アメリカのベストセラー・ランキング

5月17日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. GATHERING PREY    New!

John Sandford ジョン・サンドフォード

ミネアポリス市警のルーカス・ダヴンポートが活躍する「獲物」シリーズ第25作。みずからを“旅人たち”と呼ぶ流れ者の一団を狙った連続殺人。大学生の娘レティを通じ、その一団のメンバーから助けを求められたルーカスは捜査に乗りだす。

2. MEMORY MAN    Down

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

フットボールの試合中に頭部を強打して以来、どれほど些細な事柄もけっして忘れられない超記憶症候群になってしまったデッカー。刑事として人生を送っていたが、何者かに妻子を殺害される悲劇に遭い、みずからの能力を用いて真相を突き止めていく。

3. THE GIRL ON THE TRAIN    Down

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。

4. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Down

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

5. GOD HELP THE CHILD    Stay

Toni Morrison トニ・モリスン

1993年にアフリカ系アメリカ人初のノーベル文学賞を受賞した著者が、はじめて現代を舞台にして描いた小説。肌の色が薄い母と濃い娘。母は娘を拒み、娘は心に深い傷を負う。娘が美しく成長して経済的に成功してからも、その傷は癒えることなく残りつづける。

6. THE BONE TREE    Down

Greg Iles グレッグ・アイルズ

“Natchez Burning”につづく、アメリカ南部の人種差別を題材にした3部作の第2部。元検事のペン・ケイジは、アフリカ系アメリカ人の看護師を殺害した容疑をかけられて逃亡した父親を救うべく、クー・クラックス・クランと対決する。

7. THE LIAR    Down

Nora Roberts ノーラ・ロバーツ

亡くなった夫は嘘つきだった。多額の借金とともに遺された妻シェルビーは、夫の金庫から複数の名義のIDを発見する。娘を連れてテネシーの田舎町に帰郷するシェルビーだが、なぜか次々に危険に見舞われ……。ロマンスの女王が放つ新作ロマンティック・サスペンス。

8. AT THE WATER’S EDGE    Up

Sara Gruen サラ・グルーエン

『サーカス象に水を』の著者による新作長編。父の不興を買った名家の娘マデリンと夫エリスは、ネス湖の怪獣発見を目指す友人ハンクとともにスコットランド高地へ赴く。戦時の困窮下を美しい小村で暮らすうち、やがてマデリンは外の世界の広さに気づきはじめる。

9. THE NIGHTINGALE    Stay

Kristin Hannah クリスティン・ハンナ

ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。

10. EARLY WARNING    New!

Jane Smiley ジェーン・スマイリー

アイオワ州の農場をおもな舞台に、激動の時代を生きるラングドン一家の姿を3部作で描く大河小説。第1作“SOME LUCK”につづく2作目となる本作では、東西冷戦やベトナム戦争、80年代の好況などを背景に、ラングドン家の5人きょうだいの歩む人生が描かれる。

【まとめ】

先週に続いて首位が入れ替わり、ジョン・サンドフォードの「獲物」シリーズ最新作が初登場1位に。同シリーズは第10作『餌食』まで邦訳出版されています。10位には『大農場』で知られるピューリッツァー賞作家ジェーン・スマイリーの新作がランクイン。またトップテン外の15位には、ノルウェー人作家カール・オーヴェ・クナウスゴールの“MY STRUGGLE: BOOK FOUR”が入りました。ノルウェーでベストセラーとなった全6巻の自伝的小説の第4巻ですが、早川書房から第1巻の邦訳が今年刊行される予定です。

満園真木(みつぞの まき)

東京在住の翻訳者。訳書『ステーション・イレブン』(エミリー・セントジョン・マンデル著/小学館文庫)が先日、イギリスのSF文学賞のアーサー・C・クラーク賞を受賞しました。SFファンのかた(もそうでないかたも)、この機会にぜひご一読を。また5月11日に最新訳書『さよなら、シリアルキラー』(バリー・ライガ著/創元推理文庫)が刊行されました。こちらもよろしくお願いします。