アメリカのベストセラー・ランキング

11月8日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. ROGUE LAWYER    New!

John Grisham ジョン・グリシャム

ミニバーとWi-Fiを備えた革装特別仕様の防弾車に乗り、その運転手兼用心棒兼ゴルフのキャディーでもある腹心の友を相棒に、ひとの嫌がる依頼人ばかりを弁護する異端児セバスチャン・ラッド。孤高の男を主人公に据えた、リーガル・サスペンスの名手による最新作。

2. SEE ME    Down

Nicholas Sparks ニコラス・スパークス

すさんだ過去と決別して人生をやり直すため、教師を目指しながらひっそり暮らすコリン。弁護士のマリアと出会い、愛しあうようになるが、マリアにもまた深い心の傷があった……『きみに読む物語』で知られるベストセラー作家によるロマンティック・スリラー。

3. CAREER OF EVIL    New!

Robert Galbraith ロバート・ガルブレイス

助手のロビンに届いた送り主不明の包みには、女の片脚が入っていた。探偵コーモランが過去に関わったなかで、そんなことをしそうなサイコパスは……。ハリポタ作者J・K・ローリングが変名で綴る私立探偵コーモラン・ストライク・シリーズ第三弾。

4. WELCOME TO NIGHT VALE    New!

Joseph Fink and Jeffrey Cranor ジョセフ・フィンク、ジェフリー・クレイナー

アメリカ南西部の砂漠にあるという不思議な町ナイトヴェール。見知らぬ男が置いていったメモの謎めいた言葉が、町に住む2人の女の運命を引き寄せる。人気ポッドキャスト番組《ウェルカム・トゥ・ナイトヴェール》からの書き下ろし小説。

5. THE SURVIVOR    Down

Vince Flynn and Kyle Mills ヴィンス・フリン、カイル・ミルズ

元CIAのジョー・リックマンは祖国を裏切り、大量の超機密文書を盗み出した。CIA長官はエリートスパイ、ミッチ・ラップに命令を下し、リックマンを追わせるが……故ヴィンス・フリンの跡を継いでカイル・ミルズが書きあげたシリーズ最新作。

6. THE LAKE HOUSE    New!

Kate Morton ケイト・モートン

1933年、コーンウォールで生後11ヵ月の赤ん坊が誘拐された。当時16歳だった姉のアリスは、作家となってロンドンで暮らす今も弟と犯人のことが頭を離れずにいた。事件に興味をひかれた女性刑事サディーとともに、やがてアリスが辿りついた真相とは。

7. THE MURDER HOUSE    Down

James Patterson and David Ellis ジェイムズ・パタースン、デイヴィッド・エリス

ハンプトンズの海辺に建つ屋敷で16年前、不可解な火災により老夫婦が死亡した。地元の人々からいまもマーダー・ハウスと呼ばれているその家で、こんどはハリウッドのプロデューサーと愛人の死体が発見される。

8. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Down

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

9. THE GIRL IN THE SPIDER’S WEB    Down

David Lagercrantz ダヴィド・ラーゲルクランツ

故スティーグ・ラーソンによるミレニアム3部作の続編を故人と同じスウェーデンの作家が書き継いだもの。スティーグ・ラーソンは4部目に着手していたが、その草稿は今作に反映されていない。とはいえ、リスベットとミカエルは引きつづき登場し、今回リスベットはNSAのシステム侵入に挑む。

10. A KNIGHT OF THE SEVEN KINGDOMS    Down

George R. R. Martin ジョージ・R・R・マーティン

「ゲーム・オブ・スローンズ」(『氷と炎の歌』シリーズ)の約100年前を舞台にした外伝的中編の初期3作を1冊にまとめたもの。160点を超えるイラスト入り。

【まとめ】

今週は1位、3位、4位、6位に新作が入って上位が大きく変動しています。1位グリシャムは2月に刊行された『司法取引』に続き、今月24日には『少年弁護士セオの事件簿5:逃亡者の目』が発売に。3位ガルブレイスの(別名J・K・ローリングの)第2作『カイコの紡ぐ嘘』も今月12日に書店に並ぶ予定です。4位のベースとなっているのはトワイライトゾーン風味のポッドキャスト。YouTubeで画像つきバージョンを視聴してみましたが、楽しいですね。そして6位には、このシンジケートでも『忘れられた花園』、『秘密』と2度の大賞に輝いたケイト・モートンの最新作が登場です。 こんどはどんなふうに驚かせてくれるでしょうか。ランク外で18位に入った“THE EXPLORERS GUILD: VOLUME ONE: A PASSAGE TO SHAMBHALA”は、あのケヴィン・コスナーの出版デビュー作で、共著者にジョン・ベアド、イラストがリック・ロス。第一次世界大戦を背景に、紳士クラブを隠れ蓑にした冒険家たちの秘密結社が秘境の旅へ。クラシックな冒険小説に合わせた挿絵がすばらしく、小説とコミックを融合させた気合満点の仕上がりになっているようです。

飯干京子(いいぼし きょうこ)

関西在住。訳書にグレッグ・ルッカ『回帰者』など。大阪読書会の世話人の1人ですが、今回は関西のくくりで11月23日開催の神戸読書会の宣伝をさせてください。課題書はコン・ゲームの名作、ジェフリー・アーチャーの『百万ドルをとり返せ!』。わたしも読んでるとこですが、面白いです! 課題書選び名人の神戸世話人さんによると、かつて流行ったコン・ゲームものは現在ほとんどが入手不可能なんですって。これはもう、この機会に読むしかありませんよね。そして面白かったら、ぜひ読書会へどうぞ!