キャシー・アンズワース『埋葬された夏』の42ページにこんな記述がある。

「きみにテープを作ってあげるよ」彼は言った。「そのマドンナの12インチシングルの。家にあるんだ。まあ、ほんと言うと姉ちゃんのだけどさ、文句は言われないって」

「ほんとに?」コリーンが勢いよく顔をむけた。「絶対?」

 ある男の子が、コリーンという女の子の気をひくために、姉が持つマドンナの12インチシングルをカセットテープに録音してあげるという約束をする場面である。

 私も中学から高校くらいのころには、全米トップ40なんかをFMラジオから録音して自分だけのカセットテープを作っていて、それをよく友達と貸し借りしていた。どうしてもラジオやレコードから録音できない、ちょっと手に入りにくい曲は、誰かのカセットから自分のカセットへとダビングしたりもしたし、それを何度も繰り返せば当然音質もひどいものになるんだけど、それでも、同じ曲、好きな曲を友達と共有するという喜びの前には、音質などまったく気にならなかったのである。ましてやその相手が好きな女の子だったりした時にはもう!

 差し詰め今ならiTunesなどのプレイリストがそれに該当するんだろうけど、曲そのものをやりとりできるわけではないし、手のひらの上に乗ってしまうくらい小さな1枚の板の中に、自分の思いを詰め込んで渡すあの感じというのは、今はもう味わえなくなった貴重な感覚なのかもしれないと、まあそんなことを上にひいた箇所を読んだときに考えたのである。

 なんて話はさておいて、第18回の福岡読書会はキャシー・アンズワース『埋葬された夏』(三角和代訳 創元推理文庫)を取り上げます。この作品、4月の出版社対抗ビブリオバトル(第七回翻訳ミステリー大賞授賞式のときにおこなわれました)で、チャンピオンに輝いた作品なんです。これを受けて、世話人でDM一往復分協議した結果、発売前にもかかわらず課題本に決めてしまいました。ていうかビブリオバトルの翌日にはもう決めちゃってたもんなー。翻訳者からも「チャレンジャーだ」と言われましたが、まあなんというか、俺がやらなきゃ誰がやる!的な感じでがんばります。ということでご案内です。

日 時 2016年7月9日(土)15:30〜17:30(懇親会別途予定あり)

場 所 福岡市天神某所

    (参加申し込みをされた方に別途ご案内いたします)

課題書 『埋葬された夏』(キャシー・アンズワース/三角和代 創元推理文庫)※電子書籍あり

定 員 20名

参加費 800円(学生500円)

【申し込み方法】

 メールでのお申し込みとなります。件名を「第18回福岡読書会」として(お申し込みの見落とし防止のため、ご協力をお願いいたします)、福岡読書会専用アカウント fukuokamysteryreadingcircle@gmail.com へ、以下のフォーマットをご利用のうえ、お申し込みください。

——————お申し込みフォーマット——————

お名前(ハンドル不可、ご本名でお願いいたします。商業紙に発表のあるプロの方の筆名は可です):

緊急連絡用の電話番号:

懇親会の出欠:参加  不参加(お手数ですがどちらかを消してください)

出版関係のプロおよびそれに準じるかたですか:はい  いいえ(お手数ですがどちらかを消してください)

ご年代:(自由回答です)

お住まいの都道府県:(自由回答です)

——————フォーマットここまで————————

※定員に達した時点で受付を締め切ります。

※読書会終了後は、近くのお店で懇親会をおこないます(会費別途、学生割引あり)。お申し込みの際に出欠をお知らせください。

※シンジケートでの告知掲載から、一週間をめどに順次受付返信メールをお送りしますので、@gmail.comからのメールを受信できるようあらかじめ設定をお願いいたします。携帯電話からのお申し込みで、こちらからのメールが届かない事例がおこっております。お申し込みから一週間を過ぎても、こちらから返信がない場合はお知らせください。

(福岡読書会世話人 大木、村上)

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