『ミステリーズ!』vol.66 AUGUST 2014

東京創元社(雑誌)/本体価格(2014/08/10 09:47時点)1200円(税抜)/8月11日/ISBN:978-4-488-03066-7

【東京創元社60周年記念】

トークイベント 

大森 望×酉島伝法×宮内悠介「わたしの東京創元社SFベスト5」

連載

「わたしと東京創元社」

麻耶雄嵩、金原瑞人、酒寄進一、高橋 啓、山本 弘、円城 塔、北上次郎

【ブックエッセイ】

日明 恩   私の一冊『フロスト日和』 R・D・ウィングフィールド

古市真由美 私はこれが訳したい Kadonnut Pariisi Markus Nummi

【評論】

川出正樹 ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 第十七回

【コラム】

レイコの部屋 第十一回

『新聞王がボストンにやってきた』/Father’s Day Murder

レスリー・メイヤー(Leslie Meier)/高田惠子・訳

創元推理文庫/定価960円(税抜)/8月11日/ISBN:978-4-488-24812-3

ティンカーズコーヴの地方紙『ペニーセイヴァー』が〈今年の最優秀コミュニティ新聞〉に選ばれ、ボスのテッドと共にボストンで開かれる新聞協会の年次総会に出席することになったルーシー。久々の都会と同業者たちとの交流を満喫していたが、新聞業界の大立て者ルーサー・リードが晩餐会中に急死。殺害されたらしく警察が関係者を調べ始めた。すかさず新聞記者ルーシーの好奇心&探偵根性がうずきだし……主婦探偵ボストン出張編。訳者あとがき=高田惠子

『もう年はとれない』/Don’t Ever Get Old

ダニエル・フリードマン(Daniel Friedman)/野口百合子・訳

創元推理文庫/本体価格(2014/08/10 09:47時点)1040円(税抜)/8月21日/ISBN:978-4-488-12205-8

捕虜収容所でユダヤ人のあんたに親切とはいえなかったナチスの将校が生きているかもしれない──臨終の床にある戦友からそう告白された、87歳の元殺人課刑事バック・シャッツ。その将校が金の延べ棒を山ほど持っていたことが知られ、周囲がそれを狙ってどんどん騒がしくなっていき……。武器は357マグナムと痛烈な皮肉。最高に格好いい主人公を生み出した、鮮烈なデビュー作! 訳者あとがき=野口百合子

『逃げる幻』/The One That Got Away

ヘレン・マクロイ(Helen McCloy)/駒月雅子・訳

創元推理文庫/定価920円(税抜)/8月21日/ISBN:978-4-488-16809-4

家出を繰り返す少年が、開けた荒野(ムア)の真ん中から消えた——ハイランド地方を訪れたアメリカ軍人ダンバー大尉が地元貴族ネス卿の娘から聞かされたのは、そんな不可解な話だった。その夜、当の少年を偶然見つけたダンバーは、彼が何かを異様に恐れていることに気づく。そして二日後、少年の家庭教師が殺される——スコットランドを舞台に、名探偵ウィリング博士が人間消失と密室殺人が彩る事件に挑む傑作本格ミステリ。解説=酒井貞道

『怪奇文学大山脈 II 西洋近代名作選 20世紀革新篇』荒俣宏・編

東京創元社(単行本)/本体価格(2014/08/10 09:47時点)2400円(税抜)/8月29日/ISBN:978-4-488-01021-8

西洋怪奇小説の山脈は、無尽蔵の宝の山である——豊饒なる鉱脈に眠る傑作群の紹介と翻訳に尽力した、21世紀を代表する碩学・荒俣宏。その幻想怪奇にまつわる膨大な知識の集大成ともいうべき巨大アンソロジーをお届けする。飽くなき探求の果てに見出された、稀なる名作を全三巻に集成した。

第二巻では、怪奇小説黄金期を代表する名手——H・R・ウエイクフィールド、J・D・ベリズフォードらの知られざる傑作ほか、異様な迫力に満ちた海洋怪談の力篇「甲板の男」(F・マリオン・クロフォード)、墓碑銘を捜す不気味な男と老いた堂守のやり取りを憂愁に満ちた筆致で描く「遅参の客」(ウォルター・デ・ラ・メア)などの18篇に、編者による詳細なまえがき・作品解説を付す。本邦初訳作多数。

【収録作品】

ロバート・ヒチェンズ「未亡人と物乞い」

F・マリオン・クロフォード「甲板の男」

E・L・ホワイト「鼻面」

H・H・エーヴェルス「白の乙女」

マッシモ・ボンテンペッリ「私の民事死について」

J・D・ベリズフォード「ストリックランドの息子の生涯」

A・E・コッパード「シルヴァ・サアカス」

L・P・ハートリー「島」

アーサー・マッケン「紙片」

ウォルター・デ・ラ・メア「遅参の客」

オリバー・オニオンズ「ふたつのたあいない話」

W・F・ハーヴェイ「アンカーダイン家の信徒席」

ジョン・メトカーフ「ブレナー提督の息子」

ヒュー・ウォルポール「海辺の恐怖──一瞬の経験」

H・R・ウエイクフィールド「釣りの話」

シルヴィア・タウンゼンド・ウォーナー「不死鳥」

ベネット・サーフ「近頃蒐めたゴースト・ストーリー」

作品解題

『愛の裏側は闇 I』ラフィク・シャミ(Rafik Schami)/酒寄進一・訳

東京創元社(単行本)/本体価格(2014/08/10 09:47時点)2200円(税抜)/8月29日/ISBN:978-4-488-01032-4

「ねえ、ぼくたちの恋は本当にうまくいくと思う?」1960年春、シリア。ムシュターク家のファリードとシャヒーン家のラナーは、一族の者に隠れて逢瀬を続けていた。十二歳で出会ってすぐ、恋に落ちたふたり。しかし両家は、何十年ものあいだ血で血を洗う争いを続ける仇敵同士だったのだ。一方、1969年のダマスカスで首の骨を折られた男の死体が発見される。殺害されたのは秘密警察官で、胸ポケットには謎めいた文章が書かれた灰白色の紙が残されていた。ふたつの物語の断片に、一族の来歴、語り部による哀話や復讐譚を加えて構成された全304章は、百年にわたるシリアの人々・風土・文化が埋め込まれた絢爛たるモザイク画となる。今世紀最大級の世界文学第一巻! 訳者あとがき=酒寄進一

『シャーロック・ホームズ最後の挨拶【新訳版】』/His Last Bow

アーサー・コナン・ドイル(Arthur Conan Doyle)/深町眞理子・訳

創元推理文庫/定価840円(税抜)/8月29日/ISBN:978-4-488-10122-0

退屈に苦しむ名探偵ホームズのもとに持ちこまれた、怪奇な雰囲気が横溢する事件「〈ウィステリア荘〉」。ワトスンが目にした、ベッドに横たわるホームズの衝撃的な姿「瀕死の探偵」。そしてシリーズ中で異彩を放ち、長い余韻を残す表題作など、全8編を収録する短編集。登場から一世紀以上がたってもなお、世界じゅうの人々を魅了しつづけている永遠の名探偵の事件簿、新訳決定版。解題=戸川安宣/解説=日暮雅通

【収録作品】

「〈ウィステリア荘〉」

「ボール箱」

「赤い輪」

「ブルース=パーティントン設計書」

「瀕死の探偵」

「レイディー・フランシス・カーファクスの失踪」

「悪魔の足」

「シャーロック・ホームズ最後の挨拶 ──ホームズ物語の終章」

『悪意の糸』/Do Evil in Return

マーガレット・ミラー(Margaret Millar)/宮脇裕子・訳

創元推理文庫/本体価格(2014/08/10 09:47時点)900円(税抜)/8月29日/ISBN:978-4-488-24708-9

不穏な空気をはらんだ夏の午後、医師シャーロットの診療所にやって来た若い女。ヴァイオレットと名乗るその娘は、夫ではない男の子どもを妊娠したという。彼女の“頼み”を一度は断ったシャーロットだが、混乱しきった様子が気に掛かり、その晩、ヴァイオレットの住まいへと足を向け……卓越した心理描写を武器に、他に類を見ないミステリを書き続けた鬼才による傑作、本邦初訳。解説=川出正樹