アメリカのベストセラー・ランキング

2月5日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. NEVER NEVER    New!

James Patterson and Candice Fox ジェイムズ・パタースン、キャンディス・フォックス

シドニー警察の刑事ハリエット・ブルーは、兄が殺人容疑で逮捕されたことからシドニーを追われてパースへ異動、オーストラリア内陸部の荒野アウトバックで鉱山労働者の失踪事件の捜査にあたることになる。やがて鉱山では過去にも失踪者が出ていたことが明らかになり……

2. THE UNDERGROUND RAILROAD    Up

Colson Whitehead コルソン・ホワイトヘッド

19世紀、奴隷制がまだ認められていた南部諸州からの黒人奴隷たちの逃亡を手助けした組織「地下鉄道」。本当に地下を走る逃亡奴隷のための鉄道が存在していたら……という設定のもとで、ジョージア州の綿花プランテーションから逃げだした十代の黒人奴隷の少女の旅を描いたスペキュレイティブ・フィクション。

3. TWO BY TWO    Up

Nicholas Sparks ニコラス・スパークス

幸せなはずだった結婚生活が破綻し、華やかなPRの職も失った32歳のラス。6歳の娘ロンドンを抱えてシングルファザーとなり、想像もつかなかった新しい生活と新しい恋に踏みだす。

4. THE WHISTLER    Down

John Grisham ジョン・グリシャム

裁判官への苦情を調査する仕事について9年、フロリダの弁護士レイシーの平穏だった日々は、インディアン・カジノをめぐる組織犯罪と、それにからむ判事の不正を伝える密告者との出会いによって一変する。

5. THE MISTRESS    Down

Danielle Steel ダニエル・スティール

モスクワの路上で億万長者のウラジーミルに見いだされたナターシャは、贅沢な暮らしの代わりに、自由を制限されて生きてきた。ある日ふたりは、有名な画家を父に持つ若き芸術家テオに出会う。裏社会にも通じているウラジーミルはテオの父の絵に目をつけ、テオはナターシャの美しさに心を奪われる。

6. FEVERSONG    New!

Karen Marie Moning カレン・マリー・モニング

闇の書に囚われてしまったマッケイラ。バロンズは彼女を救い、そして世界を救うことができるのか。アイルランドのダブリンを舞台に、ヒロインのマッケイラが謎めいた書店主バロンズとともに邪悪な妖精と戦うロマンティック・ファンタジー、フィーバー・シリーズの完結編。

7. CROSS THE LINE    Down

James Patterson ジェイムズ・パタースン

刑事アレックス・クロス・シリーズ第24作。ワシントン市警の幹部が殺害され、クロスの妻ブリーが捜査指揮をとることに。犯罪心理学者でもあるクロスは市警のコンサルタントとして妻に協力するが、そこにドラッグの密造・密売人ばかりを狙った連続殺人が発生する。

8. SMALL GREAT THINGS    Down

Jodi Picoult ジョディ・ピコー

ベテラン看護師のルースは呼吸困難を起こした新生児を前に躊躇した。黒い指で絶対に子どもに触れるなと、その子の親に禁じられていたのだ。一瞬の迷いのせいで重い刑事責任を問われることになった彼女を救うため、白人弁護士は人種を武器にメディアを操る戦略を推してくるが……。ベストセラー作家ピコーが、現代の人種問題に切り込んでいく。

9. BELOW THE BELT    Down

Stuart Woods スチュアート・ウッズ

元大統領のジョーから機密情報のはいったスーツケースを受け取り、サンタフェのオペラハウスまで届けてもらいたい———元大統領のウィル・リーは友人のバリントンに頼む。ニューヨーク市警の刑事から弁護士に転じたストーン・バリントンを主人公とするシリーズの第40作。

10. THE CHEMIST    Down

Stephanie Meyer ステファニー・メイヤー

トワイライト・シリーズの著者によるスパイスリラー。米国政府の組織下でテロ容疑者の尋問に使う薬を調合していた女性工作員は、秘密を知りすぎたために命を狙われている。そんなとき、最後にあと一度だけ仕事をすれば逃がしてやるとかつての上司からメールが届く。

【まとめ】

初登場1位に輝いたのは、おなじみジェイムズ・パタースンとキャンディス・フォックスの共著による、オーストラリアを舞台とした新シリーズの第1作。パタースンは7位の“CROSS THE LINE”とあわせて今週は2作同時ランクインを果たしています。フォックスはオーストラリア人の女性作家で、デビュー作『邂逅——シドニー州都警察殺人捜査課』が昨年6月に東京創元社より刊行されているほか、続編『楽園』の邦訳刊行も予定されています。6位のFEVERSONGは人気パラノーマル・ロマンスのフィーバー・シリーズ第9作(スピンオフ含む)にして完結編。邦訳はヴィレッジブックスより第1作『妖しき悪魔の抱擁』から第4作『聖なる槍に導かれ』まで出ています。

満園真木(みつぞの まき)

東京在住の翻訳者。ひと月ほど前になりますが、最新訳書『運のいい日』(バリー・ライガ著、創元推理文庫)が刊行されました。〈さよなら、シリアルキラー〉三部作の前日譚4編をおさめた日本オリジナル短編集です。主要キャラクター3人が描かれたスカイエマさんの表紙イラストがとても素敵なので、ぜひお手にとってみてください。訳書はほかにリサ・ガードナー『棺の女』、ベリンダ・バウアー『視える女』(ともに小学館文庫)など。