アメリカのベストセラー・ランキング

5月31日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. THE GIRL ON THE TRAIN    Up

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。

2. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Up

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

3. 14TH DEADLY SIN    Down

James Patterson and Maxine Paetro ジェイムズ・パタースン、マクシーン・ペトロ

女性殺人捜査クラブ・シリーズ第14作。サンフランシスコ市警の制服を着た犯罪者集団が繰り返す凶悪事件に、殺人課刑事リンジーと新聞記者シンディ、検死官クレア、地方検事ユキの4人の女性が挑む。

4. MEMORY MAN    Stay

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

フットボールの試合中に頭部を強打して以来、どれほど些細な事柄もけっして忘れられない超記憶症候群になってしまったデッカー。刑事として人生を送っていたが、何者かに妻子を殺害される悲劇に遭い、みずからの能力を用いて真相を突き止めていく。

5. DRY BONES    New!

Craig Johnson クレイグ・ジョンソン

ワイオミングの保安官ウォルト・ロングマイヤを主人公にした、本国ではTVドラマ版も人気のシリーズ第12作。過去最大かつ完璧なティラノサウルスの骨が発掘された大農場で、農場主であるシャイアン族の男が殺される。その死によって利する者は誰なのか。

6. GATHERING PREY    Down

John Sandford ジョン・サンドフォード

ミネアポリス市警のルーカス・ダヴンポートが活躍する「獲物」シリーズ第25作。みずからを“旅人たち”と呼ぶ流れ者の一団を狙った連続殺人。大学生の娘レティを通じ、その一団のメンバーから助けを求められたルーカスは捜査に乗りだす。

7. A GOD IN RUINS    Down

Kate Atkinson ケイト・アトキンソン

NY Times紙“2013年の10冊”に選ばれた“Life After Life”の姉妹編ともいうべき作品。 “Life…”の主人公アーシュラの愛する弟テディは、第二次大戦でイギリス空軍の戦闘機パイロットとして戦った。生還したものの“自分に未来があるとは思っていなかった”という、テディの人生の物語。 

8. THE FORGOTTEN ROOM    New!

Lincoln Child リンカーン・チャイルド

今月25日刊行『第三の扉』の続編。ニューポートの海沿いの大邸宅で医師が突然正気を失い、暴れたあげくに自殺した。調査に乗りだした幽霊博士ことジェレミー・ローガンは邸内に古い隠し部屋を発見する。数十年前、そこで行われていた“プロジェクトS”とは。

9. THE NIGHTINGALE    Down

Kristin Hannah クリスティン・ハンナ

ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。

10. THE BONE TREE    Down

Greg Iles グレッグ・アイルズ

“Natchez Burning”につづく、アメリカ南部の人種差別を題材にした3部作の第2部。元検事のペン・ケイジは、アフリカ系アメリカ人の看護師を殺害した容疑をかけられて逃亡した父親を救うべく、クー・クラックス・クランと対決する。

【まとめ】

しばらく新作による首位奪取が続いていましたが、ここでまた安定の1位2位が返り咲きとなりました。5位と8位にはそれぞれ新作がランクイン。トップテン外では、12位にジェシカ・ノール“LUCKIEST GIRL ALIVE”という単発作品が入り、「『ゴーン・ガール』が好きなら」という触れ込みが気になるところ。そして13位にはジェフリー・ディーヴァ—の登場です。“SOLITUDE CREEK”はキャサリン・ダンス・シリーズの4作目。ディーヴァ—の邦訳は3月に文藝春秋より、警護官コルティが主人公の『限界点』が出ています。

飯干京子(いいぼし きょうこ)

大阪在住、翻訳者マインドなTOEIC講師。私的近況はかわりばえナッシングなので、声を大にして宣伝2つ。
【その1】6月20日、東江一紀さんの追悼イベントに合わせ、遺作となったジョン・ウィリアムズ『ストーナー』読書会を開催します。詳細はこちらこちら。関西翻ミス読書会のいつもの世話人ズがホスト役でお迎えいたします!
【その2】
先日、師匠からご恵贈いただいたケン・リュウ短篇集『紙の動物園』が素晴らしすぎて興奮中。触れ回らずにおれません。訳者で編者の古沢嘉通さんのこんな 企画も。文学『ストーナー』もSF『紙の動物園』も、ジャンルに縛られて読み逃してたら人生大損レベルの至福の読書体験でした、ほんとに。