アメリカのベストセラー・ランキング

6月21日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. FINDERS KEEPERS    New!

Stephen King スティーヴン・キング

昨年夏に刊行された“Mr. Mercedes”の続編。著名な作家が殺害され、未発表の小説の原稿が盗まれる。が、犯人が別の罪で刑務所に収監されているあいだに、隠してあった原稿を少年が見つける。やがて釈放された犯人は原稿が奪われたことを知り、少年を追う。

2. THE GIRL ON THE TRAIN    Stay

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。

3. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Stay

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

4. IN THE UNLIKELY EVENT    New!

Judy Blume ジュディ・ブルーム

1950年代はじめ、ニュージャージーの小さな町で、飛行機の墜落事故が立てつづけに三件も起こる。ありえない事件に住民は動揺するが、そこに自分なりの意味を見いだそうとする。ヤングアダルトに人気の作者が、故郷の町で実際に起こった事件を題材にした大人向けの小説。

5. RADIANT ANGEL    Down

Nelson DeMille ネルソン・デミル

ジョン・コーリー・シリーズの第7作。イエメン人テロリストとの決着後、連邦テロリスト対策特別機動隊(ATTF)を離れたコーリー。不穏な動きを見せる元諜報員のロシア人を監視していたところ、マンハッタンを破壊しようとする企みが浮かびあがる。

6. MEMORY MAN    Stay

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

フットボールの試合中に頭部を強打して以来、どれほど些細な事柄もけっして忘れられない超記憶症候群になってしまったデッカー。刑事として人生を送っていたが、何者かに妻子を殺害される悲劇に遭い、みずからの能力を用いて真相を突き止めていく。

7. SEVENEVES    Down

Neal Stephenson ニール・スティーヴンスン

月の爆発によって居住不能になった地球。宇宙ステーションへ脱出して生きのびたわずかな人類の子孫が、5000年後に地球への帰郷を試みる——ローカス賞・ヒューゴー賞受賞作家が放つ壮大なポスト・アポカリプスSF。

8. 14TH DEADLY SIN    Down

James Patterson and Maxine Paetro ジェイムズ・パタースン、マクシーン・ペトロ

女性殺人捜査クラブ・シリーズ第14作。サンフランシスコ市警の制服を着た犯罪者集団が繰り返す凶悪事件に、殺人課刑事リンジーと新聞記者シンディ、検死官クレア、地方検事ユキの4人の女性が挑む。

9. PIRANHA    Down

Clive Cussler and Boyd Morrison クライブ・カッスラー、ボイド・モリソン

ハイテク装備の秘密工作船オレゴン号の冒険を描く、オレゴン・ファイル・シリーズ第10作。オレゴン号でベネズエラへやってきたカブリーヨと乗組員たちは何者かに執拗に狙われる。武器開発にからむ恐るべき計画が進行中だとわかり……。

10. THE NIGHTINGALE    Stay

Kristin Hannah クリスティン・ハンナ

ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。

【まとめ】

S・キングの新作が初登場で首位を獲得しました。前作で重要な役割を果たした人物たちが引きつづき登場しており、彼らの因縁の深さを巧みに描き出した続編に仕上がっているようです。トップテン外では、Jeff Shaaraによる南北戦争を描いた歴史小説4部作の第4部“The Fateful Lightning”が11位にランクインしたほか、ジェイソン・マシューズのスパイ・スリラーの新作“Palace of Treason”が15位にはいりました。マシューズはCIAの元局員で、実体験をもとに書いたデビュー作『レッド・スパロー』は日本でも刊行され、リアリティの高さが好評を博しています。

青木創(あおき はじめ)

フィクション翻訳とノンフィクション翻訳の両方を手がけています。P・メイの『さよなら、ブラックハウス』の続編『忘れゆく男』が3月に刊行されました。そのほかの訳書に、D・ワッツ『偶然の科学』、A・フランセス『〈正常〉を救え』など。