アメリカのベストセラー・ランキング

12月11日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. CROSS THE LINE    New!

James Patterson ジェイムズ・パタースン

刑事アレックス・クロス・シリーズ第24作。ワシントン市警の幹部が殺害され、クロスの妻ブリーが捜査指揮をとることに。犯罪心理学者でもあるクロスは市警のコンサルタントとして妻に協力するが、そこにドラッグの密造・密売人ばかりを狙った連続殺人が発生する。

2. THE WHISTLER    Up

John Grisham ジョン・グリシャム

裁判官への苦情を調査する仕事について9年、フロリダの弁護士レイシーの平穏だった日々は、インディアン・カジノをめぐる組織犯罪と、それにからむ判事の不正を伝える密告者との出会いによって一変する。

3. TURBO TWENTY-THREE    Down

Janet Evanovich ジャネット・イヴァノビッチ

バウンティハンター、ステファニー・プラム・シリーズの第23作。アイスクリームを積んだ冷凍車のなかで、チョコレートやナッツにまみれて凍りついた死体が発見される。犯人を探るべく、ステファニーはアイスクリーム工場に潜入するが、甘いものの誘惑はいかんともしがたく……

4. TWO BY TWO    Up

Nicholas Sparks ニコラス・スパークス

幸せなはずだった結婚生活が破綻し、華やかなPRの職も失った32歳のラス。6歳の娘ロンドンを抱えてシングルファザーとなり、想像もつかなかった新しい生活と新しい恋に踏みだす。

5. NO MAN’S LAND    Down

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

アメリカ陸軍犯罪捜査官ジョン・プラー・シリーズの第4作。30年前に失踪したプラーの母が、実は殺害されていた可能性が浮上する。容疑者となったのは認知症を患う父だった。家族の名誉を守るため、プラーは前作で汚名を晴らした兄の協力を得て、過去の解明に取り組む。

6. NIGHT SCHOOL    Down

Lee Child リー・チャイルド

ジャック・リーチャー・シリーズの第21作。今回はリーチャーが陸軍にいたころの過去の活躍を描く。イスラム教テロ組織に機密情報を売り渡そうとしているアメリカ人をとらえろ——極秘任務を与えられ、リーチャーはFBIとCIAのエージェントとともにハンブルクへ向かう。

7. SMALL GREAT THINGS    Up

Jodi Picoult ジョディ・ピコー

ベテラン看護師のルースは呼吸困難を起こした新生児を前に躊躇した。黒い指で絶対に子どもに触れるなと、その子の親に禁じられていたのだ。一瞬の迷いのせいで重い刑事責任を問われることになった彼女を救うため、白人弁護士は人種を武器にメディアを操る戦略を推してくるが……。ベストセラー作家ピコーが、現代の人種問題に切り込んでいく。

8. THE WRONG SIDE OF GOODBYE    Up

Michael Connelly マイクル・コナリー

ロス市警退職後、私立探偵業をはじめるかたわら、小さな町の警察署の予備警察官となったボッシュ。さっそく連続婦女暴行事件の捜査に参加する一方、余命わずかな富豪から、遠い昔に別れた恋人が産んだはずの自分の子供を捜してほしいと依頼される。ハリー・ボッシュ・シリーズ第21作。

9. ODESSA SEA    Down

Clive Cussler and Dirk Cussler クライブ・カッスラー、ダーク・カッスラー

NUMA(国立海中海洋機関)のダーク・ピットが活躍するシリーズの第24作。黒海でオスマン帝国の沈没船を探していたピットは、貨物船の遭難信号を受信する。だが、現場に生存者の姿はなく、硫黄のにおいが漂っていた。調査を進めるうち、その海域でこれまでに幾度も遭難事故が起こっていたことが明らかになる。

10. THE CHEMIST    Up

Stephanie Meyer ステファニー・メイヤー

トワイライト・シリーズの著者によるスパイスリラー。米国政府の組織下でテロ容疑者の尋問に使う薬を調合していた女性工作員は、秘密を知りすぎたために命を狙われている。そんなとき、最後にあと一度だけ仕事をすれば逃がしてやるとかつての上司からメールが届く。

【まとめ】

新作が6作もランクインした先週から一転、今週の初登場は1位に輝いたジェイムズ・パタースンの最新作のみ。ホリデーシーズンを前にした話題作の刊行ラッシュもそろそろ落ち着いたようです。共著の多いパタースンですが、アレックス・クロス・シリーズは単著による代表作。近年では毎年この時期に新作が発表されるのが恒例となっており、邦訳は第1〜3作(『多重人格殺人者』、『キス・ザ・ガールズ』、『殺人カップル』)と第6・7作(『闇に薔薇』、『血と薔薇』)の計5作が出ています。またトップテン外の11位には、『ユダヤ警官同盟』などで知られるピューリッツァー賞作家マイケル・シェイボンが自身の祖父母をモデルに書いた“MOONGLOW”が入りました。

満園真木(みつぞの まき)

東京在住の翻訳者。先月、最新訳書『棺の女』(リサ・ガードナー著、小学館文庫)が刊行されました。472日間におよぶ誘拐監禁のすえに生還した女をめぐるハードサスペンスです。また、〈さよなら、シリアルキラー〉三部作(バリー・ライガ著、創元推理文庫)の前日譚4編をおさめた日本オリジナル短編集『運のいい日』が今月20日ごろに刊行される予定です。こちらもどうぞよろしくお願いします。