アメリカのベストセラー・ランキング
12月19日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. GO TELL THE BEES THAT I AM GONE Stay
Diana Gabaldon ダイアナ・ガバルドン
ドラマ『アウトランダー』原作、時空を超えるヒストリカルロマンスのアウトランダー・シリーズ第9作。アメリカ独立戦争の戦火がフレイザーズ・リッジに迫るなか、クレアとジェイミーは愛娘ブリアナとその家族との再会を果たす。
- 2. WISH YOU WERE HERE New!
Jodi Picoult ジョディ・ピコー
29歳のダイアナは仕事も恋も順調で、恋人とガラパゴス諸島へ行く予定を立てていた。ところが未知のウイルスが流行の兆しを見せ、外科研修医である恋人は直前に出発を見送り、ダイアナひとりで旅に出ることに。到着した直後パンデミックにより国境が封鎖され、ダイアナはガラパゴス諸島に閉じこめられてしまう。
- 3. THE JUDGE’S LIST Stay
John Grisham ジョン・グリシャム
フロリダ州で裁判官への苦情申立てについて調査する弁護士レイシー・ストルツが活躍する2016年刊行の“THE WHISTLER”の続編。20年前に父親を殺されたという女性ジェリーがレイシーのもとにやってくる。事件は未解決だが、ジェリーはある容疑者の名前をあげ、被害者はほかにも複数いると話す。その容疑者とは、なんと裁判官だというのだが――
- 4. THE STRANGER IN THE LIFEBOAT Up
Mitch Albom ミッチ・アルボム
船舶の爆発事故が起き、生存者9名がボートで漂流しながら三日間救助を待っていた。あきらめの雰囲気が漂うなか、波間にひとりの男が浮かんでいる姿が見え、助けだしてボートに乗せることになる。その男はなんと、自分が神であると名乗り、信じる者のみが生きのびられると言うのだった。神の助けを待つ者たちの前に本物の神があらわれたのだろうか、それとも――
- 5. THE WISH Stay
Nicholas Sparks ニコラス・スパークス
マギーは16歳のときに、ノースカロライナ州の離島であるオクラコーク島に住む叔母と同居することになる。そして島で出会ったブライスという十代の若者を通じて、島の美しさと写真の魅力に取り憑かれる。それから20年以上が経過した2019年、マギーは写真家としてNYでギャラリーを持つまで成功していたが、自身の病に悩まされる。そんな折に心を占めていたのは、十代のころの恋の思い出だった。
- 6. THE LINCOLN HIGHWAY Up
Amor Towles エイモア・トールズ
1954年、18歳のエメットはカンザスの少年拘置所を出てネブラスカへもどる。母はずっと前に失踪、父が最近病死したため、8歳の弟とともにサンフランシスコで人生をやりなおそうとリンカーンハイウェイを西へ向かおうとする。ところが、拘置所から少年ふたりが隠れてエメットについてきていた。4人は古いスチュードベーカーに乗って東へ向かう。
- 7. FEAR NO EVIL Down
James Patterson ジェイムズ・パタースン
刑事アレックス・クロス・シリーズ第29作。どうしても果たさなくてはならない使命を果たすため、ジョン・サンプソン刑事とモンタナを訪れたアレックスは、そこで長年自分と家族をつけねらっていた人物との対決のときを迎える。
- 8. AUTOPSY New!
Patricia Cornwell パトリシア・コーンウェル
検屍官シリーズ第25作。ケイ・スカーペッタが検屍局長としてバージニア州にもどってまもなく、惨殺された女性の遺体が線路のそばで発見された。また、宇宙にある民間の研究所で複数の研究者が死亡し、スカーペッタは政府から依頼を受けて真相の解明に乗り出す。
- 9. LEVIATHAN FALLS New!
James S.A. Corey ジェイムズ・S・A・コーリイ
エクスパンス・シリーズの第9作にして、シリーズの最後を飾る作品。23世紀、人類が小惑星帯に進出した未来を描く。ドラマ化されて人気を博している。
- 10. CLOUD CUCKOO LAND Up
Anthony Doerr アンソニー・ドーア
15世紀のコンスタンティノープル、戦時下を生きる十代のアンナとオミール。現代のアイダホ州の図書館で対峙する、老いたジーノと若きシーモア。そして数十年後の未来における宇宙船で孤独に生きるコンスタンス。3つの時代を生きる5人の登場人物が、1冊の本を軸にしてそれぞれの人生に翻弄される。
【まとめ】
新たに3作がランクインしました。2位のジョディ・ピコーの新作はパンデミックを扱った作品で、ネットフリックスによる映像化が予定されているようです。コロナ禍によってマチュピチュに足止めされた日本人の実話を聞いたのが創作のヒントになった、と著者がインタビューで語っています。8位は、前作“CHAOS”(邦訳は『烙印』2018年)から5年ぶりのパトリシア・コーンウェルの新作でした。前作でいったんシリーズを完結させたものの、昨年の感染拡大によるロックダウンを受け、スカーペッタならどう考え、どう行動するかを思って執筆を開始、次作にもすでに取りかかっているとのこと。9位は、エクスパンス・シリーズの最終作。『エクスパンス‐巨獣めざめる‐』としてドラマ化され、最終のシーズン6が配信されています。原作は、第一作の『巨獣めざめる』のみが早川書房より刊行済みです。
このコーナーがお休みだった前週は、5作が新たにランクインしていました。そのうち、引き続きランキングに残っているのは、今週も1位をキープしているダイアナ・ガバルトン“GO TELL THE BEES THAT I AM GON”と、今週7位のジェイムズ・パタースン“FEAR NO EVIL”です。ほかには、ノーラ・ロバーツによるアイリッシュ・ファンタジー・シリーズの第2作“THE BECOMING”も先週ランク入りしていました。
国弘喜美代(くにひろ きみよ) |
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訳書に、アリー・レナルズ『寒慄【かんりつ】』、ローラ・シムズ『あなたを見てます大好きです』、ロイ・ピーター・クラーク『名著から学ぶ創作入門 優れた文章を書きたいなら、まずは「愛しきものを殺せ!」』(越前敏弥さんとの共訳)、など。 |