アメリカのベストセラー・ランキング

4月9日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. MISSISSIPPI BLOOD    New!

Greg Iles グレッグ・アイルズ

元検事で作家、現在はミシシッピ州の小さな町ナチェズの市長となったペン・ケイジは、アフリカ系アメリカ人看護師殺害容疑をかけられた敬愛する父の命を守るため、自分の家族とアメリカ南部の秘められた過去を探る。ペン・ケイジ・シリーズとしては6作目、ナチェズ3部作の完結編。

2. VICIOUS CIRCLE    New!

C. J. Box C・J・ボックス

ワイオミング州の州猟区管理官ジョー・ピケットを主人公にしたシリーズ最新作。ジョーの娘エイプリルの元恋人で刑務所を出たばかりのダラス・ケイツは、ジョーへの逆恨みから復讐を企てる。

3. IF NOT FOR YOU    New!

Debbie Macomber デビー・マッコーマー

“New Beginnings”シリーズ第3作。自分を縛る家族から離れ、ポートランドで友人や叔母に支えられながら高校の音楽教師としてスタートを切ったベス。ある日交通事故に遭い、タトゥーを入れた自動車修理工のサムに救われる。思いも寄らない出会いから惹かれあっていくふたりだが……

4. NORSE MYTHOLOGY    Down

Neil Gaiman ニール・ゲイマン

『サンドマン』で世界幻想文学大賞を受けたニール・ゲイマンが自らの創作の原点に立ち返り、北欧神話を下敷きにして書いた一作。オーディン、トール、ロキといったおなじみの神々が登場する。

5. THE CUTTHROAT    Down

Clive Cussler and Justin Scott クライブ・カッスラー、ジャスティン・スコット

私立探偵アイザック・ベル・シリーズの第10作。1911年、舞台女優を夢見て家出した富豪の娘の捜索を依頼されたヴァン・ドーン探偵社。だが、その娘が惨殺死体で見つかり、調べを進めるうちに「ジキル博士とハイド氏」の劇が上演されている各地で同様の手口による殺人が相次いでいたことが明らかになる。

6. THE TEA GIRL OF HUMMINGBIRD LANE    New!

Lisa See リサ・シー

中国・雲南省アカ族の茶農家出身の女性が、しきたりに背き両親に反対されながらも授かった娘の命を守るため、生まれたばかりの娘を毛布にくるみ、茶葉を固めた餅茶をしのばせて孤児院のそばに置き去りにする。娘はアメリカ人夫妻の養女となりカリフォルニアで幸せに育つが、やがて自分のルーツを知りたいと願うようになる。

7. DANGEROUS GAMES    Down

Danielle Steel ダニエル・スティール

ジャーナリストのアリックスは元SEALs隊員のカメラマンと組んで強引な取材をおこない、これまでに何度もスクープをものにしていた。が、アメリカ合衆国副大統領もからんだ疑惑を調べはじめたために、かつてない危険なゲームに身を投じることになる。

8. MANGROVE LIGHTNING    New!

Randy Wayne White ランディ・ウェイン・ホワイト

元NSA局員でフロリダに住む海洋生物学者ドク・フォード・シリーズ第24作。有名なチャーター船の船長兼ガイドのバーロウから、1925年に起きた連続殺人事件の呪いだという奇妙な事件について聞かされたドク・フォードは、友人トムリンソンとともに捜査に乗りだす。

9. THE DEVIL’S TRIANGLE    Down

Catherine Coulter and J. T. Ellison キャサリン・コールター、J・T・エリソン

英国貴族出身のFBI捜査官ニコラスとマイクのコンビが活躍する新FBIシリーズの第4作。ニコラスとマイクは〈キツネ〉と呼ばれる女盗賊から助けを求められる。キツネの夫が誘拐され、その命が惜しければトプカプ宮殿からモーゼにまつわる品を盗みだせと脅されているというのだが……

10. MAN OVERBOARD    New!

J. A. Jance J・A・ジャンス

元ジャーナリストの女性探偵、アリ・レイノルズ・シリーズ第12作。鬱病から回復したばかりのロジャーがクルーズ船から謎の転落死を遂げた。幼なじみだったスチュアート、その相棒カミ、アリが真相を追求するうちに、インターネットや人工知能を使って巧みに自殺者の遺児たちを自殺に追いこもうと画策するシリアルキラーの存在が浮かびあがる。

【まとめ】

今週は6作品が新たにランクインしました。1位のグレッグ・アイルズのペン・ケイジ・シリーズは、日本では2作目の『天使は振り返る』まで刊行。またナチェズ3部作の第1部“NATCHEZ BURNING”は、2015年のバリー賞を受賞しています。2位のC・J・ボックスのジョー・ピケット・シリーズは、10作目の『狼の領域』が昨年10月に邦訳刊行されました(こちらの記事もご覧ください)。6位のリサ・シーは本人も中国にルーツを持ち、『雪花と秘文字の扇』など、中国をテーマにしたフィクション・ノンフィクションの著作があります。8位のドク・フォード・シリーズは、日本では第4作『波間に消えた叫び』、第5作『サントーヤ家の秘宝』のみ刊行されています。

佐藤桂(さとう けい)

神奈川在住の翻訳者です。訳書に『中途の家』(越前敏弥さんとの共訳)など。