アメリカのベストセラー・ランキング

11月27日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. TURBO TWENTY-THREE    New!

Janet Evanovich ジャネット・イヴァノビッチ

バウンティハンター、ステファニー・プラム・シリーズの第23作。アイスクリームを積んだ冷凍車のなかで、チョコレートやナッツにまみれて凍りついた死体が発見される。犯人を探るべく、ステファニーはアイスクリーム工場に潜入するが、甘いものの誘惑はいかんともしがたく……

2. NO MAN’S LAND    New!

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

アメリカ陸軍犯罪捜査官ジョン・プラー・シリーズの第4作。30年前に失踪したプラーの母が、実は殺害されていた可能性が浮上する。容疑者となったのは認知症を患う父だった。家族の名誉を守るため、プラーは前作で汚名を晴らした兄の協力を得て、過去の解明に取り組む。

3. THE WHISTLER    Down

John Grisham ジョン・グリシャム

裁判官への苦情を調査する仕事について9年、フロリダの弁護士レイシーの平穏だった日々は、インディアン・カジノをめぐる組織犯罪と、それにからむ判事の不正を伝える密告者との出会いによって一変する。

4. NIGHT SCHOOL    Down

Lee Child リー・チャイルド

ジャック・リーチャー・シリーズの第21作。今回はリーチャーが陸軍にいたころの過去の活躍を描く。イスラム教テロ組織に機密情報を売り渡そうとしているアメリカ人をとらえろ——極秘任務を与えられ、リーチャーはFBIとCIAのエージェントとともにハンブルクへ向かう。

5. ODESSA SEA    New!

Clive Cussler and Dirk Cussler クライブ・カッスラー、ダーク・カッスラー

NUMA(国立海中海洋機関)のダーク・ピットが活躍するシリーズの第24作。黒海でオスマン帝国の沈没船を探していたピットは、貨物船の遭難信号を受信する。だが、現場に生存者の姿はなく、硫黄のにおいが漂っていた。調査を進めるうち、その海域でこれまでに幾度も遭難事故が起こっていたことが明らかになる。

6. TWO BY TWO    Down

Nicholas Sparks ニコラス・スパークス

幸せなはずだった結婚生活が破綻し、華やかなPRの職も失った32歳のラス。6歳の娘ロンドンを抱えてシングルファザーとなり、想像もつかなかった新しい生活と新しい恋に踏みだす。

7. CHAOS    New!

Patricia Cornwell パトリシア・コーンウェル

検屍官ケイ・スカーペッタ・シリーズの第24作。自転車に乗っているときに落雷で死亡したと思われる死体が発見されるが、当時の天候からスカーペッタは他殺を疑う。調査を進めるスカーペッタのもとに、謎の人物から脅迫状めいた奇妙な詩が届く。

8. THE MISTLETOE SECRET    New!

Richard Paul Evans リチャード・ポール・エヴァンズ

読んでくれる人はだれもいないと思いながら、ブログにみずからの痛切な孤独感を綴る女。が、遠く離れた地で、その文章に強い共感を覚える傷心の男がいた。男はブログを手がかりにして女を捜しあて、会いにいこうとするが、その旅路で出会った女に惹かれる。

9. THE WRONG SIDE OF GOODBYE    Down

Michael Connelly マイクル・コナリー

ロス市警退職後、私立探偵業をはじめるかたわら、小さな町の警察署の予備警察官となったボッシュ。さっそく連続婦女暴行事件の捜査に参加する一方、余命わずかな富豪から、遠い昔に別れた恋人が産んだはずの自分の子供を捜してほしいと依頼される。ハリー・ボッシュ・シリーズ第21作。

10. CATALYST    New!

James Luceno ジェームズ・ルシーノ

スター・ウォーズ・シリーズのスピンオフ映画《ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー》の前日譚となる小説。デス・スターを軸に、エピソード3と4のあいだの物語が描かれる。同映画は2016年12月に公開予定。

【まとめ】

ホリデーシーズンに向けて、人気作家の新作が数多くランクインしました。1位のステファニー・プラム・シリーズは、 12作目の『あたしの手元は10000ボルト』まで邦訳が出ています。2位のバルダッチは、別のシリーズになりますが、超記憶症候群の探偵デッカーを主人公とする『完全記憶探偵』が12月に竹書房より刊行される予定です。5位のクライブ・カッスラーのシリーズは、16作目以降が息子ダーク・カッスラーとの共著になっており、前々作の『ステルス潜水艦を奪還せよ』まで邦訳が出ています。7位の検屍官シリーズの邦訳は、23作目の『邪悪』が12月に講談社から刊行予定。8位は『クリスマス・ボックス』で知られるラブストーリーの名手の最新作です。

青木創(あおき はじめ)

フィクション翻訳とノンフィクション翻訳の両方を手がけています。訳書に、D・ワッツ『偶然の科学』、A・フランセス『〈正常〉を救え』、D・ウィンズロウ『報復』(共訳)など。