇』上下/Anatomy of Murder

イモジェン・ロバートスン(Imogen Robertson)/茂木健・訳

創元推理文庫/定価各1050円(税込)/9月28日/ISBN:(上)978-4-488-14909-3(下)978-4-488-14910-9

国家の機密情報を狙い、フランスの密偵がロンドンに潜入しているらしい──。解剖学者クラウザーと提督夫人ハリエットは、海軍本部の情報担当武官から、密偵をめぐる謎の調査を依頼された。捜査を開始した二人は、さまざまな思惑が渦巻く、壮麗なオペラ・ハウスに向かう……。稀代の物語力で、歴史ミステリの新たなる地平を切り開く、クラウザー&ハリエット・シリーズ第二弾。解説=酒井貞道

『若き日の哀しみ』/Rani Jadi

ダニロ・キシュ(Danilo Kis)/山崎佳代子・訳

創元ライブラリ(文庫)/定価945円(税込)/9月28日/ISBN:978-4-488-07072-4

第二次大戦中に少年時代を送った旧ユーゴスラビアの作家ダニロ・キシュ。ユダヤ人であった父親は強制収容所に送られ、帰らぬ人となった。悲惨な歴史的背景のもと、自らの少年時代を叙情とアイロニーに満ちた筆致で描いたこの限りなく美しい自伝的連作短編集は読者を容易に子供時代へ誘います。愛犬と悲しい別れをする少年アンディの物語に、誰もが涙するにちがいありません。アンディ少年はあなたでもあるのです。訳者あとがき=山崎佳代子/解説=沼野充義