アメリカのベストセラー・ランキング

9月6日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. GO SET A WATCHMAN    Stay

Harper Lee ハーパー・リー

ピュリッツアー賞受賞作で映画にもなった『アラバマ物語』(1960年刊行、原題は“To Kill a Mockingbird”)の著者による半世紀ぶりの新作。『アラバマ物語』の語り手の女性、スカウトのその後を描いたもので、1950年代に執筆された草稿が最近見つかり、出版の運びとなった。

2. THE GIRL ON THE TRAIN    Stay

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。『ガール・オン・ザ・トレイン(仮題)』(池田真紀子訳)講談社文庫より2015年10月15日発売予定。

3. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Stay

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

4. FRICTION    New!

Sandra Brown サンドラ・ブラウン

テキサスレンジャーのクロフォード・ハントは四年前に妻を亡くした。さらに追い打ちをかけるようにデスクワークに左遷され、五歳の娘は妻の両親に引き取られてしまった。娘の親権を勝ち取るために裁判所に赴いた彼のまえに魅力的な女性裁判官と覆面強盗が現われ……? モデル、レポーターなどさまざまな経歴を持つ希代のストーリーテラー、サンドラ・ブラウンの最新ロマンティック・サスペンス。

5. ALERT    Down

James Patterson and Michael Ledwidge ジェイムズ・パタースン、マイクル・レドウィッジ

ニューヨーク市警刑事マイケル・ベネット・シリーズの第8作。不可解なハイテク攻撃や地下鉄駅爆破につづき、市長が狙撃された。かつてないほどの脅威にさらされるニューヨークの街を守るため、ベネットはFBIのエミリー・パーカーとともに捜査に乗りだす。

6. CIRCLING THE SUN    Stay

Paula Mclain ポーラ・マクレイン

女性飛行家ベリル・マーカムが大西洋横断飛行中のコックピットで回想する20世紀初頭のケニアでの日々、そして女農場主カレンとその愛人フィンチ・ハットンとの三角関係……『ヘミングウェイの妻』の著者がふたたび実在の人物を題材に綴るヒストリカル・フィクション。

7. THE MURDERER’S DAUGHTER    New!

Johathan Kellerman ジョナサン・ケラーマン

幼いころに両親の凄惨な死亡現場を目撃したグレイス・ブレイズは長じて心理医となり、大きな成功を収めた。が、その裏では、夜な夜な見ず知らずの男と肉体関係を持つという二重生活を繰り返していた。そんなある日、患者が殺害され、捜査の手が自分にも及ぶことを恐れた彼女は、自ら犯人を突き止めようとする。アレックス・デラウェア・シリーズのスピンオフ的作品。

8. WHO DO YOU LOVE    Down

Jennifer Weiner ジェニファー・ウェイナー

8歳のときに病院の待合室で出会ったレイチェルとアンディ。住む土地も家庭環境もちがうふたりの人生は、その後30年にわたり幾度も交差する。『イン・ハー・シューズ』の著者によるハートウォーミングなウィメンズ・フィクション。

9. SILVER LININGS    Down

Debbie Macomber デビー・マッコーマー

シーダー・コーヴ・シリーズのスピンオフ作品であるローズ・ハーバー・シリーズの第4作。ジョー=マリーが女主人をつとめる海辺の町のB&Bにやってきたふたり連れの女性客。同窓会に出席するため帰郷したふたりは、それぞれ過去に決着をつけようとしていた。

10. THE NIGHTINGALE    Down

Kristin Hannah クリスティン・ハンナ

ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。

【まとめ】

上位3位は変わらず。1位、2位はこのまましばらく独走を続けそうな感じです。ここに来て、『THE GIRL ON THE TRAIN』日本語版の情報が入ってきました。10月15日に講談社文庫(→no title)より発売とのことです。エミリー・ブラント、レベッカ・ファーガソン共演による映画化も決まっており、日本でも『ゴーン・ガール』に続く、『ガール・オン・ザ・トレイン』旋風が吹き荒れるのではないでしょうか。10位以内に新たにランクインしたのはサンドラ・ブラウンとジョナサン・ケラーマンの新作の2本です。ケラーマンの新作の主人公、グレイスはアレックス・デラウェアの教え子という設定です。

武藤陽生(むとう ようせい)

ゲーム翻訳と出版翻訳をやっています。最近の(とくに)PCゲームは小粒ながらストーリーを重視したインディー作品が多く、『The Vanishing of Ethan Carter』や『Gone Home』などはミステリー小説が好きな人にもお勧めです。とくに『The Vanishing of Ethan Carter』は主人公が超常的な能力を持つ探偵で、ハードボイルド小説のような趣と非常に美しいグラフィック、ストーリーが特徴です。(寂しくも美しい湖畔で、霊視探偵が最後に視たものは——トリックが張り巡らされたアドベンチャー『The Vanishing of Ethan Carter』(1/3) – ファミ通.com