アメリカのベストセラー・ランキング

11月22日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. FORTUNE AND GLORY    New!

Janet Evanovich ジャネット・イヴァノヴィッチ

ステファニー・プラム・シリーズ第27作。ステファニーの祖母マズールは結婚式当日に新郎を心臓発作で失くした。莫大な財産に関する鍵が残され、ステファニーとマズールはその謎を追うが、ガブリエラ・ローズという人物もその財産を狙っていることがわかる。

 

  1. 2. A TIME FOR MERCY    Stay

John Grisham ジョン・グリシャム

1990年、ミシシッピ州クラントン。弁護士のジェイク・ブリガンスは、地元の議員を殺した罪に問われた16歳の内気な少年、ドリューの弁護を引き受ける。人びとの多くは迅速な裁判と死刑判決を望んでいたが、事件について調べるうち、ブリガンスはそこに隠された真実をつきとめる。ブリガンスを主人公にしたシリーズの、6年ぶりの新作。

 

  1. 3. THE SENTINEL    Down

Lee Child and Andrew Child  リー・チャイルド、アンドリュー・チャイルド

ジャック・リーチャー・シリーズ第25作。テネシーの小さな町で、ジャックは暴漢に囲まれた男を助ける。それは失業したばかりのITマネージャーで、自分では気づかないまま大きな秘密を握っているらしい。ただならぬ陰謀と隠蔽のにおいを嗅ぎ取ったジャックは、巨大なサイバー犯罪の世界へと巻きこまれていく。

 

  1. 4. THE RETURN    Down

Nicholas Sparks ニコラス・スパークス

医師として従軍したアフガニスタンで大怪我を負ったトレヴァーは、ノースカロライナ州へもどり、祖父が遺した小屋で蜂の世話をしながら暮らしはじめる。近隣のトレーラーハウスに住む10代の少女キャリーと知り合い、保安官代理のナタリーと恋に落ちて、ふたりとのかかわりから祖父の死にまつわる謎について知ることになる。

 

  1. 5. THE INVISIBLE LIFE OF ADDIE LARUE    Up

V.E. Schwab V.E.シュワブ

17世紀末のフランスに生まれたアディー・ラルーは、望まない結婚と平凡な暮らしから逃れるために悪魔と取引をする。しかし魂と引き換えに、永遠の命とともに与えられたのは、誰と出会っても相手の記憶から消えてしまうという運命だった。孤独なアディーの人生に変化が訪れるのは300年が経ったころ、彼女を憶えていられる人物が現れたときだった。

 

  1. 6. THREE WOMEN DISAPPEAR    Down

James Patterson and Shan Serafin ジェイムズ・パタースン、シャン・セラフィン

マフィアの金庫番が自宅で殺され、家にいた3人の女、妻と料理人とメイドが姿を消した。事件を担当するのはショーン・ウォルシュ刑事、じつはショーンの妻がその家の料理人で、消えた女のひとりだった。そして、女たちが消えた深い事情がしだいに明らかになる。

 

  1. 7. THE VANISHING HALF    Up

Brit Bennett ブリット・ベネット

1960年代、肌の色の薄い黒人だけが住むルイジアナ州の小さな町を16歳で飛びだした双子の姉妹デジレとステラ。デジレはより肌の色の濃い夫との間に生まれた娘を連れて故郷の町へ戻るが、一方のステラは「白人」として生きることを選び、ブロンドに青い目の娘を産む――双子の姉妹とその娘たち、ふたつの世代の目を通じて黒人にとっての肌の色とアイデンティティの問題を描く。

 

  1. 8. THE EVENING AND THE MORNING    Up

Ken Follett ケン・フォレット

暗黒時代が終わりを迎えつつあった10世紀末のイングランド。ヴァイキングにさらわれた船大工、夫の故郷で暮らすために海を渡ったノルマン人の貴婦人、みずからの修道院をヨーロッパの学問の中心にしようと夢見る修道士らの波乱の人生を描く。世界的なベストセラーとなった『大聖堂』の前編にあたる物語。

 

  1. 9. THE WONDER BOY OF WHISTLE STOP    Down

Fannie Flagg ファニー・フラッグ

年老いたバディ・スレッドグッドは、生まれ育った町ホイッスルストップを最後に一度訪れることにする。駅は閉鎖され、町はゴーストタウンとなっていたが、昔いた懐かしい人たちの驚くべき人生を発見していくうちに、自分や家族の人生にも思いがけない変化が生じる。

 

  1. 10. THE BOOK OF TWO WAYS    Up

Jodi Picoult ジョディ・ピコー

大学院で古代エジプト学を研究していたドーンは、病気の母のために研究を諦めて帰郷し、やがて結婚して娘を出産、今はボストンの病院のホスピスで働いている。ある日、ドーンは乗っていた飛行機の事故で九死に一生を得たのち、ふと考える。自分の人生はこれでいいのだろうか、15年前に交際していた考古学研究者のワイアットは今どうしているのだろうか――

 

 

【まとめ】

今週は変動が少なく、新たにランクインしたのは1位のジャネット・イヴァノヴィッチのシリーズ第27作のみでした。ここに登場するガブリエラ・ローズという人物を主人公に据えて新シリーズがはじまるらしく、第1作が2021年に刊行予定です。トップ10外では、13位にスージー・ヤンのデビュー小説“WHITE IVY”がはいりました。2歳のときに両親とともに中国からアメリカに渡った主人公アイヴィー・リンは、アメリカの社会に溶けこみたいとひたすら願い、その象徴として同級生のギデオンという裕福な政治家の息子に執心する。やがて大人になり、欲しいものがすべて手にはいろうとしたそのとき――。物語が意外な展開を見せる、ダークでサスペンスフルな小説と評されています。著者は中国で生まれ、5歳のときにアメリカへ移り、現在はイギリスに在住。

 

 

 

    1. 国弘喜美代(くにひろ きみよ)

      翻訳者。訳書にロイ・ピーター・クラーク『名著から学ぶ創作入門 優れた文章を書きたいなら、まずは「愛しきものを殺せ!」』(越前敏弥さんとの共訳)、ローラ・シムズ『あなたを見てます大好きです』など。