アメリカのベストセラー・ランキング

9月14日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. THE LONG WAY HOME    New!

Louise Penny ルイーズ・ペニー

スリー・パインズ村のガマシュ警部シリーズの第10作。ケベック州警察殺人課を退職し、スリー・パインズ村で悠々自適の生活を始めたガマシュ警部は、隣人クララの頼みで、行方不明になった彼女の夫の捜索に乗りだす。

2. COLORLESS TSUKURU TAZAKI AND HIS YEARS OF PILGRIMAGE    Down

Haruki Murakami 村上春樹

日本では2013年に出版された『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の英訳版。大学生のとき、友人4人から突然絶交された男が、ある女性との出会いをきっかけに、十数年を経てその理由を探ろうとする。

3. THE GOLDFINCH    Up

Donna Tartt ドナ・タート

爆破事故で母を失った少年が過酷な運命に翻弄され、大人になるまでの物語。2014年ピューリッツァー賞(フィクション部門)を受賞、河出書房新社より2015年に邦訳が刊行予定。

4. BIG LITTLE LIES    Down

Liane Moriarty リアン・モリアーティ

オーストラリアの小さな町で、同じ幼稚園に子どもを通わせるママ友たち。冒頭でそのうちのひとりが死ぬことが明かされる。誰が、そしてなぜ——“THE HUSBAND’S SECRET”でブレイクした著者による新作ドメスティック・サスペンス。

5. THE BROKEN EYE    New!

Brent Weeks ブレント・ウィークス

架空世界クロメリアを舞台にした叙事詩的ファンタジー“ライトブリンガー・シリーズ”の第3作。伝説の魔道師を父に持つ少年キップは謎の暗殺集団に命を狙われる。

6. ADULTERY    Down

Paulo Coelho パウロ・コエーリョ

家庭と仕事に恵まれながらも無感動な日々を送る三十路の女性記者は、再会した元恋人との関係に救いを求めるが……『アルケミスト——夢を旅した少年』など、スピリチュアルな作風で知られるブラジル人作家が“不倫”を扱った作品。

7. MEAN STREAK    Down

Sandra Brown サンドラ・ブラウン

ノース・カロライナの山中で謎の男に捕らえられた女性小児科医。彼女は脱出を決意するが、独自の倫理観を持つ人々との出会いによって、人生に疑問を感じはじめ……意外な展開を見せるサバイバル・ストーリー。

8. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Down

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。

9. WE ARE NOT OURSELVES    Down

Matthew Thomas マシュー・トマス

アイルランド系移民を両親に持つヒロインを中心に、20世紀後半のアメリカ中産階級の葛藤を描いたファミリー・サーガ。ニューヨーク出身の著者のデビュー作で、アマゾンの8月度の“Best Books of the Month”にも選ばれている。

10. THE 6TH EXTINCTION    Down

James Rollins ジェームズ・ロリンズ

アメリカの秘密特殊部隊の活躍を描くシグマフォース・シリーズの第10作。軍事研究施設から緊急警報が発せられる。軍の部隊が駆けつけると、施設の人員が全員死亡していたのみならず、50平方マイル以内のあらゆる生物が死に絶えていた。

【まとめ】

ルイーズ・ペニーの最新作が『多崎つくる』をおさえて初登場首位に。ガマシュ警部シリーズはアガサ賞を5回受賞するなど安定した高い評価を誇る人気シリーズで、邦訳も第4作まで刊行されています。5位に入ったファンタジー作家ブレント・ウィークスの新作は、ハードカバー816ページというボリュームも話題。ベストテン外の14位にはロマンス作家スーザン・エリザベス・フィリップスの“HEROES ARE MY WEAKNESS”が新たにランクインしています。

満園真木(みつぞの まき)

東京在住の翻訳者。9月5日に最新訳書『モナ 聖なる感染』(ダン・T・セールベリ著)が刊行されました。訳書はほかにベリンダ・バウアー『ラバーネッカー』、アイザック・マリオン『ウォーム・ボディーズ ゾンビRの物語』など。