アメリカのベストセラー・ランキング

7月30日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. HOUSE OF SPIES    New!

Daniel Silva ダニエル・シルヴァ

美術修復師にしてイスラエル諜報機関の伝説のスパイ、ガブリエル・アロン・シリーズの第17作。テロ首謀者であるISISの黒幕サラディンを追うアロンは、ISISの資金源となっている麻薬密売への関与が疑われる南仏サントロペ在住の富豪夫妻への接近をはかる。

2. CAMINO ISLAND    Down

John Grisham ジョン・グリシャム

プリンストン大学の図書館で厳重に保管されていた古い原稿が盗まれた。若い女性作家のマーサーは謎めいた女性から依頼を受け、フロリダの島で人気書店を営みながら裏では稀覯本の闇取引で儲けているというブルースを、秘密裏に調査することになる。

3. MURDER GAMES    Down

James Patterson and Howard Roughan ジェイムズ・パタースン、ハワード・ローワン

犯罪心理学の権威であるラインハートは、ニューヨーク市警の要請を受け、連続殺人事件の捜査に協力する。現場にはトランプのカードが残されており、ラインハートはそれが犯人の署名的行動ではなく、つぎの犠牲者を示す手がかりになっていると推理する。

4. INTO THE WATER    Stay

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

イギリスの小さな町を流れる川の底から、ネルという名のシングルマザーの死体が発見される。そのあたりは地元では“溺死の淵”と呼ばれ、かつての魔女狩りで魔女とされた女たちが命を絶った場所として知られていた。ネルは魔女に強い興味を持ち、淵の歴史を書き綴った手稿を遺していた。

5. USE OF FORCE    Down

Brad Thor ブラッド・ソー

アメリカ海軍特殊部隊SEALS出身のエージェントが活躍するスコット・ハーヴァス・シリーズの第16作。地中海が激しい嵐に襲われてから数日後、大物テロリストの死体が岸に打ちあげられる。その男が大規模なテロ攻撃をおこなうために移動中だったと考えたCIAは、ハーヴァスに調査を依頼する。

6. THE IDENTICALS    Stay

Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド

恋も仕事も長つづきしない気まぐれなハーパー。完璧主義でやかまし屋のタビサ。両親の離婚後、長年のあいだナンタケット島とマーサズ・ヴィニヤード島に別れて暮らしてきた双子の姉妹は、行きづまった人生を立て直そうと、互いの家を交換することに決める。“サマー・ノベルの女王”と呼ばれる人気作家の最新作。

7. THE DUCHESS    Down

Danielle Steel ダニエル・スティール

19世紀イングランド。公爵の娘アンジェリクは父にかわいがられて育ったが、18歳のときにその父が亡くなると、異母兄に疎まれて放逐されてしまう。パリに渡ったアンジェリクは、父の遺産を元手に上流階級向けのクラブを開く。

8. A GENTLEMAN IN MOSCOW    Stay

Amor Towles エイモア・タウルズ

1922年、反体制的な詩を書いたとしてスターリン政権によりモスクワ中心部のメトロポール・ホテルに軟禁されることになったロストフ伯爵。彼がそこで過ごした30年間を描く。2011年に“THE RULES OF CIVILITY”でデビューした著者の長篇第2作。

9. SEVEN STONES TO STAND OR FALL    Up

Diana Gabaldon ダイアナ・ガバルドン

20世紀スコットランドの従軍看護師クレアが18世紀にタイムスリップしたことからはじまるロマンチック・アドベンチャー、アウトランダー・シリーズの短編集。

10. TWO NIGHTS    New!

Kathy Reichs キャシー・ライクス

職務中の事故がもとでサウスカロライナ州チャールストンの警察を退職し、離島で隠遁生活を送っていたサンデー・ナイトは、養父の頼みを受け、カルト教団に誘拐されたとみられる富豪の孫娘の捜索に乗りだす。法人類学者テンペランス・ブレナン・シリーズの著者が放つ新シリーズの第1弾。

【まとめ】

1位と10位に新作が入りました。初登場1位に輝いたのは、毎年夏に刊行されるのが恒例となっているガブリエル・アロン・シリーズの新作。邦訳は第1~4作が論創社から出たのちしばらく途絶えていましたが、第14作『亡者のゲーム』を皮切りにハーパーコリンズ・ジャパンより邦訳刊行が再開されており、第16作『ブラック・ウィドウ』がちょうど7月22日に発売されたばかりです。10位のキャシー・ライクスは、人気ドラマ『BONES――骨は語る――』の原案となった法人類学者テンペランス・ブレナン・シリーズで知られる作家。こちらのシリーズは第18作まで続いており、邦訳は第1~3作および第8、9作が刊行されています。またベストテン外では、12位にロマンス作家スーザン・マレリーの“SECRETS OF THE TULIP SISTERS“が、14位にリンダ・カスティロのロマンチック・サスペンス“DOWN A DARK ROAD“がランクインしました。

満園真木(みつぞの まき)

東京在住の翻訳者。訳書はバリー・ライガ〈さよなら、シリアルキラー〉シリーズ(創元推理文庫)、リサ・ガードナー『棺の女』、ベリンダ・バウアー『視える女』(ともに小学館文庫)など。