アメリカのベストセラー・ランキング

11月1日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. SEE ME    New!

Nicholas Sparks ニコラス・スパークス

すさんだ過去と決別して人生をやり直すため、教師を目指しながらひっそり暮らすコリン。弁護士のマリアと出会い、愛しあうようになるが、マリアにもまた深い心の傷があった……『きみに読む物語』で知られるベストセラー作家によるロマンティック・スリラー。

2. THE SURVIVOR    Down

Vince Flynn and Kyle Mills ヴィンス・フリン、カイル・ミルズ

元CIAのジョー・リックマンは祖国を裏切り、大量の超機密文書を盗み出した。CIA長官はエリートスパイ、ミッチ・ラップに命令を下し、リックマンを追わせるが……故ヴィンス・フリンの跡を継いでカイル・ミルズが書きあげたシリーズ最新作。

3. THE MURDER HOUSE    Stay

James Patterson and David Ellis ジェイムズ・パタースン、デイヴィッド・エリス

ハンプトンズの海辺に建つ屋敷で16年前、不可解な火災により老夫婦が死亡した。地元の人々からいまもマーダー・ハウスと呼ばれているその家で、こんどはハリウッドのプロデューサーと愛人の死体が発見される。

4. A KNIGHT OF THE SEVEN KINGDOMS    Down

George R. R. Martin ジョージ・R・R・マーティン

「ゲーム・オブ・スローンズ」(『氷と炎の歌』シリーズ)の約100年前を舞台にした外伝的中編の初期3作を1冊にまとめたもの。160点を超えるイラスト入り。

5. CITY ON FIRE    New!

Garth Risk Hallberg ガース・リスク・ホールバーグ

大銀行家、パンクロッカー、花火職人、ジャーナリスト、刑事。セントラルパークで起きた女子学生銃撃事件と歴史的な大停電によって交錯する、さまざまな人々の人生。1970年代ニューヨークの混沌と熱気を活写した、新進作家による長編デビュー作。

6. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Down

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

7. THE GIRL IN THE SPIDER’S WEB    Down

David Lagercrantz ダヴィド・ラーゲルクランツ

故スティーグ・ラーソンによるミレニアム3部作の続編を故人と同じスウェーデンの作家が書き継いだもの。スティーグ・ラーソンは4部目に着手していたが、その草稿は今作に反映されていない。とはいえ、リスベットとミカエルは引きつづき登場し、今回リスベットはNSAのシステム侵入に挑む。

8. GO SET A WATCHMAN    Down

Harper Lee ハーパー・リー

ピュリッツアー賞受賞作で映画にもなった『アラバマ物語』(1960年刊行、原題は“TO KILL A MOCKINGBIRD”)の著者による半世紀ぶりの新作。『アラバマ物語』の語り手の女性、スカウトのその後を描いたもので、1950年代に執筆された草稿が最近見つかり、出版の運びとなった。

9. THE GIRL ON THE TRAIN    Up

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。邦訳『ガール・オン・ザ・トレイン』(池田真紀子訳)が講談社文庫より刊行されている。

10. MAKE ME    Down

Lee Child リー・チャイルド

元アメリカ陸軍憲兵隊捜査官のジャック・リーチャーが活躍するシリーズの第20作。流れ者の暮らしをつづけるリーチャーは、オクラホマの田舎町で元FBI捜査官のミシェルと知り合う。そしてその町で行方不明になったミシェルの友人の捜索を手伝うことになるが、住民は不自然なまでに非協力的だった。

【まとめ】

1位と5位に新作が登場しました。初登場1位の“SEE ME”は、これまでのスパークス作品と比べ、かなりサスペンス色の濃い内容となっているそうです。5位の“CITY ON FIRE”は、約200万ドルというアドバンスの高額さでも話題を呼び、すでに映画化権も売れているとのこと。『アメリカ新進作家傑作選〈2008〉』のなかに同作家の短編「アーリー・ヒューマンズ」が収録されています。ベストテン外では、スチュアート・ウッズのバリントン・シリーズ第35作“FOREIGN AFFAIRS”が11位に、『愛するということ』のアドリアナ・トリジアーニによるヒストリカル・フィクション“ALL THE STARS IN THE HEAVENS”が14位に入っています。

中谷友紀子(なかたに ゆきこ)

関西在住の翻訳者。訳書はギリアン・フリン『ゴーン・ガール』、ティム・ジョンストン『ディセント 生贄の山』など。ミシェル・ペイヴァー『神々と戦士たち』シリーズの第2巻『再会の島で』が本日刊行されました。どうぞよろしくお願いします。