アメリカのベストセラー・ランキング

1月15日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. TWO BY TWO    Up

Nicholas Sparks ニコラス・スパークス

幸せなはずだった結婚生活が破綻し、華やかなPRの職も失った32歳のラス。6歳の娘ロンドンを抱えてシングルファザーとなり、想像もつかなかった新しい生活と新しい恋に踏みだす。

2. THE WHISTLER    Down

John Grisham ジョン・グリシャム

裁判官への苦情を調査する仕事について9年、フロリダの弁護士レイシーの平穏だった日々は、インディアン・カジノをめぐる組織犯罪と、それにからむ判事の不正を伝える密告者との出会いによって一変する。

3. CROSS THE LINE    Stay

James Patterson ジェイムズ・パタースン

刑事アレックス・クロス・シリーズ第24作。ワシントン市警の幹部が殺害され、クロスの妻ブリーが捜査指揮をとることに。犯罪心理学者でもあるクロスは市警のコンサルタントとして妻に協力するが、そこにドラッグの密造・密売人ばかりを狙った連続殺人が発生する。

4. THE UNDERGROUND RAILROAD    Stay

Colson Whitehead コルソン・ホワイトヘッド

19世紀、奴隷制がまだ認められていた南部諸州からの黒人奴隷たちの逃亡を手助けした組織「地下鉄道」。本当に地下を走る逃亡奴隷のための鉄道が存在していたら……という設定のもとで、ジョージア州の綿花プランテーションから逃げだした十代の黒人奴隷の少女の旅を描いたスペキュレイティブ・フィクション。

5. NO MAN’S LAND    Stay

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

アメリカ陸軍犯罪捜査官ジョン・プラー・シリーズの第4作。30年前に失踪したプラーの母が、実は殺害されていた可能性が浮上する。容疑者となったのは認知症を患う父だった。家族の名誉を守るため、プラーは前作で汚名を晴らした兄の協力を得て、過去の解明に取り組む。

6. SMALL GREAT THINGS    Stay

Jodi Picoult ジョディ・ピコー

ベテラン看護師のルースは呼吸困難を起こした新生児を前に躊躇した。黒い指で絶対に子どもに触れるなと、その子の親に禁じられていたのだ。一瞬の迷いのせいで重い刑事責任を問われることになった彼女を救うため、白人弁護士は人種を武器にメディアを操る戦略を推してくるが……。ベストセラー作家ピコーが、現代の人種問題に切り込んでいく。

7. THE CHEMIST    Up

Stephanie Meyer ステファニー・メイヤー

トワイライト・シリーズの著者によるスパイスリラー。米国政府の組織下でテロ容疑者の尋問に使う薬を調合していた女性工作員は、秘密を知りすぎたために命を狙われている。そんなとき、最後にあと一度だけ仕事をすれば逃がしてやるとかつての上司からメールが届く。

8. NIGHT SCHOOL    Stay

Lee Child リー・チャイルド

ジャック・リーチャー・シリーズの第21作。今回はリーチャーが陸軍にいたころの過去の活躍を描く。イスラム教テロ組織に機密情報を売り渡そうとしているアメリカ人をとらえろ——極秘任務を与えられ、リーチャーはFBIとCIAのエージェントとともにハンブルクへ向かう。

9. TOM CLANCY: TRUE FAITH AND ALLEGIANCE    Down

Mark Greaney マーク・グリーニー

世界各地で米国軍人や諜報員が窮地に陥る事態がたて続けに発生し、大規模な情報リークに気づいた合衆国大統領ライアンは、自国の内部に潜む敵と対決する。「レッド・オクトーバーを追え!」など数々の映画も生んだ故クランシーの作品世界を『暗殺者グレイマン』の著者が書き継ぐジャック・ライアン・シリーズ第12作。

10. THE WRONG SIDE OF GOODBYE    Up

Michael Connelly マイクル・コナリー

ロス市警退職後、私立探偵業をはじめるかたわら、小さな町の警察署の予備警察官となったボッシュ。さっそく連続婦女暴行事件の捜査に参加する一方、余命わずかな富豪から、遠い昔に別れた恋人が産んだはずの自分の子供を捜してほしいと依頼される。ハリー・ボッシュ・シリーズ第21作。

【まとめ】

 新たに登場した作品は20位のW・E・B・グリフィン&ウィリアム・E・バターワース“CURTAIN OF DEATH”のみと、今週も変動の少ないランキングとなりました。そこで今日は、タイム誌とガーディアン紙が選んだ2017年の注目本リストより、いくつかのタイトルをご紹介します(刊行予定順)。ポール・オースター“4321”、ニール・ゲイマン“NORSE MYTHOLOGY”、ジョージ・ソーンダーズ“LINCOLN IN THE BARDO”、エリザベス・ストラウト“ANYTHING IS POSSIBLE”、トレイシー・シュヴァリエ“NEW BOY”、コルム・トビーン“HOUSE OF NAMES”、ポーラ・ホーキンズ“INTO THE WATER”、ダン・ブラウン“ORIGIN”。今年もすばらしい本との出会いがありますように。

中谷 友紀子(なかたに ゆきこ)

訳書にミシェル・ペイヴァー「神々と戦士たち」シリーズなど。先月、『オスロ警察殺人捜査課特別班 アイム・トラベリング・アローン』(サムエル・ビョルク著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)が刊行されました。ノルウェー発のダークスリラーです。どうぞよろしくお願いします。