アメリカのベストセラー・ランキング

6月14日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. RADIANT ANGEL    New!

Nelson DeMille ネルソン・デミル

ジョン・コーリー・シリーズの第7作。イエメン人テロリストとの決着後、連邦テロリスト対策特別機動隊(ATTF)を離れたコーリー。不穏な動きを見せる元諜報員のロシア人を監視していたところ、マンハッタンを破壊しようとする企みが浮かびあがる。

2. THE GIRL ON THE TRAIN    Down

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。

3. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Down

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

4. PIRANHA    New!

Clive Cussler and Boyd Morrison クライブ・カッスラー&ボイド・モリソン

ハイテク装備の秘密工作船オレゴン号の冒険を描く、オレゴン・ファイル・シリーズ第10作。オレゴン号でベネズエラへやってきたカブリーヨと乗組員たちは何者かに執拗に狙われる。武器開発にからむ恐るべき計画が進行中だとわかり……。

5. SEVENEVES    Down

Neal Stephenson ニール・スティーヴンスン

月の爆発によって居住不能になった地球。宇宙ステーションへ脱出して生きのびたわずかな人類の子孫が、5000年後に地球への帰郷を試みる——ローカス賞・ヒューゴー賞受賞作家が放つ壮大なポスト・アポカリプスSF。

6. MEMORY MAN    Down

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

フットボールの試合中に頭部を強打して以来、どれほど些細な事柄もけっして忘れられない超記憶症候群になってしまったデッカー。刑事として人生を送っていたが、何者かに妻子を殺害される悲劇に遭い、みずからの能力を用いて真相を突き止めていく。

7. 14TH DEADLY SIN    Down

James Patterson and Maxine Paetro ジェイムズ・パタースン、マクシーン・ペトロ

女性殺人捜査クラブ・シリーズ第14作。サンフランシスコ市警の制服を着た犯罪者集団が繰り返す凶悪事件に、殺人課刑事リンジーと新聞記者シンディ、検死官クレア、地方検事ユキの4人の女性が挑む。

8. MAKE SOMETHING UP    New!

Chuck Palahniuk チャック・パラニューク

デビュー作『ファイト・クラブ』で一躍ベストセラー作家となったパラニューク初の短編集。21の短編と中編ひとつからなる。『ファイト・クラブ』のタイラー・ダーデンが脇役で登場する一編も収録されている。

9. OUR SOULS AT NIGHT    New!

Kent Haruf ケント・ハルフ

夫に先立たれ、ひとりで暮らす70歳のアディーが、近所に住む男やもめのルイーズに申し出た——お互いひとりが長くてさびしいことだから、夜はいっしょに眠りませんか、話をしましょう。ふたりは静かに人生を語りはじめた。老年の男女の物語。

10. THE NIGHTINGALE    Down

Kristin Hannah クリスティン・ハンナ

ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。

【まとめ】

1位と4位にエンターテインメントのシリーズものがランクインしました。4位は今回から共著者がボイド・モリソンに代わった点でもファンの注目を集めています。8位のパラニュークは本国では根強い人気を誇る作家ですが、邦訳は『ララバイ』(2005年)止まり。最近、『ララバイ』の映画化が報じられたほか、日本では今年4月に『ファイト・クラブ』が新版で復刊され、また前作から10年後を描いた“Fight Club 2”が本国でグラフィックノベルになるなど、いろいろと話題になっています。9位のケント・ハルフは昨年11月に亡くなっていて、今作が著者の6作目にして最後の小説です。

国弘喜美代(くにひろ きみよ)

4月末に『スペイン岬の秘密』(越前敏弥さんとの共訳)が出ました、よろしくお願いします。先日の『禁忌』での南東京読書会は、酒寄先生とゲストがお越しくださり、にぎやかに盛りあがりました。また、緊張でこちこちの世話人をそっとフォローしてくださった参加者のみなさんには心から感謝しています。どうもありがとうございました。南東京でも、いつか鵜飼を!