翻訳ミステリー・ファンのみなさん、法月綸太郎さんの中篇集『ノックス・マシン』(角川書店)はもうお読みになりましたか?

 4篇が収録された同書はSFとミステリーの要素を融合させた奇想の作品集であると同時に、第一次と第二次の世界大戦間、いわゆる黄金時代に書かれた謎解きミステリーの優れたパロディでもある傑作です。優れたパロディはその中に原典に対する尊崇と批評の視点を内包しているものですが、本書にはその特徴が見事に当てはまります。謎解きミステリーにはなぜ形式と制約があるのか。そういうことについて一度でも思いを巡らせたことがある読者にとって、『ノックス・マシン』はまたとないご馳走になることでしょう。

 その法月綸太郎さんと本サイト事務局の杉江松恋による評論対談のお知らせです。

 法月さんには〈法月綸太郎ミステリー塾〉と題した評論集のご著書がありますが、昨年12月に最新巻『法月綸太郎ミステリー塾 疾風編 盤面の敵はどこへ行ったか』を上梓されました。それを記念して、評論家・法月綸太郎に肉薄するトークイベントを行いたいと思います。

 対談役を務めるのは杉江松恋、昨年10月に発表した『読み出したら止まらない 海外ミステリーマストリード100』を題材として、法月さんと海外ミステリーについてさまざまな角度からお話をしてみたいと思っています。

 今、実は手元に法月さんから100冊の書名リストが送られてきています。

 これは以前に法月さんが海外ミステリーの発展史を展望するという意図で選定したものです(「小説TRIPPER」1997年冬季号)。そのリストと杉江のマストリードを比較してみるということを一つはやってみたい。たとえば杉江が選んだクイーン作品は『シャム双生児の秘密』ですが、法月さんは○○です。また、ミステリーというジャンルの境界に位置するだろうという作品を、両者とも選んでいます。それを見比べることで、この膨大だが曖昧な境界線を持つジャンルの全体像が見えてくるのではないかと。

 もう一つは法月さんのミステリー観についてもお伺いしようと思っています。2000年代までの実作及び議論を踏まえて、法月さんは今、どのような方向に挑戦をしていこうと考えているのか。そのことを大きな視野で語り合ってみたいのです。きっとたくさん触発されるものがありそう。楽しみです。

 開催は平日夜ですが、どうぞお繰り合わせの上おいでください。楽しいミステリーの夕べにしたいと思います。

[日時] 2014年1月29日(水) 開場・19:00 開始・19:30

[出演] 法月綸太郎(推理作家、評論家)、杉江松恋(ライター・書評家)

[会場] Live Wire Biri-Biri酒場 新宿

     東京都新宿区新宿5丁目11-23 八千代ビル2F (Googleマップ

    ・都営新宿線「新宿3丁目」駅 C6〜8出口から徒歩5分

    ・丸ノ内線・副都心線「新宿3丁目」駅 B2出口から徒歩8分

    ・JR線「新宿」駅 東口から徒歩12分

[料金] 1500円 (当日券500円up)

 詳細・ご予約はこちらからお願いします。

※なお、法月さんは翌30日に芳林堂書店・高田馬場店において『ノックス・マシン』トーク&サイン会にご出席されます。

 そちらも併せてご参加ください。