NYTベストセラー速報20170903（執筆者・国弘喜美代）

アメリカのベストセラー・ランキング

9月3日付　The New York Times紙（ハードカバー・フィクション部門）

1. 1. SEEING RED　　　　New!

Sandra Brown　サンドラ・ブラウン

倒壊するホテルから5歳の少女を救出する男の写真――1992年、ダラスのホテルで大規模な爆破事件が起こり、写真の男トラッパーは一躍英雄になった。25年後、女性テレビジャーナリストのケーラの取材を受けた直後、トラッパーは何者かに襲われる。ケーラはトラッパーの息子で私立探偵のジョンの助けを借り、さらに調査を進めていく。

2. 2. THE STORE　　　　New!

James Patterson and Richard DiLallo　ジェイムズ・パタースン、リチャード・ディラロ

“ザ・ストア”がユーザーの需要を予測し、自宅まで商品をドローンで配達する近未来。人々は便利な生活を享受しているが、ニューヨークに住むライターの夫妻はその裏側を探ろうとする。“ザ・ストア”の真の目的に気づき、それを本にまとめようとしたふたりを、どこまでも監視の目が追う。

3. 3. CAMINO ISLAND　　　　Down

John Grisham　ジョン・グリシャム

プリンストン大学の図書館で厳重に保管されていた古い原稿が盗まれた。若い女性作家のマーサーは謎めいた女性から依頼を受け、フロリダの島で人気書店を営みながら裏では稀覯本の闇取引で儲けているというブルースを、秘密裏に調査することになる。

4. 4. THE LATE SHOW　　　　Down

Michael Connelly　マイクル・コナリー

ロス市警ハリウッド分署の女性刑事レネー・バラードは、上司をセクハラで訴えたがために夜間シフトに左遷された。レイト・ショーと呼ばれるその時間には無数の事件が起こるが、解決はすべて日勤の者に委ねられる。だが、ある夜の2つの事件をきっかけに、バラードはルールを拒み、自身の闇に押されるように捜査へ飛び込んでいく。

5. 5. ANY DREAM WILL DO　　　　Down

Debbie Macomber　デビー・マッコーマー

借金まみれの弟を救うために横領の罪を犯し、すべてを失った姉のシェイ。妻を亡くし、子供たちの世話に追われる牧師のドリュー。偶然出会ったふたりは心を通わせ、互いに支えあうが、その友情が恋に変わりかけた矢先、シェイの弟が町に舞い戻ってきて……シーダー・コーヴ・シリーズで知られる人気作家による単発長篇。

6. 6. EXPOSED　　　　New!

Lisa Scottoline　リザ・スコットライン

《女性だけの弁護士事務所ロザート・アンド・アソシエイツ》シリーズ第16作。弁護士のメアリーは不当解雇された旧友サイモンの窮状を見かねて力になろうとする。ところが、同じ事務所のロザートがその会社の親会社の代理を長年つとめていて、利益相反になることがわかる。さらにサイモンの元上司が死体で見つかって、事態はますます複雑になる。

7. 7. THE LYING GAME　　　　Down

Ruth Ware　ルース・ウェア

〈嘘つきゲーム〉が行きすぎて二流の寄宿学校を放校処分になったイサベル、ファティマ、テア、ケイトの元仲良し4人組は、ある秘密を抱えたまま離れ離れになっていた。15年が過ぎたある朝、ケイトからロンドン周辺に住むほかの3人に突然メールが届き、寄宿学校のあるイギリス南部の海沿いの町ソルトンに呼び戻される。

8. 8. I KNOW A SECRET　　　　New!

Tess Gerritsen　テス・ジェリッツェン

リゾーリ&アイルズ・シリーズの第12作。焼死した女、目を刳り抜かれた映画監督、胸に矢が刺さった男。ボストン市警の刑事ジェーン・リゾーリと検死官モーラ・アイルズは、一見無関係に見える別々の殺害事件の被害者3人が、かつて託児所で起こった児童虐待事件と関連していることを突き止める。

9. 9. A GENTLEMAN IN MOSCOW　　　　Down

Amor Towles　エイモア・タウルズ

1922年、反体制的な詩を書いたとしてスターリン政権によりモスクワ中心部のメトロポール・ホテルに軟禁されることになったロストフ伯爵。彼がそこで過ごした30年間を描く。2011年に“THE RULES OF CIVILITY”でデビューした著者の長篇第2作。

10. 10. A STRANGER IN THE HOUSE　　　　New!

Shari Lapena　シャリ・ラピーニャ

トムが自宅にもどると、妻のカレンが財布も携帯電話も残したままいなくなっていた。すぐに警察から、カレンが車で事故を起こして病院に運ばれたと知らせがはいる。怪我は軽かったが、事故当日の記憶がなく、しかもその現場近くのレストランで男の死体が発見されて、カレンに疑いがかかる。

【まとめ】
新作が5つはいりました。1位はサンドラ・ブラウンのロマンチック・サスペンス。1995年に起こった実際の事件、オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件をモチーフにしていると著者が語っています。2位はベストセラー作家ジェイムズ・パタースンがリチャード・ディラロと組んだ意欲作で、ふたりの共著のうち邦訳されているのは『クリスマス・ウェディング』のみ。6位はリーガルスリラーの名手リザ・スコットラインによるシリーズで、本国では“Rosato & Associates”から“Rosato & DiNunzio”にシリーズ名が切り替わりました。邦訳は7作目の『代理弁護』までです。8位のリゾーリ&アイルズ・シリーズは、元内科医で医療サスペンスを得意とするテス・ジェリッツェンによる人気の高い作品、アメリカではテレビドラマにもなっています。シリーズの邦訳は『聖なる罪びと』まで。10位はデビュー作の“The Couple Next Door”がヒットした著者の第2作。1作目と同じく心理スリラーです。