アメリカのベストセラー・ランキング

3月6日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. COMETH THE HOUR    New!

Jeffrey Archer ジェフリー・アーチャー

激動の20世紀イギリスを生きる一族を描いた〈クリフトン年代記〉第6部。ハリー・クリフトンはシベリアで投獄された友人のロシア人作家の救出に奔走。一方、銀行の重役となった息子のセバスティアンはインド人の娘と恋に落ちるも、彼女には親の決めた許嫁がいた。

2. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Up

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

3. THE GIRL ON THE TRAIN    Up

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。邦訳『ガール・オン・ザ・トレイン』(池田真紀子訳)が講談社文庫より刊行されている。

4. THE NIGHTINGALE    Up

Kristin Hannah クリスティン・ハナ

ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。小学館から『ナイチンゲール(上・下)』(加藤洋子訳)として邦訳刊行予定。

5. BROTHERHOOD IN DEATH    Down

J. D. Robb J・D・ロブ

元上院議員エドワードが何者かに傷を負わされ、そのまま消息を絶つ。姿を最後に見たのは、いとこのデニスだった。デニスいわく、エドワードは一族ゆかりの土地を勝手に売ろうとしていたらしい。イヴはデニスの妻で自身の友人でもあるトッププロファイラーのシャーロットとともに事件を調べはじめる。イヴ&ローク・シリーズ第42作。

6. NYPD RED 4    Down

James Patterson and Marshall Karp ジェイムズ・パタースン、マーシャル・カープ

ニューヨーク市警の特命捜査班“レッド”所属のザック・ジョーダンとカイリー・マクドナルドの男女コンビが活躍するシリーズの第4作。映画のプレミアイベント会場で女優が殺害され、数百万ドルのネックレスが強奪される。一方、市内の病院では高価な医療機器の窃盗事件が頻発、ザックとカイリーは捜査に奔走する。

7. FIND HER    Down

Lisa Gardner リサ・ガードナー

ボストン市警の刑事D・D・ウォーレンを主人公とするシリーズの第8作。誘拐された若い女が犯人を殺害するという事件が発生する。その女は7年前にも誘拐され、1年以上にわたって監禁されたすえに、犯人を殺害して脱出した過去を持っていた。

8. MY NAME IS LUCY BARTON    Down

Elizabeth Strout エリザベス・ストラウト

ピューリッツァー賞を受けた著者による最新作。簡単な手術を受け、回復中のルーシー・バートンの病室に、もう何年も口をきいていない母親が見舞いにやってくる。2人はルーシーの幼少期の思い出話をはじめ、次第に絆を取り戻していく。しかし、その水面下では……短いながらも深い余韻を残す、母と娘の物語。

9. GO SET A WATCHMAN    Up

Harper Lee ハーパー・リー

ピュリッツアー賞受賞作で映画にもなった『アラバマ物語』(1960年刊行、原題は“TO KILL A MOCKINGBIRD”)の著者による半世紀ぶりの新作。『アラバマ物語』の語り手の女性、スカウトのその後を描いたもので、1950年代に執筆された草稿が最近見つかり、出版の運びとなった。

10. ROGUE LAWYER    Up

John Grisham ジョン・グリシャム

ミニバーとWi-Fiを備えた革装特別仕様の防弾車に乗り、その運転手兼用心棒兼ゴルフのキャディーでもある腹心の友を相棒に、ひとの嫌がる依頼人ばかりを弁護する異端児セバスチャン・ラッド。孤高の男を主人公に据えた、リーガル・サスペンスの名手による最新作。

【まとめ】

ジェフリー・アーチャーのクリフトン年代記第6部が初登場1位に。最終巻となる第7部は英米で今年11月発売の予定で、年内にシリーズ完結を迎えることになります。邦訳は第4部『追風に帆を上げよ』(新潮文庫)まで刊行ずみです。またベストテン外では、12位に新人女性作家フィオナ・バートンのデビュー作“THE WIDOW”が、14位にノルウェーの作家ジョー・ネスボの“MIDNIGHT SUN”が新たにランクインしています。ネスボの新作は昨年4月26日付の当ランキングで9位に入った“BLOOD ON SNOW”の続編であり、3部作の2作目にあたるとのこと。

満園真木(みつぞの まき)

東京在住の翻訳者。訳書はバリー・ライガ『殺人者たちの王』、同『さよなら、シリアルキラー』、エミリー・セントジョン・マンデル『ステーション・イレブン』など。第7回翻訳ミステリー大賞二次投票の期限まであとひと月、読み残している作品を早く読まねばとそろそろ焦りも感じつつ、何に投票しようかと頭を悩ませる日々です。