アメリカのベストセラー・ランキング

2月8日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. THE GIRL ON THE TRAIN    Up

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。

2. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Down

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。

3. SAINT ODD    Stay

Dean Koontz ディーン・クーンツ

死者の霊が見える青年オッド・トーマスの冒険を描くサイキック・スリラー・シリーズ第7作。悪魔崇拝のカルト集団が大量殺人を計画していることを予知夢により察知したオッドは、数年ぶりに故郷の町ピコ・ムンドに戻る。人気シリーズの完結編。

4. FIRST FROST    New!

Sarah Addison Allen サラ・アディソン・アレン

アメリカ南部の田舎町を舞台に、不思議な力を持つクレアと妹シドニーの暮らしを描いたシリーズの第2作。前作から10年後、ふたりは結婚して母親になり、クレアは砂糖漬け菓子の店を繁盛させていた。初霜がおりたころ、姉妹に悩める冬が訪れる。

5. BURNED    New!

Karen Marie Moning カレン・マリー・モニング

フィーバー・シリーズのスピンオフ3部作の第2作、シリーズ通算としては7作目。幻の稀覯本をめぐり、マッケイラが頼れる男バロンズとともに邪悪な妖精と戦うロマンティック・ファンタジー。スピンオフ2作ではマッケイラとかつての親友ダニに焦点があてられている。

6. GRAY MOUNTAIN    Down

John Grisham ジョン・グリシャム

リーマン・ショックに揺れるアメリカ。新人弁護士のサマンサは、ウォール・ストリートの大手法律事務所からヴァージニア州の田舎町の法律相談所に移籍させられるが、そこで弁護士として成長しながら、悪辣な巨大石炭産業に立ち向かう。

7. THE BOSTON GIRL    Up

Anita Diamant アニータ・ディアマント

1900年、ボストンのユダヤ系一家に生まれたアディは、80代半ばを迎えたある日、孫娘に自分の人生を語りはじめる。家族の絆や仕事、フェミニズム——自立を求め、激動の世紀を生きぬいた女性の姿が情感豊かに描かれる。『赤い天幕』で知られる著者の第5作。

8. HOPE TO DIE    Stay

James Patterson ジェイムズ・パタースン

ワシントン市警の敏腕刑事、アレックス・クロスを主人公とするシリーズの第22作。最愛の家族を誘拐されたクロス。犯人には身代金よりもはるかに邪悪な目的があった。家族を救うためにクロスは犯人に屈してしまうのか。

9. THE ESCAPE    Down

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

米陸軍犯罪捜査官ジョン・プラーのシリーズ第三作。反逆罪で終身刑に服していたジョンの兄が厳重警備の刑務所から脱獄した。調査に乗りだしたジョンは、どうやら事件には裏があるようだと気づく。真実が明るみに出ると困る人間が兄の命を狙っているらしい。

10. BIG LITTLE LIES    Up

Liane Moriarty リアン・モリアーティ

オーストラリアの小さな町で、同じ幼稚園に子どもを通わせるママ友たち。冒頭でそのうちのひとりが死ぬことが明かされる。誰が、そしてなぜ——“THE HUSBAND’S SECRET”でブレイクした著者による新作ドメスティック・サスペンス。

【まとめ】

ファンタジー要素を含む作品ふたつが新たに登場しました。4位の“FIRST FROST”は2010年に邦訳された『林檎の庭の秘密』の続編で、5位はハイランダー・シリーズで有名なモニングの作です。15位には、『リリィ、はちみつ色の夏』で知られるスー・モンク・キッドの“THE INVENTION OF WINGS”がはいっています。この作品は昨年1月に刊行され、本コーナー開始以降はトップテン圏外だったため紹介の機会がありませんでしたが、実に26週のランクインを記録しています。

国弘喜美代(くにひろ きみよ)

訳書はエラリー・クイーン『アメリカ銃の秘密』(越前敏弥さんとの共訳)、マイケル・ハーグ『インフェルノ・デコーデッド』。先日、東東京読書会にお邪魔しました。とても楽しい時間でした、ありがとうございます。また、この週末に〈はじめての海外文学フェア〉の開催店舗へ行って『変愛小説集』(岸本佐知子編訳)などを購入したので、“脳天から稲妻が走るような衝撃”を味わいたいと思っています。