アメリカのベストセラー・ランキング

7月31日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. THE BLACK WIDOW    New!

Daniel Silva ダニエル・シルヴァ

美術修復師にしてイスラエル諜報機関の伝説のスパイ、ガブリエル・アロン・シリーズの第16作。パリ・マレ地区のユダヤ人街でISISによる大規模な爆弾テロが発生。フランス政府より協力要請を受けたアロンは、次なる攻撃を阻止すべく、イスラエル人の女性医師をスパイとしてISISに潜入させる。

2. THE GIRLS    Up

Emma Cline エマ・クライン

1969年の夏、カリフォルニアの孤独な14歳の少女イーヴィは、自由奔放な19歳のスザンヌと出会い、ヒッピーのグループに強く惹かれていく。だが、ようやく見つけたその居場所は暴力的なカルト集団だった。

3. FIRST COMES LOVE    Down

Emily Giffin エミリー・ギフィン

結婚して子供をもちたい教師のジョシーと、完璧な仕事と家庭を手に入れながらも幸せを感じられない弁護士のメレディス。15年前、家族に起きたある出来事がもとで疎遠になっていた姉妹は、ともに30代後半を迎えたいま、和解への道を歩みはじめる。

4. MAGIC    Down

Danielle Steel ダニエル・スティール

年に一度、パリの名所で豪勢なディナーがふるまわれる。エッフェル塔、ルーブル美術館、ノートルダム……選ばれたゲストには秘密の招待状が送られ、会場では日没とともに数千本のキャンドルに火が灯される。食後、彼らは願いを書いた提灯を空に飛ばす。このディナーに参加した三組の夫婦に、夏の夜、パリでしかありえない魔法が始まる。

5. THE GAMES    Down

James Patterson and Mark Sullivan ジェイムズ・パタースン、マーク・サリヴァン

元海兵隊のジャック・モーガンが民間調査会社“プライベート”を率いて難事件に取り組むシリーズの第7作。舞台はオリンピック開催を間近に控えたリオデジャネイロ。2年前のサッカー・ワールドカップ開催時に起きた不審死とも関連する大会阻止計画の情報を得たジャックたちは、前代未聞の大惨事を食い止めることができるのか。

6. END OF WATCH    Down

Stephen King スティーヴン・キング

退職刑事ビル・ホッジズを主人公とした3部作の最終作。助手のホリーとともに探偵社を営むホッジズは、母親が四肢麻痺の娘を殺して自殺した事件に疑念を抱く。その娘は7年前の“ミスター・メルセデス”事件で重傷を負った被害者のひとりだった。

7. THE NIGHTINGALE    Up

Kristin Hannah クリスティン・ハナ

ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。小学館より『ナイチンゲール(上・下)』(加藤洋子訳)として邦訳が刊行されている。

8. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE   Up

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

9. LIFE DEBT: AFTERMATH    New!

Chuck Wendig チャック・ウェンディグ

スター・ウォーズ・シリーズの公式サイドストーリー3部作の第2作。1作目の“AFTERMATH”(邦題『スター・ウォーズ アフターマス』)につづき、エピソード6「ジェダイの帰還」の直後からエピソード7「フォースの覚醒」までの時代が描かれる。

10. HERE’S TO US    Down

Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド

亡くなったセレブリティ・シェフの元妻である3人の女性とその子どもたちが、故人の遺言により、それぞれに思い出の詰まったナンタケットの別荘に集まった。“サマー・ノベルの女王”と呼ばれる人気作家の最新作。

【まとめ】

1位と9位に新作が登場しました。ダニエル・シルヴァは、昨年出たシリーズ前作に引きつづいての初登場1位獲得です。その前作“THE ENGLISH SPY”は、タイムリーにも、ハーパーBOOKSから『英国のスパイ』として先週刊行されたばかり。最新作の邦訳も楽しみに待たれるところです。また、9位のチャック・ウェンディグによる3部作も、今週末の30日に第1作の邦訳『スター・ウォーズ アフターマス』がヴィレッジブックスより発売予定。ウェンディグにはほかに今年2月刊の『ゼロの総和』(ハーパーBOOKS)などの著作があります。ベストテン外では、TVドラマ「ダウントン・アビー」シリーズの脚本家、ジュリアン・フェローズによる時代小説“BELGRAVIA”が15位に入っています。

中谷友紀子(なかたに ゆきこ)

訳書にフリン『カーターフック屋敷へようこそ』、パーマー『スキャンダラス 女たちの編集部』など。いまはペイヴァー『神々と戦士たち』シリーズ第4巻・エジプト編を訳出中です。