アメリカのベストセラー・ランキング

1月11日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. GRAY MOUNTAIN    Stay

John Grisham ジョン・グリシャム

リーマン・ショックに揺れるアメリカ。新人弁護士のサマンサは、ウォール・ストリートの大手法律事務所からヴァージニア州の田舎町の法律相談所に移籍させられるが、そこで弁護士として成長しながら、悪辣な巨大石炭産業に立ち向かう。

2. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Up

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。

3. HOPE TO DIE    Stay

James Patterson ジェイムズ・パタースン

ワシントン市警の敏腕刑事、アレックス・クロスを主人公とするシリーズの第22作。最愛の家族を誘拐されたクロス。犯人には身代金よりもはるかに邪悪な目的があった。家族を救うためにクロスは犯人に屈してしまうのか。

4. REVIVAL    Down

Stephen King スティーヴン・キング

1960年代、メイン州の田舎町の牧師ジェイコブズは、家族を亡くした絶望から信仰を捨て、姿を消す。町の少年ジェイミーは、30年後、あやしげな電気療法を用いるジェイコブズと再会し、薬物依存症の治療を受けるが……キングによる現代版『フランケンシュタイン』

5. THE ESCAPE    Stay

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

米陸軍犯罪捜査官ジョン・プラーのシリーズ第三作。反逆罪で終身刑に服していたジョンの兄が厳重警備の刑務所から脱獄した。調査に乗りだしたジョンは、どうやら事件には裏があるようだと気づく。真実が明るみに出ると困る人間が兄の命を狙っているらしい。

6. TOM CLANCY: FULL FORCE AND EFFECT    Stay

Mark Greaney トム・クランシー、マーク・グリーニー

本作からグリーニーが単独で書き継いでいく形となる、故クランシーのジャック・ライアン・シリーズ第10作。希少鉱物の鉱床の発見により、潤沢な核開発資金を得た北朝鮮。国際舞台での躍進を狙うこの国の計画の一環として、合衆国現大統領のライアンにも暗殺の危険が迫る。

7. LEAVING TIME    Stay

Jodi Picoult ジョディ・ピコー

ジェナが3歳のとき、象の研究者だった母は幼い娘を残して突然姿を消した。象にまつわる死亡事故が起こり、その混乱のなかでいなくなったのだ。10年後、ジェナは母の書いた研究日誌を読み、探偵と霊能力者の助けを借りて母の足跡をたどってゆく。

8. REDEPLOYMENT    Up

Phil Klay フィル・クレイ

海兵隊員としてイラク戦争に参加した著者による初短編集。遺体収容担当兵、従軍牧師、PTSDに苦しむ退役兵——さまざまな形でイラク戦争に関わった人々の姿を描く12の物語。2014年全米図書賞・フィクション部門受賞作。

9. THE BURNING ROOM    Down

Michael Connelly マイクル・コナリー

ロス市警刑事ハリー・ボッシュを主人公とするシリーズの第19作。10年前に撃たれた傷がもとで最近死亡したマリアッチ・ミュージシャン。ボッシュが新たな相棒の女性刑事とともに捜査にあたるうち、銃撃事件と20年前の放火殺人とのつながりが明らかになる。

10. FLESH AND BLOOD    Up

Patricia Cornwell パトリシア・コーンウェル

ケイ・スカーペッタを主人公とする検屍官シリーズの第22作。スカーペッタの自宅の塀の上に並べられた、不審な7枚の1セント硬貨。子どものいたずらか、あるいは、連続する銃撃事件になんらかの関わりがあるのだろうか。

【まとめ】

ほとんど変動はありませんが、20位にアンソニー・ホロヴィッツの“MORIARTY”が登場しています。これは『絹の家』につづくシャーロック・ホームズのシリーズです。ニューヨーク・タイムズ紙のレビューによれば、ハードカバー・フィクション部門で昨年最も長くランクインしたのはドナ・タート“THE GOLDFINCH”、ついでアンソニー・ドーア“ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE”でした。去年の年初(2014年1月5日)の順位を見ると“THE GOLDFINCH”は3位で、今週もなお12位をキープし、57週ランキングにはいっています。ちなみに昨年はじめの1位は今年と同じくグリシャムで、『評決のとき』の続編“SYCAMORE ROW”でした。

国弘喜美代(くにひろ きみよ)

訳書はエラリー・クイーン『アメリカ銃の秘密』(越前敏弥さんとの共訳)、マイケル・ハーグ『インフェルノ・デコーデッド』。本年もどうぞよろしくお願いします。