『血の探求』/By Blood

エレン・ウルマン(Ellen Ullman)/辻早苗・訳

東京創元社(単行本)/定価2310円(税込)/1月11日/ISBN:978-4-488-01015-7

1974年の晩夏。大学教授の“私”は、元続き部屋で内部に隣室につながるドアがあるオフィスを借りた。ある日、そのドアから精神分析医が行うセッションが聞こえてきた。“患者”は若い女性で、養子のため自分の出自がわからず、アイデンティティの欠落に苦しんでいた。“私”は息を殺して、産みの母親を捜す“患者”の話に耳を傾け続けている。なぜ養子に出されたのか? “血の探求”の驚くべき結果とは——。異色かつ予測不可能な傑作ミステリ! 訳者あとがき=辻早苗

『領主館の花嫁たち』/The Brides of Aberdar

クリスチアナ・ブランド(Christianna Brand)/猪俣美江子・訳

東京創元社(単行本)/定価1995円(税込)/1月30日/ISBN:978-4-488-01016-4

当主の妻を若くして失ったその領主館は、悲しみに沈んでいた。そして、愛らしい双子の姉妹の家庭教師として館に訪れたテティもまた、癒しがたい傷を負う身であった。瓜二つの姉妹に慕われ、生きる希望を取り戻していくテティ。だが、館に頻発する怪異が、テティと双子の姉妹の運命を容赦なく翻弄していく……。ブランドが持てる技巧のすべてをつぎ込んで紡ぎあげた、美麗にして凄絶なゴシック小説。巨匠の最後の長編、遂に登場! 解説=戸川安宣

『殺人者と恐喝者』/Seeing Is Believing

カーター・ディクスン(Carter Dickson)/高沢治・訳

創元推理文庫/定価903円(税込)/1月30日/ISBN:978-4-488-11836-5

美貌の若妻ヴィッキー・フェインは、夫アーサーがポリー・アレンなる娘を殺したのだと覚った。居候の叔父ヒューバートもこの件を知っている。外地から帰って逗留を始めた叔父は、少額の借金を重ねた挙げ句、部屋や食事に注文をつけるようになった。アーサーが唯々諾々と従っていた理由が、これで腑に落ちた。体面上、警察に通報するわけにはいかない。そ知らぬ顔で客を招いた夜、衝撃的な殺害事件が発生。遠からぬ屋敷に滞在し回想録の口述を始めていたヘンリ・メリヴェール卿の許に急報が入り、秘書役ともども駆けつけて捜査に当たることとなった。捜査の合間も口述を進めるH・Mの推理は如何に。解説=麻耶雄嵩

『黒のクイーン』/Schwarze Dame

アンドレアス・グルーバー(Andreas Gruber)/酒寄進一・訳

創元推理文庫/定価1050円(税込)/1月30日/ISBN:978-4-488-16006-7

保険調査専門探偵ホガートは顧客からある依頼を受けた。プラハの展覧会に貸し出した絵画が焼失、調査に派遣した絵画専門の調査員は行方不明になった。調査員の安否と保険詐欺のことを調べて欲しいというのだ。プラハに飛んだホガートは、そこで猟奇連続殺人事件に巻きこまれる。首と手を切りおとしビロードにくるんだ死体の謎。『夏を殺す少女』で衝撃のデビューを飾った、オーストリア・ミステリの名手が仕掛ける巧妙な罠とは?  訳者あとがき=酒寄進一

『サイモン・アークの事件簿V』/The Fifth Casebook of Simon Ark

エドワード・D・ホック(Edward D. Hoch)/木村二郎・訳

創元推理文庫/定価1155円(税込)/1月30日/ISBN:978-4-488-20113-5

風変わりな人々や事物が関わる奇妙な事件の起こるとき、謎の男サイモン・アークは現れる。あるときは超常現象研究者、またあるときは私立探偵として。警官が監視する中、焼死したはずの男が遂げた不可能犯罪、ブラジルの海岸で見つかったミイラのように防腐処理された死体の謎、現代ニューヨークに住まう魔女が生み出した回転ドアの密室……暗黒の事象と犯罪が交差する怪事件を、オカルト探偵が明晰な推理力で解いていく8編を収録した第五短編集。解説=木村仁良

【収録作品】

「闇の塔からの叫び」

「呪われた裸女」

「炙り殺された男の復讐」

「シェイクスピアの直筆原稿」

「海から戻ってきたミイラ」

「パーク・アヴェニューに住む魔女」

「砂漠で洪水を待つ箱船」

「怖がらせの鈴」