アメリカのベストセラー・ランキング

1月22日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. THE MISTRESS    New!

Danielle Steel ダニエル・スティール

モスクワの路上で億万長者のウラジーミルに見いだされたナターシャは、贅沢な暮らしの代わりに、自由を制限されて生きてきた。ある日ふたりは、有名な画家を父に持つ若き芸術家テオに出会う。裏社会にも通じているウラジーミルはテオの父の絵に目をつけ、テオはナターシャの美しさに心を奪われる。

2. TWO BY TWO    Down

Nicholas Sparks ニコラス・スパークス

幸せなはずだった結婚生活が破綻し、華やかなPRの職も失った32歳のラス。6歳の娘ロンドンを抱えてシングルファザーとなり、想像もつかなかった新しい生活と新しい恋に踏みだす。

3. BELOW THE BELT    New!

Stuart Woods スチュアート・ウッズ

元大統領のジョーから機密情報のはいったスーツケースを受け取り、サンタフェのオペラハウスまで届けてもらいたい———元大統領のウィル・リーは友人のバリントンに頼む。ニューヨーク市警の刑事から弁護士に転じたストーン・バリントンを主人公とするシリーズの第40作。

4. THE WHISTLER    Down

John Grisham ジョン・グリシャム

裁判官への苦情を調査する仕事について9年、フロリダの弁護士レイシーの平穏だった日々は、インディアン・カジノをめぐる組織犯罪と、それにからむ判事の不正を伝える密告者との出会いによって一変する。

5. THE UNDERGROUND RAILROAD    Down

Colson Whitehead コルソン・ホワイトヘッド

19世紀、奴隷制がまだ認められていた南部諸州からの黒人奴隷たちの逃亡を手助けした組織「地下鉄道」。本当に地下を走る逃亡奴隷のための鉄道が存在していたら……という設定のもとで、ジョージア州の綿花プランテーションから逃げだした十代の黒人奴隷の少女の旅を描いたスペキュレイティブ・フィクション。

6. CROSS THE LINE    Down

James Patterson ジェイムズ・パタースン

刑事アレックス・クロス・シリーズ第24作。ワシントン市警の幹部が殺害され、クロスの妻ブリーが捜査指揮をとることに。犯罪心理学者でもあるクロスは市警のコンサルタントとして妻に協力するが、そこにドラッグの密造・密売人ばかりを狙った連続殺人が発生する。

7. NO MAN’S LAND    Down

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

アメリカ陸軍犯罪捜査官ジョン・プラー・シリーズの第4作。30年前に失踪したプラーの母が、実は殺害されていた可能性が浮上する。容疑者となったのは認知症を患う父だった。家族の名誉を守るため、プラーは前作で汚名を晴らした兄の協力を得て、過去の解明に取り組む。

8. SMALL GREAT THINGS    Down

Jodi Picoult ジョディ・ピコー

ベテラン看護師のルースは呼吸困難を起こした新生児を前に躊躇した。黒い指で絶対に子どもに触れるなと、その子の親に禁じられていたのだ。一瞬の迷いのせいで重い刑事責任を問われることになった彼女を救うため、白人弁護士は人種を武器にメディアを操る戦略を推してくるが……。ベストセラー作家ピコーが、現代の人種問題に切り込んでいく。

9. THE CHEMIST    Down

Stephanie Meyer ステファニー・メイヤー

トワイライト・シリーズの著者によるスパイスリラー。米国政府の組織下でテロ容疑者の尋問に使う薬を調合していた女性工作員は、秘密を知りすぎたために命を狙われている。そんなとき、最後にあと一度だけ仕事をすれば逃がしてやるとかつての上司からメールが届く。

10. TOM CLANCY: TRUE FAITH AND ALLEGIANCE    Down

Mark Greaney マーク・グリーニー

世界各地で米国軍人や諜報員が窮地に陥る事態がたて続けに発生し、大規模な情報リークに気づいた合衆国大統領ライアンは、自国の内部に潜む敵と対決する。「レッド・オクトーバーを追え!」など数々の映画も生んだ故クランシーの作品世界を『暗殺者グレイマン』の著者が書き継ぐジャック・ライアン・シリーズ第12作。

【まとめ】

 年末年始はほとんど動きがありませんでしたが、今週は新作がふたつはいっています。いずれも多作で知られる人気作家の作品です。1位のダニエル・スティールは、いままでに小説102作、児童書18作を出していて、昨年だけで7作が刊行されています。3位のスチュアート・ウッズのシリーズは、4月と6月に早くも41作、42作目が出る予定です。なお、今作に登場する元大統領のウィル・リーは、著者の代表作『警察署長』の初代署長の孫で、続編の『草の根』にも登場しています。著者のHPによれば、『警察署長』からはじまるウィル・リー・シリーズとして7作が出版されているようです。

国弘喜美代(くにひろ きみよ)

東京在住の翻訳者、南東京読書会の世話人のひとり。訳書は、S.K.トレメイン『氷の双子』、D・ウィンズロウ『報復』(共訳)など。次回2月5日のジョー・ネスボ『その雪と血を』読書会は、おかげさまで満席になりました。今年もみなさまと本の話ができるのを楽しみにしています。はじめてのかたも、どうぞ気軽にご参加ください。本年もよろしくお願いします。