アメリカのベストセラー・ランキング

2月14日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. NYPD RED 4    New!

James Patterson and Marshall Karp ジェイムズ・パタースン、マーシャル・カープ

ニューヨーク市警の特命捜査班“レッド”所属のザック・ジョーダンとカイリー・マクドナルドの男女コンビが活躍するシリーズの第4作。映画のプレミアイベント会場で女優が殺害され、数百万ドルのネックレスが強奪される。一方、市内の病院では高価な医療機器の窃盗事件が頻発、ザックとカイリーは捜査に奔走する。

2. BLUE    Down

Danielle Steel ダニエル・スティール

ビバリーヒルズでの絵に描いたようなセレブ婚生活を一瞬の事故で失ったジニー。ホームレスの少年ブルーとの出会いが彼女の疲れ果てた心を変えていくが、ふたりの友情が深まりはじめたころ、ブルーが隠していた衝撃的な秘密が明かされる。ロマンス作品で知られるダニエル・スティールの最新作。

3. MY NAME IS LUCY BARTON    Down

Elizabeth Strout エリザベス・ストラウト

ピューリッツァー賞を受けた著者による最新作。簡単な手術を受け、回復中のルーシー・バートンの病室に、もう何年も口をきいていない母親が見舞いにやってくる。2人はルーシーの幼少期の思い出話をはじめ、次第に絆を取り戻していく。しかし、その水面下では……短いながらも深い余韻を残す、母と娘の物語。

4. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Down

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

5. THE GIRL ON THE TRAIN    Down

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。邦訳『ガール・オン・ザ・トレイン』(池田真紀子訳)が講談社文庫より刊行されている。

6. THE BANDS OF MOURNING    New!

Brandon Sanderson ブランドン・サンダースン

ファンタジー小説『ミストボーン』シリーズの第6作。第4作“THE ALLOY OF LAW”から舞台は19世紀後半のアメリカに移り、前3部作の登場人物の末裔ワックスとその相棒ウェインを主人公に、魔法とテクノロジーが融合した社会が描かれる。

7. THE NIGHTINGALE    Down

Kristin Hannah クリスティン・ハナ

ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。小学館から『ナイチンゲール(上・下)』(加藤洋子訳)として3月8日発売予定。

8. STAR WARS: THE FORCE AWAKENS    Down

Alan Dean Foster アラン・ディーン・フォスター

映画「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の公式ノヴェライゼーション。8ページにわたるカラー写真付き。著者は最初の「スター・ウォーズ」でもジョージ・ルーカス本人の依頼でゴーストライターをつとめ、映画化前の1976年に脚本から小説を書き起こしたことが近年明かされている。

9. THE SWANS OF FIFTH AVENUE    New!

Melanie Benjamin メラニー・ベンジャミン

社交界の寵児トルーマン・カポーティは、ベイブ・ペイリーをはじめとした上流階級の淑女たちを“白鳥”と呼び、こよなく愛していたが……20年にわたる彼らの交遊が、カポーティの暴露本執筆によって終わりを告げるまでを描いたヒストリカル・フィクション。

10. ROGUE LAWYER    Down

John Grisham ジョン・グリシャム

ミニバーとWi-Fiを備えた革装特別仕様の防弾車に乗り、その運転手兼用心棒兼ゴルフのキャディーでもある腹心の友を相棒に、ひとの嫌がる依頼人ばかりを弁護する異端児セバスチャン・ラッド。孤高の男を主人公に据えた、リーガル・サスペンスの名手による最新作。

【まとめ】

今週は1位、6位、9位に新作が入りました。1位はランキングの常連、ジェイムズ・パタースン。6位の人気作家ブランドン・サンダースンも、昨年10月に発表されたシリーズ前作“SHADOWS OF SELF”につづいてのベストテン入りです。邦訳は初期3部作が早川書房より刊行されています。9位の“THE SWANS OF FIFTH AVENUE”に登場するベイブ・ペイリーは20世紀なかばのニューヨーク社交界のファッション・アイコン的存在で、カポーティに「彼女の欠点はパーフェクトなこと。そうでなければパーフェクトなのに」と評された女性です。ベストテン外では、17位にケヴィン・ハーンの『鉄の魔道僧』シリーズ第8作“STAKED”がランクイン。邦訳は第2作『鉄の魔道僧2 魔女の狂宴』(早川書房)まで出ています。

中谷友紀子(なかたに ゆきこ)

関西在住の翻訳者。小学館月刊誌《STORY BOX》で連載中のギリアン・フリン短篇『カーターフック屋敷へようこそ』が今月19日に電子配信されます。2015年MWA短篇賞受賞作です。また、24日にはリンゼイ・J・パーマー『スキャンダラス——女たちの編集部——』が早川書房〈my perfume〉レーベルより刊行されます。働く女子のあるあるが満載のお仕事小説です。どうぞよろしくお願いします。