『消えたメイドと空家の死体』/Mrs. Jeffries Dusts for Clues

エミリー・ブライトウェル(Emily Brightwell)/田辺千幸・訳

創元推理文庫/本体980円/9月12日/ISBN:978-4-488-20005-3

人柄の良さに反比例して刑事の才能はない主の警部補のため、こっそり事件を解決してきた屋敷の家政婦ジェフリーズ夫人と使用人たちは、その実績を見こんだ知人に、行方知れずのメイド捜しを依頼される。一方、警部補は新たに身元不明の若い女性が殺された事件を担当することに。捜査を始めるや、このふたつの事件が意外な形で結びつく? 話題沸騰、痛快ヴィクトリア朝ミステリ〈家政婦は名探偵〉シリーズ第2弾。訳者あとがき=田辺千幸

『曲がり角の死体』/Death at Dyke’s Corner

E・C・R・ロラック(E. C. R. Lorac)/藤村裕美・訳

創元推理文庫/本体1140円/9月12日/ISBN:978-4-488-21107-3

大雨の夜、急カーブの続く難所で起きた自動車の衝突事故。大破した車の運転席からは、著名な実業家が死体となって発見される。しかし検死の結果、被害者は事故の数時間前に一酸化炭素中毒によって死亡したことが判明する。事故直前には、現場と別の場所を走る被害者の車の目撃証言も……。死者が自動車を運転したのか? 謎解きの醍醐味が味わえる英国探偵小説黄金期の快作。解説=林克郎

『幽霊ピアニスト事件』/Nachleben

フレドゥン・キアンプール(Fredun Kianpour)/酒寄進一・訳

創元推理文庫/本体1160円/9月12日/ISBN:978-4-488-23403-4

青年ピアニスト、アルトゥアは死んでから50年後の世界にいきなり蘇った。音楽大学の学生たちと知り合い共同生活をはじめるが、常に古風な舞踏会用ドレスを着ている少女や、双子の霊媒たちと過ごす新しく愉快な日常には、なぜ事件ばかり起きるのか。音大でのリサイタルの妨害や美人ピアニスト殺し、そして自分が蘇った理由を解明するため、幽霊ピアニストは音大生たちと走る走る! 再会の秘密をめぐる、心に響く傑作ミステリ! 訳者あとがき/文庫版訳者あとがき=酒寄進一(単行本版タイトル『この世の涯てまで、よろしく』改題・文庫化)

『失われたものたちの本』/The Book of Lost Things

ジョン・コナリー(John Connolly)/田内志文・訳

単行本/本体2200円/9月30日/ISBN:978-4-488-01049-2

【全米図書館協会アレックス賞受賞作】

第二次世界大戦下のイギリス。本を愛する12歳のデイヴィッドは、母親を病気で亡くしてしまう。孤独に苛まれた彼はいつしか本の囁きを聞いたり、不思議な王国の幻を見たりしはじめる。ある日、死んだはずの母の声に導かれて、おとぎ話の登場人物や神話の怪物たちが蠢く、美しくも残酷な物語の世界の王国に迷い込んでしまう。元の世界に戻るため『失われたものたちの本』を探す旅に出るが……。少年の謎に満ちた旅路と、困難を乗り越えて成長する姿を描く異世界冒険譚。訳者あとがき=田内志文

『恐怖の谷【新訳版】』/The Valley of Fear

アーサー・コナン・ドイル(Arthur Conan Doyle)/深町眞理子・訳

創元推理文庫/本体800円/9月30日/ISBN:978-4-488-10123-7

シャーロック・ホームズのもとに届いた暗号の手紙。悪の首魁モリアーティー教授の配下からのそれは、サセックス州の〈バールストン館〉のあるじに危険が迫っていることを告げるものであった。そして実際、その館で凄惨な殺人事件が発生する。捜査に乗りだしたホームズが解き明かした驚愕の真相とは? 第一部と第二部の双方に意外性が秘められたシリーズ最後の長編、新訳決定版。解題=戸川安宣/解説=北原尚彦

『ホテル1222』/1222

アンネ・ホルト(Anne Holt)/枇谷玲子・訳

創元推理文庫/本体1200円/9月30日/ISBN:978-4-488-25706-4

雪嵐の中、オスロ発ベルゲン行きの列車が脱線、トンネルの壁に激突した。運転手は死亡、乗客は近くの古いホテルに避難した。ホテルには備蓄がたっぷりあり、救助を待つだけのはずだった。だがそんな中、牧師が他殺死体で発見された。吹雪は止む気配を見せず、救助が来る見込みはない。乗客のひとり、元警官の車椅子の女性が乞われて調査にあたるが、またも死体が……。ノルウェーミステリの女王がクリスティに捧げた、著者の最高傑作! 解説=若林踏

〈創元推理文庫2015年復刊フェア〉

※ミステリ関連のものだけ取りあげています。全10点のラインナップおよび新カバーは下記参照。9月下旬から開催(購入可能)です。

http://www.webmysteries.jp/topic/1509-01.html

『船から消えた男』/Man Overboard!【新カバー!】

F・W・クロフツ(F. W. Crofts)/中山善之・訳

創元推理文庫/本体1200円/9月下旬/ISBN:978-4-488-10625-6

ガソリンの危険性を除くという化学的大発見の実用化計画が進められていた。巨万の富を期待する四人の若者と資金援助をする老人一人。化学会社との契約を目前に、その会社から派遣された調査員が連絡船上から姿を消し数日後に水死体となって発見された。ベルファスト警察の要請で捜査に乗り出すフレンチ警部。一見単純そうな事件だったが。訳者あとがき=中山善之

『ピカデリーの殺人』/The Piccadilly Murder【新カバー!】

アントニイ・バークリー(Anthony Berkeley)/真野明裕・訳

創元推理文庫/本体1100円/9月下旬/ISBN:978-4-488-12303-1

伯母と犯罪学と切手蒐集から成る人生に安住していたチタウィック氏が、たまさか訪れた午後のホテルで毒殺の現場に遭遇する。なんとも伯母さんというほかない被害者、そして、同じ卓を囲み怪しい振舞を見せた、その甥っ子。皮肉な成行きに嘆息しながらも氏は訴追側の証人として渦中の人となる。考え抜かれた話術が生きる手練の謎解き編! 解説=小林晋

『手斧が首を切りにきた』/Here Comes a Candle

フレドリック・ブラウン(Fredric Brown)/青田勝・訳

創元推理文庫/本体1100円/9月下旬/ISBN:978-4-488-14603-0

本書において、著者は小説の合間に、ラジオ、映画、スポーツ放送、ビデオ、演劇等の台本の形式を挟みストーリーを展開させ、結末を小さな新聞記事で締め括っている。そして不気味なマザー・グースの歌が、二人の女性の間で揺れ動く一青年のやるせない青春像を、鮮やかに浮き彫りにする。1940年代後期のアメリカの地方都市を舞台に、ブラウンが趣向を凝らして描く初期長編異色作。訳者あとがき=青田勝

『暗闇の薔薇』/The Rose in Darkness【新カバー!】

クリスチアナ・ブランド(Christianna Brand)/高田惠子・訳

創元推理文庫/本体940円/9月下旬/ISBN:978-4-488-26202-0

嵐の夜、サリーは一台の車があとをつけてくるのに気がついた。いったんは無事やりすごせたかに思えたが、折りからの暴風に巨木が倒れ、行く手を塞いでしまう。あせった彼女は、倒木の向こうで同じ憂き目にあっていた未知の男性と車を交換、それぞれの目的地をめざすが……。英国の重鎮が華麗に描く、巧緻にして型破りの本格傑作。解説=山口雅也

『納骨堂の奥に』/The Family Vault【新カバー!】

シャーロット・マクラウド(Charlotte MaCleod) /浅羽莢子・訳

創元推理文庫/本体1000円/9月下旬/ISBN:978-4-488-24603-7

ケリング家の若妻セーラは、フレデリック大伯父の葬儀に押しかけてくる人々に出す食事のことを考えながら、納骨堂の開扉に立ち会っていた。ところがようやく開いた扉の奥にあったのは、見知らぬ女性の他殺死体。数十年間埋もれていた犯罪と関わってしまったセーラは、成り行きで事件を調べることに……古都ボストンを舞台にした人気シリーズの第一弾、臨場感に溢れた傑作長編。訳者あとがき=浅羽莢子