アメリカのベストセラー・ランキング

12月26日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. CALL US WHAT WE CARRY    New!

Amanda Gorman アマンダ・ゴーマン

ジョー・バイデン現アメリカ大統領の就任式で自作を朗読する詩人に抜擢されたゴーマンの詩集。

 

  1. 2. THE JUDGE’S LIST    Up

John Grisham ジョン・グリシャム

フロリダ州で裁判官への苦情申立てについて調査する弁護士レイシー・ストルツが活躍する2016年刊行の“THE WHISTLER”の続編。20年前に父親を殺されたという女性ジェリーがレイシーのもとにやってくる。事件は未解決だが、ジェリーはある容疑者の名前をあげ、被害者はほかにも複数いると話す。その容疑者とは、なんと裁判官だというのだが――

 

  1. 3. GO TELL THE BEES THAT I AM GONE    Down

Diana Gabaldon ダイアナ・ガバルドン

ドラマ『アウトランダー』原作、時空を超えるヒストリカルロマンスのアウトランダー・シリーズ第9作。アメリカ独立戦争の戦火がフレイザーズ・リッジに迫るなか、クレアとジェイミーは愛娘ブリアナとその家族との再会を果たす。

 

  1. 4. THE STRANGER IN THE LIFEBOAT    Stay

Mitch Albom ミッチ・アルボム

船舶の爆発事故が起き、生存者9名がボートで漂流しながら三日間救助を待っていた。あきらめの雰囲気が漂うなか、波間にひとりの男が浮かんでいる姿が見え、助けだしてボートに乗せることになる。その男はなんと、自分が神であると名乗り、信じる者のみが生きのびられると言うのだった。神の助けを待つ者たちの前に本物の神があらわれたのだろうか、それとも――

 

  1. 5. THE LINCOLN HIGHWAY    Up

Amor Towles エイモア・トールズ

1954年、18歳のエメットはカンザスの少年拘置所を出てネブラスカへもどる。母はずっと前に失踪、父が最近病死したため、8歳の弟とともにサンフランシスコで人生をやりなおそうとリンカーンハイウェイを西へ向かおうとする。ところが、拘置所から少年ふたりが隠れてエメットについてきていた。4人は古いスチュードベーカーに乗って東へ向かう。

 

  1. 6. WISH YOU WERE HERE    Down

Jodi Picoult ジョディ・ピコー

29歳のダイアナは仕事も恋も順調で、恋人とガラパゴス諸島へ行く予定を立てていた。ところが未知のウイルスが流行の兆しを見せ、外科研修医である恋人は直前に出発を見送り、ダイアナひとりで旅に出ることに。到着した直後パンデミックにより国境が封鎖され、ダイアナはガラパゴス諸島に閉じこめられてしまう。

 

  1. 7. THE WISH    Down

Nicholas Sparks ニコラス・スパークス

マギーは16歳のときに、ノースカロライナ州の離島であるオクラコーク島に住む叔母と同居することになる。そして島で出会ったブライスという十代の若者を通じて、島の美しさと写真の魅力に取り憑かれる。それから20年以上が経過した2019年、マギーは写真家としてNYでギャラリーを持つまで成功していたが、自身の病に悩まされる。そんな折に心を占めていたのは、十代のころの恋の思い出だった。

 

  1. 8. FEAR NO EVIL    Down

James Patterson ジェイムズ・パタースン

刑事アレックス・クロス・シリーズ第29作。どうしても果たさなくてはならない使命を果たすため、ジョン・サンプソン刑事とモンタナを訪れたアレックスは、そこで長年自分と家族をつけねらっていた人物との対決のときを迎える。

 

  1. 9. CLOUD CUCKOO LAND    Up

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

15世紀のコンスタンティノープル、戦時下を生きる十代のアンナとオミール。現代のアイダホ州の図書館で対峙する、老いたジーノと若きシーモア。そして数十年後の未来における宇宙船で孤独に生きるコンスタンス。3つの時代を生きる5人の登場人物が、1冊の本を軸にしてそれぞれの人生に翻弄される。

 

  1. 10. THE MIDNIGHT LIBRARY    Up

Matt Haig マット・ヘイグ

仕事を失い、飼い猫まで亡くして、何もかもうまくいかない、だれからも必要とされないと絶望したノーラは自殺を図る。そして生と死のあいだにある謎めいた図書館にたどり着く。所蔵されている無数の本は、自分が選ばなかった人生の物語であり、オリンピックのメダリストになる人生も母親になる人生も、自由に試すことができるらしい。

 

 

【まとめ】

新作は1作のみと、動きの少ない週になりました。初登場で首位に輝いたのは、前作“THE HILL WE CLIMB”もベストセラーになったゴーマン。今作は散文や歴史資料を組み合わせたユニークな構成になっているようです。

先月の本ランキングにも登場したL・チャイルドのジャック・リーチャー・シリーズがアマゾンのプライムビデオでドラマ化され、来年2月より配信が予定されています。ストーリーは第1作『キリング・フロアー』、主人公のリーチャーを演じるのはアラン・リッチソン。映画版をトム・クルーズが演じたときは賛否両論がありましたが、リッチソンについては原作のイメージどおりだと期待の声があがっています。トレーラーが公開中です。 

 

青木創(あおき はじめ)

翻訳者。訳書に、L・チャイルド『宿敵』、『葬られた勲章』、D・ワッツ『偶然の科学』など。