「今の翻訳ミステリー大賞シンジケートは、過去の名作についての言及が少ない!」ーーそんなことをお思いの方はいらっしゃいませんか?

そういう方向けの連載が今回から月イチで始まります。犯罪小説が大好きでしかたがないという小野家由佳氏が、偏愛する作家・作品について思いの丈をぶつけるコラムです。どうぞご期待ください。(事務局・杉江)

 

 好評連載「乱読クライム・ノヴェル」は前月で48回、4周年を迎えました。それを記念して過去の連載をすべて振り返る、キャッチコピー企画をお送りします。それぞれの作品に付したキャッチコピーから未読の方は作品の内容を想像し、既読の方は、ああ、こんな小説だったよね、と思い出してみてください。また、添付のツイッターアンケートで、4回ごとにどの作品を読んでみたくなったかをお答えいただけるようになっています。ぜひ、ご協力ください。

その1:ウィリアム・P・マッギヴァーン『緊急深夜版』

「正義の味方に成り切れない新聞記者が巨悪を追った先で胸に刻む、自らの仕事の第一義」

その2:カーター・ブラウン『ダムダム』

「来るもの誰も拒まない。へんてこ屋敷で巻き起こる予測不能の珍騒動!」

その3:ジョー・ゴアズ『マンハンター』

ハードな鬼ごっこの果てに、追う者と追われる者の境界線は衝撃とともに消え失せる

その4:ドナルド・E・ウェストレイク『警官ギャング』

「強盗をするのに最も相応しい職業は警官だ」

その1~その4で最も読みたくなった犯罪小説は?

その5:ヘンリイ・スレッサー『快盗ルビイ・マーチンスン』

「僕の従兄は世界一の大悪党……になる男。初めての悪事へ向け、僕らは今日も精を出す」

その6:フレドリック・ブラウン『現金を捜せ!』

「カーニバルに隠された現金を巡る、か弱い人間同士の騙し騙されの犯罪劇」

その7:ミッキー・スピレーン『スピレーン傑作集 狙われた男』

「タフガイ小説のパイオニアが短編で描いたのは、どこかナイーヴな男たちだった」

その8:ジョン・ビンガム『第三の皮膚』

「一夜限りの犯罪が夢見る青年の人生を狂わせる。世界一頼りないクライム・ノヴェル」

その5~その8で最も読みたくなった犯罪小説は?

その9:ジョン・D・マクドナルド『夜の終り』

「全ての終わりから始まる、呪われた男と女たちの運命を異様な迫力で綴る犯罪小説」

その10:トニー・ケンリック『俺たちには今日がある』

「面白うてやがて哀しき。今日を生きるあなたの心を震わせるクライムコメディ!」

その11:ロバート・L・フィッシュ『密輸人ケックの華麗な手口』

「一編一編「そうきたか!」と膝を打つ。アイディアに満ちたホラ話六連発」

その12:ジャック・フィニイ『夜の冒険者たち』

「たとえば隣の家のブランコ、たとえば深夜の高速道路。すぐそこから始まる冒険小説」

その9~その12で最も読みたくなった犯罪小説は?

 

その13:ジョン・ボール『拳銃をもつジョニー』

「向かう先は遊園地と野球場、拳銃片手に逃げるその少年は名探偵がいないと救われない」

その14:スタンリイ・エリン『断崖』

「少年の成長を語り切る完璧な処女長編。短編の名手エリンは長編の名手でもあるのだ」

その15:デヴィッド・グーディス『深夜特捜隊』

「全てを失った時、堕ちた元警官は失うことすらできなかったものに気づかされる」

その16:シャーロット・アームストロング「あほうどり」

「善人は時に悪人の何倍もタチが悪い」

その12~その16で読みたくなった犯罪小説は?

その17:エド・レイシイ「さらばその歩むところに心せよ」

「何一つ手にすることができなかった男の最後の犯罪の顛末は、読者の心を鷲掴みにする」

その18:ロス・H・スペンサー『俺には向かない職業』

「ありえない程お間抜けで、切ないくらいひたむきな私立探偵による一世一代の大騒ぎ!」

その19:チャールズ・ボーグマン「ミスター・バンジョー」

「この一編だけで作者のことを忘れ難く思わせる、少年と老芸人の触れ合いを描く珠玉の短編」

その20:ビル・プロンジーニ『雪に閉ざされた村』

「自身の尊厳を取り戻すため村を襲う男と、守る男。決死の攻防を描くケイパー小説」

その17~その20で読みたくなった犯罪小説は?

その21:ジョージ・V・ヒギンズ『エディ・コイルの友人たち』

「エディ・コイルには、友人なんていやしない。噂話の好きな悪党どもの群像劇」

その22:ポール・ギャリコ『ズー・ギャング』

「義賊、刑事、そして誰かに踏みにじられた名もなき人々。誰一人置き去りにしない犯罪譚」

その23:マーガレット・ミラー『これより先怪物領域』

「裁判の進行と共に露わになる事件の恐ろしい真相。人間という怪物のためのサスペンス」

その24:ライオネル・ホワイト『逃走と死と』

「破滅に向けて真っ直ぐ突っ走る、贅肉一ミリグラムもない至高のケイパー小説」

その21~その24で読みたくなった犯罪小説は?

いかがでしたか。わくわくする犯罪小説の数々、どれが読みたくなったでしょうか。小野家氏によるキャッチコピー企画、明日に続きます。

 

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小野家由佳(おのいえ ゆか)
ミステリーを読む社会人五年生。本格ミステリとハードボイルドとクライムコメディが特に好きです。Twitterアカウントは@timebombbaby