アメリカのベストセラー・ランキング

8月23日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. GO SET A WATCHMAN    Stay

Harper Lee ハーパー・リー

ピュリッツアー賞受賞作で映画にもなった『アラバマ物語』(1960年刊行、原題は“To Kill a Mockingbird”)の著者による半世紀ぶりの新作。『アラバマ物語』の語り手の女性、スカウトのその後を描いたもので、1950年代に執筆された草稿が最近見つかり、出版の運びとなった。

2. THE GIRL ON THE TRAIN    Stay

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。

3. ALERT    New!

James Patterson and Michael Ledwidge ジェイムズ・パタースン、マイクル・レドウィッジ

ニューヨーク市警刑事マイケル・ベネット・シリーズの第8作。不可解なハイテク攻撃や地下鉄駅爆破につづき、市長が狙撃された。かつてないほどの脅威にさらされるニューヨークの街を守るため、ベネットはFBIのエミリー・パーカーとともに捜査に乗りだす。

4. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Down

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

5. CIRCLING THE SUN    Down

Paula Mclain ポーラ・マクレイン

女性飛行家ベリル・マーカムが大西洋横断飛行中のコックピットで回想する20世紀初頭のケニアでの日々、そして女農場主カレンとその愛人フィンチ・ハットンとの三角関係……『ヘミングウェイの妻』の著者がふたたび実在の人物を題材に綴るヒストリカル・フィクション。

6. THE NIGHTINGALE    Up

Kristin Hannah クリスティン・ハンナ

ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。

7. LUCKIEST GIRL ALIVE    Up

Jessica Knoll ジェシカ・ノール

アニーはニューヨークの雑誌編集者。華やかな仕事に、ハンサムでお金持ちのフィアンセ……すべてを手にしているかに見える彼女には、封印した過去があった。15年前、フィラデルフィアの名門私立校に転校したアニーが遭遇した忌まわしい事件とは。

8. WIND/PINBALL    New!

Haruki Murakami 村上春樹

村上春樹の初期の小説2編の新訳。“Hear the Wind Sing”(『風の歌を聴け』)と“Pinball, 1973”(『1973年のピンボール』)を収録、翻訳はTed Goossen(テッド・グーセン、カナダ・トロントのヨーク大学教授)。

9. THE ENGLISH SPY    Down

Daniel Silva ダニエル・シルヴァ

美術修復師にしてイスラエル諜報機関の伝説のスパイ、ガブリエル・アロン・シリーズの第15作。その美貌と幅広い慈善活動でイギリス王室の顔となっている“世界一有名な女性”、イギリス王女がクルーズ中に爆殺された。アロンは犯人を突き止めるべく、イギリスの諜報員と協力して調査を始める。

10. DRAGONBANE    New!

Sherrilyn Kenyon シェリリン・ケニヨン

ギリシャ神話をモチーフにしたパラノーマル・ロマンス、ダーク・ハンター・シリーズの第26作。呪われた過去を持つドラゴンである寡黙な主人公マクシスの前に、昔の敵が現れた。現代のニューオーリンズの街が古代の悪魔たちの戦場と化す。

【まとめ】

トップテン内に3作が新登場。3位にはベストセラー作家パタースンとレドウィッジの共著、マイケル・ベネット・シリーズの新作がはいりました。前作“BURN”は昨年10月に初登場1位を獲得しています。10位のダーク・ハンター・シリーズは世界各国で熱烈なファンを獲得している人気シリーズで、2011年までに初期の7作品が邦訳刊行されています。トップテン外では、J・ライアン・ストラダルのデビュー作“KITCHENS OF THE GREAT MIDWEST”が19位にランクイン。食と家族をテーマにしたこの小説は、すでに7か国で版権が取得されているそうです。

佐藤桂(さとう けい)

神奈川在住の翻訳者です。訳書に『中途の家』(越前敏弥さんとの共訳)、Amazon Kindle Singles(電子書籍)『スノーデンは正義の味方なのか? 情報戦争を読み解く』など。