■フランスミステリへのいざない■ 

 皆さまこんにちは。フランス語翻訳家の高野優です。春の足音と共に翻訳ミステリー大賞の季節が近づいてまいりました。今年は賞の創設後、初めてフランス語作品が大賞候補作入りをはたし、フランス語翻訳者としては、例年にもまして大変楽しみな回になりそうです。

 その快挙にのっかったというわけではないのですが、埋もれているフランス・ミステリ(短篇)を発掘し、皆さまにご紹介をしたいという長年の思いから、昨年度、ひとつの企画を行ないました。私が所有していた原書の短篇を、主宰する翻訳教室の修了生などに訳してもらい、みんなで面白い作品を発掘しようというコンテストです。

 結果、ノワールの巨匠から無名作家まで42篇の作品訳が集まりました。

 その中から内部投票で選ばれた数篇を、早川書房さん『ミステリマガジン』誌編集部の方々に読んでいただいたところ、大変嬉しいことに作品を一篇掲載していただけることになりました(3月25日発売の5月号に掲載予定です)。

 さらには翻訳ミステリー大賞を運営するシンジケートのご好意で、4月25日に行なわれる大賞の公開開票式&授賞式の際、お時間を少しいただき、この短篇発掘企画についてご紹介をさせていただけることになりました。この企画は今後も行なう予定です。こんな短篇がフランスにもあったのか、と喜んでいただける作品を発掘していくためにも、その場をおかりしてミステリファンの皆さまのご意見を伺えればと考えております。

 翻訳ミステリー大賞授賞式の会場でお目にかかれることを楽しみにしております。

高野 優(たかの ゆう)

フランス語翻訳家。高野優フランス語翻訳教室主宰。白百合女子大学大学院非常勤講師。訳書にヴォートラン『パパはビリー・ズ・キックをつかまえられない』『グルーム』、カミ『機械探偵クリク・ロボット』『三銃士の息子』ほか多数。

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