アメリカのベストセラー・ランキング

8月24日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. THE MAGICIAN’S LAND    New!

Lev Grossman レヴ・グロスマン

大人のためのファンタジーと評される3部作の完結編。ニューヨークにある特別な大学で魔術を学んだ青年クエンティンが、幼いころに物語で読んだ魔法の世界を訪れる。『コーデックス』の作者による人気シリーズ、第1作は20か国以上で翻訳された。

2. BIG LITTLE LIES    Down

Liane Moriarty リアン・モリアーティ

オーストラリアの小さな町で、同じ幼稚園に子どもを通わせるママ友たち。冒頭でそのうちのひとりが死ぬことが明かされる。誰が、そしてなぜ——“THE HUSBAND’S SECRET”でブレイクした著者による新作ドメスティック・サスペンス。

3. THE LOST ISLAND    New!

Douglas Preston and Lincoln Child ダグラス・プレストン、リンカーン・チャイルド

科学者にして泥棒の天才でもあるギデオンを主人公とするシリーズの第3作。今回の指令は、ニューヨークの図書館に展示されているアイルランドの国宝、ケルズの書を盗み出せというものだった。古書に隠された秘密とは——。

4. SEVERED SOULS    New!

Terry Goodkind テリー・グッドカインド

真実の剣シリーズの第14作。探求者リチャードの冒険の旅を描く壮大なファンタジーで、テレビドラマにもなっている。本作はシリーズ第2幕の3作目にあたり、邦訳は1作が数巻に分冊されて第8作(第8部)まで刊行された。

5. THE GOLDFINCH    Stay

Donna Tartt ドナ・タート

爆破事故で母を失った少年が過酷な運命に翻弄され、大人になるまでの物語。2014年ピューリッツァー賞(フィクション部門)を受賞、河出書房新社より2015年に邦訳が刊行予定。

6. THE HEIST    Down

Daniel Silva ダニエル・シルヴァ

美術修復師ガブリエル・アロン・シリーズの第14作。美術修復師にしてイスラエルの秘密工作員ガブリエル・アロンが、イギリス人元外交官殺しの犯人を探るうちに、盗まれたカラヴァッジョの絵画をめぐる秘密が明らかになる。

7. THE BOOK OF LIFE    Down

Deborah Harkness デボラ・ハークネス

パラノーマル・ファンタジー3部作〈オール・ソウルズ・トリロジー〉の完結編。幻の写本の謎を追い、エリザベス朝イングランドから現代へと戻った魔女の末裔の歴史学者ダイアナとヴァンパイアのマシューを新たな危機が襲う。

8. TOM CLANCY: SUPPORT AND DEFEND    Down

Mark Greaney トム・クランシー、マーク・グリーニー

ジャック・ライアンの甥、FBI捜査官、対テロ民間秘密組織“ザ・キャンパス”工作員の顔を持つドミニク・カルーソーが、国家機密漏洩にからんだ、キャリア最大の難局に直面する。ライアン・シリーズの脇役を主人公に据えた、クランシーの遺作にあたる作品。

9. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Stay

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。

10. THE SILKWORM    Stay

Robert Galbraith ロバート・ガルブレイス

J・K・ローリングがガルブレイス名義で執筆する私立探偵コーモラン・ストライク・シリーズの第2作。ストライクが行方を追っていた作家が惨殺死体で発見される。講談社より2015年に邦訳が刊行予定。

【まとめ】

新作3つのうち、2作がファンタジーでした。5位のドナ・タート、9位のアンソニー・ドーア、10位のロバート・ガルブレイスは、先週と順位も変わらず。トップテン外ながら16位にとどまっているダイアナ・ガバルトンのアウトランダー・シリーズは、テレビドラマ化されて、今月よりアメリカで放送がはじまっています。

国弘喜美代(くにひろ きみよ)

訳書はエラリー・クイーン『オランダ靴の秘密』、『アメリカ銃の秘密』(いずれも越前敏弥さんとの共訳)、マイケル・ハーグ『インフェルノ・デコーデッド』。中国語学科を卒業しています。大阪生まれ、愛知育ち、東京在住。